糖尿病とウジ虫治療――マゴットセラピーとは何か (岩波科学ライブラリー)
- 岩波書店 (2013年10月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000296175
作品紹介・あらすじ
四〇代以上は三人に一人が糖尿病になる時代。自覚症状がないまま進行し、気づいた時には足の潰瘍・壊疽により、下肢切断を余儀なくされる人も少なくない。いま切断せずに画期的に潰瘍を治癒する方法がある。なんとハエのウジ虫を使う。それはいったいどんな治療なのか。なぜハエなのか。驚きの治療の実際としくみを解説する。
感想・レビュー・書評
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糖尿病で足の切断にいたる話を耳にする。
糖尿病の合併症である神経障害や血管障害などは足の壊疽を引き起こすからである。この壊疽に対する画期的な治療法がウジ虫の活用。
ウジ虫の効能に気がついたのはジョン・ホプキンス大の若き外科医、第一次世界大戦の戦場でこれを発見した。
7日間もの間、風雨にさらされ食事も充分でない、骨が見えるほどの損傷がある重体の負傷兵に感染症の症状がないことに気がつく。患部をめくると大量のウジ虫が。
ウジ虫には、
1)腐敗箇所を取り除く、
2)細菌感染を抑える、
3)傷の治癒速度を早める、
の3つ力があると言う。
2)と3)まで備わっているのは驚きで、そのカラクリの説明も。
そもそもハエという生物の凄さにもびっくり、飛翔能力、繁殖力、嗅覚はピカ一の生き物であった。知的好奇心をくすぐりまくりの良書。
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古くからあるウジ虫治療。糖尿病の壊死した足をこれで治療すると効果があるそうだけど、その理由がよく分からないというのがおもしろいところ。
気持ち悪いところがあるけど、それでも治るのであれば、選択肢のひとつとして考えたい。 -
最初,何このトンデモ代替医療?と思ってしまったけど,どうやら実績ちゃんとあるらしい。無菌化した蛆虫に壊死組織を食ってもらって創傷(皮膚潰瘍)を治すという治療法の紹介。蛆虫には何と抗菌作用もあるらしい。湿潤療法然り,最近の創傷治療はだいぶ変わってきてるのかな。
糖尿病性潰瘍なんかで下肢切断を免れた例もあるとか。まだ自由診療だけど,そのうち保険が認められたりするのかな。 -
ハエの進化もすごいけど、人間の応用力もすごい。共生ってすばらしい。
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回虫でアトピーを治す本を思い出した。
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皮膚潰瘍部に無菌性ウジ虫を閉じ込めると、腐ったところをなくし、細菌感染をおさえ、傷を治す速度を速める。下肢切断から救える。
最近は、ウジもあまり見られなくなって、不潔・腐敗・汚染、といったイメージもなくなってきていますから、受け容れやすいんじゃないでしょうか。カワイイと言う話も聞きます。 -
面白かったです。