文学と文学理論

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246644

作品紹介・あらすじ

文学研究の垣根をこえ、批評理論は広く人文学的研究の枠組みとして浸透した。だが、歴史や文化、人種やジェンダーを対象に数々の理論が語られながら、理論の視野からは急に文学それ自体が消え去ってしまったかに見える。小説と国民国家、行為遂行的なもの、過剰解釈、全知の語り、哲学の悪文など、多様なテーマを論じながら、あらためて理論と文学の再接合をはかり、「文学的なもの」に焦点をあてて、文学理論のもつ豊かなパースペクティヴを浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。批評的著述について論じた章、解釈について論じた章、カルチュラル・スタディーズについて論じた章、比較文学について論じた章が印象に残る。っていうか、チンタラ読み過ぎて前半の章はかなり忘却の彼方。

    前に読んだヒリス・ミラーの本もそうだったけど、脱構築派の人たちは、ある程度の年齢に達して、「気が利いていて面白くて、でも勉強にもなる文学エッセイ」を書くのに長けるようになったんですかね。

    こういうタイプの著述って、日本近代文学研究にもあったら良いのにね。

  • 【書誌情報】
    原題:The Literary in Theory (Stanford University Press)
    著者:Jonathan D. Culler(1944-)
    訳者:折島正司
    ジャンル:文学・文学論
    刊行日:2011/09/22
    ISBN:9784000246644
    Cコード:0098
    体裁:四六・上製・カバー
    頁数:446頁
    在庫:品切れ

     歴史や文化,人種やジェンダーを対象に数々の理論が語られながら,文学は理論の分析対象から消え去ってしまったかに見える.だが,あらゆる言説には「文学的なもの」が潜んでいるのだ.小説と国民国家,全知の語り,実践としての批評など,多様なトピックを取り上げ,文学理論のもつ豊かなパースペクティヴを浮彫りにする.

    ■訳者からのメッセージ
     1975年,ジョナサン・カラーが『構造主義の詩学』を出したとき,即座にファンになった.今でもすこしも変わらないファンなので,彼の著書を日本語に訳す機会を得て,こんなにうれしいことはない.
     カラーの快感は,霧が晴れて目の前に景色が広がる爽快さに似ている.自分が考えようとして考えられなかったこと,自分が見つけようとして見つけられなかった言葉が,はっきりと形をとって現れてくるのを見る思いが,彼の文章を読むたびに生ずる.
     だが,その後ろに何も姿を潜めていないかというと,そんなことはない.ずいぶん昔のことなので,うっかり忘れるところだったが,訳者は80年代のなかばにカラーのいるコーネル大学に留学していたことがあった.カラーさんは口元だけで微笑する人である.文章でも彼は,ほとんどすべてのページで声を立てずに笑っている.
     分厚い訳書になってしまったが,そこにあるのはバッファローみたいな驀進力ではなくて,ガゼルのように軽快自在な方向転換の機知なので,気軽に手にとっていただければ,と思います.
      折島正司

    [https://www.iwanami.co.jp/book/b264598.html]


    【目次】
    謝辞

    イントロダクション

    理論
    第一章 理論の中の文学
    第二章 小説と国民国家
    第三章 理論への抵抗

    諸概念
    第四章 テクスト,その運命の転変
    第五章 記号――ソシュールとデリダ,恣意性について
    第六章 行為遂行的なもの
    第七章 解釈――「過剰解釈」を弁護する
    第八章 全知

    批評的実践
    第九章 悪い文章と良い哲学
    第一〇章 批評的著述
    第一一章 カルチュラル・スタディーズ
    第一二章 とうとう比較文学

    訳者あとがき
    初出一覧
    索引

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