法華経 上―梵漢和対照・現代語訳

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (628ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000247627

作品紹介・あらすじ

19世紀に発見された『法華経』サンスクリット原典写本のヨーロッパでの初の出版(ケルン・南条本)から100年。本書は、複数のサンスクリット・テキストに綿密な校訂を施し原典テキストを確定させるとともに、深い仏教理解に基づいて詳細な注解を付した画期的達成である。8年がかりの、一点一画をも疎かにしない原典に忠実な訳業により、曖昧さを残さない、読みやすいこなれた現代語訳がここに完成した。テキスト相互の対照を可能とすべく、サンスクリット原典、鳩摩羅什による漢訳テキストも併記した。

感想・レビュー・書評

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  • この翻訳はすばらしい。
    サンスクリット原文と、中国の訳文、そして日本語訳・・・・・画期的な内容。
    とくに、日本語の訳が読みやすくて、オレでも読むことができる。感動した。
    翻訳だけなら間違いなく★★★★★。

    だけど、法華経は、どギツい差別表現や、予言や、時に好戦的な内容など、本来のゴータマ・ブッダの教えとは余りにも違いすぎる。
    後世で創作された諸要素があまりにも多く混入しているし、そこから始まる歴史的な運動の中にある排他的な教条主義がイヤ。

    今、日本のファシズムに関する本を読んでるから。

    ・石原莞爾の『最終戦争論』とか
    ・北一輝『日本改造法案大綱』
    ・田中智学の国柱会
    ・犬養毅首相や大蔵大臣、三井財閥の総裁も暗殺された井上日召「一人一殺主義」
    ・日蓮会の「死のう団」(笑)
       などなど・・・・・・

    狂信的な国粋主義者たち・・・・彼らの背後に、法華経主義があったのだと思うと感慨深い。

    そして、それは過去の話ではなく、今まさに日本の政治の中心に近い部分に法華経・日蓮主義の信者たちがもぐり込んで怪しくウゴメいている。
    創価学会・公明党のアブラぎったタヌキとか、『法華経を生きる』を書いた石原アホ・・・。石原は威勢の良いことばっか言ってカッコつけてるけど、昔、水俣病で苦しんでいる患者に差別的な暴言を吐いた挙句、患者の足元で土下座させられてたからね。

    彼らが攻撃的で、排他的で、狂信的で、差別を好む理由が、これ読むと、分かる。

  • 岩波訳で梵語と対照して3年輪読して「薬草喩品」で挫折。そのうち再開予定としてとりあえず注文、今日届いた(2010.11.11)

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著者プロフィール

仏教思想研究家・作家。1951年長崎県島原市生まれ。九州大学理学部物理学科卒、同大学院理学研究科修士課程修了。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。1991年から東方学院で中村元氏に師事し、2002年に文系ではお茶の水女子大学で男性初の博士(人文科学)の学位を取得。著書に『法華経とは何かその思想と背景』(中公新書)、『差別の超克原始仏教と法華経の人間観』(講談社学術文庫)、『テーリー・ガーター尼僧たちのいのちの讃歌』(角川選書)、『梵文『法華経』翻訳語彙典』(全2巻、法藏館)、『法華経誰でもブッダになれる』(NHK「100分de名著」ブックス)など。訳書に『日蓮の手紙』(角川ソフィア文庫)『梵漢和対照・現代語訳法華経』(上下巻、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳維摩経』(パピルス賞受賞、いずれも岩波書店)、『サンスクリット版全訳維摩経口語現代語訳』(角川ソフィア文庫)など。小説に『サーカスの少女』(コボル)。

「2023年 『日蓮の手紙 2023年3月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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