ポスト多文化主義教育が描く宗教――イギリス〈共同体の結束〉政策の功罪

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000247955

作品紹介・あらすじ

IS(イスラム国)に多数の若者が渡航しているイギリス。しかし教育界は手をこまねいているわけではない。二〇〇一年の米国同時多発テロ、〇五年のロンドン地下鉄テロを経て、公教育の宗教科の教育内容と学習目標を、それまでの多文化主義型・異文化理解型から、学校・地域社会・国家・世界の諸レベルで「共同体の結束 community cohesion」促進をめざす市民性教育型に改める試みが本格化してきた。それにより、教育のなかで宗教はどう変形され、利用されているか。宗教観や、各宗教の描かれ方はどのように変容しているか。こうした「コミュニタリアン的転回」にいたる歴史的背景を論じるとともに、その実態と問題性を、日本の教科書との比較を含め、教科書・シラバス等の資料にもとづき授業例・課題例を多数示しながら検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は教科書を執筆されている方で内容が深いです。本書を読むと、日本は宗教教育に関しては「多文化主義」にすらなっていないと感じました。イギリスの場合はキリスト教最高な教育から多分化主義に移行したものの、その後は「共同体の結束」が課題となるなど、問題の変化について述べられています。

    本書で紹介されているイギリスのグループワークの内容が日本の教育では考えられないもので、日本人だと大人でもまともに取り組める人がどれだけいるのだろうか、と思うほどの内容で、それが一番印象に残っています。文化の違いをヒシヒシと感じました。

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著者プロフィール

藤原 聖子(ふじわら・さとこ):東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は比較宗教学。著書『世界の教科書でよむ〈宗教〉』(ちくまプリマー新書、2011 年)、『ポスト多文化主義教育が描く宗教』(岩波書店、2017年)、『宗教と過激思想』(中公新書、2021年)など。

「2023年 『日本人無宗教説 その歴史から見えるもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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