- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000271738
作品紹介・あらすじ
戦争が社会のあり方を規定していることを「総力戦論」が明らかにして久しい。しかし、戦争の形態が根本的に変化した今、戦争と社会の関係性も変容しているのではないだろうか。戦時から現在に至るまでの両者の関係を、社会学、歴史学、メディア研究、ジェンダー研究、宗教学、記憶論等の観点から読み解き、総合的に捉え返す。
感想・レビュー・書評
-
SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/780317詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争や軍隊そのものよりも、メディアや戦争記憶が主題の論文集。
複数の論文に共通するのが、世代や時期が下るにつれ言説が単純化する点。靖国神社国家護持運動につき、創設期の遺族会は戦没者慰霊を目的とし、戦後民主主義や平和主義との関係も見られたが、次第に戦後民主主義に対峙するものへと変化。国家主義下で思春期・青年期を過ごし戦場を体験した戦中派に対し、戦後派・戦無派は道徳的優位からこれを批判。更に70年代以降の輿論は「加害」と「顕彰」の二項対立へ。沖縄戦記は、次第に「軍隊の論理」=加害、「住民の論理」=被害の二項対立となり、多様な議論の可能性が封殺されていく。
他に興味深かったのは、メディアや世論が能動的に参加した「ファシスト的公共性」という指摘。また戦後補償論を平等重視か人権重視か、救済重視か謝罪重視かというマトリックスで示した図。 -
東2法経図・6F開架:210.7A/Sh88s/4/K