日本型ワーキングプアの本質――多様性を包み込み活かす社会へ

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000242714

作品紹介・あらすじ

「年越し派遣村」は非正規労働とワーキングプアとが背中合わせにあることを明らかにした。同じ深刻な「貧困問題」を抱える韓国などとの比較を通じて、多様な労働者を包み込む社会制度の確立のための道を、豊富なデータと取材から探究する。

感想・レビュー・書評

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  • データ、特に国際比較を用い、日本の今の貧困問題を論じている。今の貧困や格差の問題は女性と労働とに大別されると思うが、大沢さんの主張は、日本の非正規労働のありかたは実は女性の問題を放置していたことによるのだ、というジェンダー起因論だ。こういう議論は概説的に、あるいはいろいろな現場のミクロの観察からの大局的見解、みたいには言われてきたけれども、異なる制度をもつ海外との緻密な比較検討によって、そういう見方を実証していくtころがおおいに読みがいがある。ただ、ここで見えてくる日本の現状は悪い方へかなり進んでしまっているので、解決は大変だよなぁとしみじみ思う。

  • ワーキングプアが労働だけの問題ではなく、日本社会全体を蝕む病理であることを説明しています。年越し派遣村の運営にあたったメンバの他、韓国を含む様々な活動をしてきた方々へのインタビューや、統計データに基づく説明には説得力があります。
    一方で、疲れて頭の働きが鈍っているときに読んでしまったので、十分に理解しきれたのかは自信がありません。

  • 2016/6/26 図書館で借りた。以前話題になっていたような気がして。というか、閉館間際で目についたものをピックアップしてきたのだけれど。

  • <内容>
    日本型ワーキングプアーの本質は以下の二点に集約される。
    1)男女差別型賃金(bread winner model)による、デュアリズム。これにともなう正社員・非正規の区分とそれに基づく労働市場の完成
    2)労働需要側の変化→マクロ経済構造の変化(グローバル化など)

    筆者は計量分析に基づき、労働市場の変化を主張した上で、非正規社員の待遇改善と、「正社員」という日本特有の雇用のあり方を抜本的に改善、セーフティネットの拡充などが無い限り根本的な解決はあり得ないとする。
    私も同感

  • p67まで読んだ。

  • ワーキングプアの核心

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著者プロフィール

日本女子大学名誉教授。専門は労働経済学、女性キャリア研究。日本ペンクラブ女性作家委員会委員。東京都女性活躍推進会議専門委員。南イリノイ大学経済学部博士課程修了。Ph. D(経済学)。コロンビア大学社会科学センター研究員。シカゴ大学ヒューレット・フェロー、ミシガン大学ディアボーン校助教授、亜細亜大学助教授・教授を経て日本女子大学人間社会学部現代社会学科教授。
主な著書は『ワークライフバランス社会へ』(岩波書店、2006)『ワークライフシナジー』(岩波書店、2008)『ワーキングプアの本質』(岩波書店、2010)『妻が再就職するとき―セカンドチャンス社会へ』(NTT 出版、2012)『女性はなぜ活躍できないのか』(東洋経済新報社、2015)『なぜ女性は仕事を辞めるのか』共編著(青弓社、2015) 『21 世紀の女性と仕事(放送大学叢書)』(左右社、2018)『なぜ女性管理職は少ないのか―女性の昇進を妨げる要因を考える』共編著(青弓社、2019)等多数。

「2023年 『「助けて」と言える社会へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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