非業の生者たち――集団自決 サイパンから満洲へ

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000245142

作品紹介・あらすじ

「非業の生者たち」は、尊い死者たちとの何を語るべく、静黙を破ったのか。「世界に例を見ない、日本人特有の死の形」、(集団)自決を、真摯に見つめる。

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    内容(「BOOK」データベースより)
    『「非業の生者たち」は、尊い死者たちとの何を語るべく、静黙を破ったのか。「世界に例を見ない、日本人特有の死の形」、(集団)自決を、真摯に見つめる。』

    『非業の生者たち――集団自決 サイパンから満洲へ』
    著者:下嶋 哲朗
    出版社 ‏: ‎岩波書店
    単行本 ‏: ‎464ページ
    発売日 ‏: ‎2012/5/31

  •  「非業の生者たち」とは、戦時末期の帝国日本の戦場で繰り返された民間人の「集団自決」を生き延びた人々のこと。下嶋は、チビチリガマの悲劇の生存者との出会いをきっかけに、サイパン、グアム、テニアン、フィリピン、満州と、「強いられた自発性」の中で生の側に引き戻された人々の声と言葉を手がかりに、人々に「義務」としての死を選ばせていった「からくり」を解き明かそうとする。
     日本の中国戦場での兵士たちの所行の記憶が「敗北」のイメージにこびりついていたこと、沖縄での「集団自決」の引き金を引いたひとの中に、サイパン帰りの民間人がいたことが指摘された点は重要。チビチリガマ生存者の知花カマド氏は、「嘘を教えなければ、本当のことを教えてくれたなら、誰も死なずにすんだのに」と口にしたという。プロパガンダ言説を相対化する契機がなかったことが、多くの悲劇を生み出す要因となったのだ。

  • 南洋諸島から満州までの「強制集団自決」を、当事者からの取材から追った、労作。沖縄だけではなく、一連の「強制集団自決」は、一定条件下(地上戦+日本軍の敗走,遁走+例外者の不在(ハワイ帰りなど、教育が完成していない人の存在))で「発動」するよう【教育(鬼畜米英+当該条件下では死ぬこと)】されていた、ということが、帰納的に分かる。

  • 予想通りの重たい本。筆者の独特の文体に戸惑いもあるが、間違いなくとても大切なことが記されている本だと思います。

  • この書物に出会えたこと、読めたことを感謝したい。
    読んでおかなければならないと思う。
    深く、自分の魂が揺さぶられた数日間だった。

  • 「強いられた自発性」としての集団自決、それは世界に例を見ない日本人特有の死の形.本書はチビチリガマ調査から始まった著者のライフワークの集大成ともいえる.多くの人に長時間インタビューを行い非常に説得力のある、また格調の高い内容となっている.

  • この丁寧な言葉を探しながら書き綴った功績に頭の下がる思いである。出来るだけたくさんの人に読んでもらいたい本です。

  • 記憶は弱者にあり

    命をかけた証言を
    今生きている日本人たちは
    きちんと うけとめていかなければならない

    尊い「聞き書き」
    そして
    「歴史」です

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