作品紹介・あらすじ
世界の工場としてだけではなく、世界一の消費地として台頭しはじめた中国でのブランドや広告、メディア戦略、若者たちの実像を、制作現場や聞き取りなどの豊富な調査研究により検証した画期的な書。表面的なビジネス視点での中国分析ではなく、人類学的なアプローチを用いつつ、中国人消費者の視点から現代中国の消費文化の最前線を浮き彫りにしてゆく。
感想・レビュー・書評
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王瑾(松浦良高訳)『現代中国の消費文化―ブランディング・広告・メディア』岩波書店、読了。中国生まれのMIT教授が、企業広告の分析や聞き取り調査から中国の消費文化の現在を描く。市場は特殊で党との関係は切り離せないが、ブランディングと商品開発は多彩な展開。懐の深さを実感した一冊。
岩波書店によるmoreinfoはこちら http://bit.ly/MOSxet 「日本の読者の方々には中国の成長をブランディング文化という側面から改めて見つめなおしていくひとつの機会になれば幸いである」(著者)。
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中国社会での消費文化の特徴などを
欧米や日本との比較を混ぜながら
整理している本。
序 章 中国における広告とは
第1章 いまどき女性のポジショニング
第2章 ストーリーテリングと企業ブランディング
第3章 中国にブルジョワ・ボヘミアンはいるか?
第4章 ハロー、モト:若者文化と音楽マーケティング
第5章 CCTVと広告メディア
最終章 北京オリンピックと上海万博を終えて
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北京モーターショー開催のニュースが流れていた。経済成長著しい中国で、高級自動車の売り上げが伸びていると報じていた。イギリスの高級自動車、ベントレーの第一四半期の売り上げがアメリカでの売り上げを上回り、世界一の市場になったそうだ。日産の高級自動車インフィニティの工場を中国に建設中とあり、高級自動車の販売を巡って火花が散る。
それにしても、相変わらず、「参考にして作った」コピー自動車が目立つなあ。エコカーならぬエゴカーのオンパレード。知的財産権を軽く見ていると、将来、自分達に跳ね返ってくるのに。
著書によると、中国の消費者は、3つに分かれている。消費意欲旺盛な層である「ゴールドカラー層」、下層の「ブルーカラー層」、と「その他のカラー層」に分かれている。日本に旅行に来る層は、「その他のカラー層」以上だ。中国で一番多いのはブルーカラー層になるが、
海外ブランドの多くがホワイトカラーにターゲットを絞っていて、ブルーカラーに訴えかけるような製品を出していないという指摘がなされている。人口が多く、所得格差も多いだけに、いろいろな所得層に向けての広告や製品開発が追いついていないのが現状か。
著書では、中国のインターネット広告やテレビ局の事情、ハイアールやレノボといった中国企業の広告戦略が描かれており、今の中国について起こっていることを知るには良い。消費をめぐる熱い戦いが今日も繰り広げられているのだな。
北京モーターショーに関する記事
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/558225/
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新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階開架 請求記号:674.222//W37
松浦良高の作品