- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000291200
作品紹介・あらすじ
「無心」は、最高のパフォーマンスをもたらす境地であり、それは憧れの対象であり続けた。達磨の禅、世阿弥の伝書、武道の教え、石田梅岩の心学、鈴木大拙の禅研究など、異なる時代、異なる文脈の中で、「無心」はどのように問われてきたのか。「無心」という言葉のもとに育まれた思考のいとなみを描き出すことで、柔軟でしなやかな心のあり方、その融通無碍な活力の深奥にせまる。
感想・レビュー・書評
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日本の伝統思想のなかで「無心」という概念がどのような意味をもっていたのかを明らかにしている本です。
著者は、「無心」を一つの「ダイナミズム」として理解するという見取り図を打ち出しています。それはたとえば、日常の意識の働きを否定していくことで、「名人は楽器と一体になってしまう」ような出来事が生じ、さらにそこから通常の主体性とは異なる新たな主体性が働き出てくるといったようなしかたで理解されています。この動的なプロセスのどの局面に焦点をあてるのかということは、それぞれの思想家によって異なっており、そのことが「無心」という概念の拡がりを示しています。
こうした見取り図のもとで、著者は鈴木大拙、井筒俊彦、世阿弥、沢庵、石田梅巌らのテクストを参照し、その解釈をおこなっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
わかりやすい。
気付かされたことは、無心概念の「ゆれ」は「こころ」そのものにあること。
「こころがない」のは悪い意味で、「こころがある」のは良い意味。しかし、「こころがある」と妨げになる。
こころがあるから、躓いてしまう。だから・・・という展開になる。 -
図解がすごく面白い。沢庵の話とか。