コブのない駱駝――きたやまおさむ「心」の軌跡

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000611589

感想・レビュー・書評

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  • 北山修 きたやまおさむ による私の履歴書。京都での加藤和彦との出会い、そして、思いがけなかった加藤との永遠の別れの背景等、精神分析医としての見方、確り書かれております。名曲、あの素晴らしい恋をもう一度、は、加藤からの鼻歌(メロデイー)の留守電に対し、北山が鼻歌(メロデイー)に詞を付け、加藤の留守電に帰したやり取りで作られた等、当事者がだけが知る物語が満載。私は、潔く去って行かない、という決意表明の書、でもあります。★三つかな。

  • フォーククルセーダースなんて今じゃあ誰も覚えていない。
    俺の世代は覚えている。
    生き残っているのは北山修だけ。
    一番の親友の加藤和彦は自殺した。
    北山は精神科医
    友達のことは身近過ぎてわからなかったのか?
    それほどまでに心の世界は不可解。
    それが正にコブのない駱駝なのか?

  • 北山修といえば、「おらは死んじまっただ」で知られるフォークルセイダーズのメンバーとして知っている人が多いかも知れない。あるいは、「戦争を知らない子どもたち」「あの愛をもう一度」「風」「花嫁」等の歌の作詞家として知っている人もいるだろう。しかし、かれは晩年九州大学や国際基督教大学、白鴎大学の精神医学の先生としても活躍しているのである。本書は北山がいかにしてそうなったかを、かれ自身の精神史として描いたものである。かれは京都の医者の息子として生まれ、小さい時から忙しい親にかまってもらえなかった。そのかれを支えたのはおばさんの存在だった。かれの家は京都駅の側にあった。駅というのは、もともと街の場末にあり、かれはその雑踏のなかで育った。そういう環境もかれの生育歴を形成する一つの要因だったろう。北山は早くから、心の問題で悩んでいた。それは「あれか、これか」という問題だった。その分裂したかれを救ったのはイギリスの精神医学者の「あれもこれも」の思想だった。北山は『古事記』や『夕鶴』を読み、その中に日本人の特性をさぐった。北山にとって加藤和彦は異質の存在であり、恋人的存在であった。その加藤が自死したことを救えなかったことはかれの精神医学をより深めたことだろう。

  • 北山修の自伝。若い頃にフォーク・クルセダーズで作詞家として活躍した自分と、精神科医としての自分について語る文章。
    特に印象に残った箇所。ポップ

  • フォークルが好きで北山君が司会のヤング720が好きだった。去年のコンサートはこの本の出版記念だったんだな。そういえば初めて買ったLPもフォークルだった。

  • サムさんの歌詞ってすっきりしていい詞が多いのだけど、実際に話しておられると、ちょっと冗長って云うのは、コンサートに行ったり、TVで話しておられるのを見て知っていたが、こうして本になっても同じ感じを受けた。でも、まあ昔の話は懐かしい。

  • 50年ほど前に「帰ってきたヨッパライ」で、一世を風靡したフォーククルセイダース。今や知っている人は、シニア世代となっている。加藤一彦と共にこのグループを支えていたのが著者、北山修。グループ解散後は、もとの医学生に戻り精神医学の医者として開業もし、九州大学で教授も勤めた。
    そんな北山氏が、自分の今までを語り、精神医学的に分析もし、精神医学を易しく教えてくれる。
    親友加藤一彦の自殺にも触れ、心に響くものでもあった。

    余談ですが、「ビブリア古書店」シリーズに出てくる本が読めない青年(名前が思い出せない)のような障害が本当にあるという事を知り驚いた。

  • 著者の分析的自伝。格好良い生き方をされてきた人だと思うが、裏も表も語り、あれもこれもで格好悪くても生きていれば良いと言う。多様性を尊重し、そのような生き方をされてきた著者だからこそ、今の時代に生きる言葉が多い。
    空虚感が最後に考察されるが、自伝的な体験から臨床経験を経て理解されていく流れがいたく共感できた。

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著者プロフィール

精神科医、臨床心理士、作詞家。
1946年淡路島生まれ。65年京都府立医科大学在学中にザ・フォーク・クルセイダーズ結成に参加、67年「帰って来たヨッパライ」でデビュー。グループ解散後は作詞家として活動。71年「戦争を知らない子供たち」で日本レコード大賞作詞賞を受賞。九州大学教授を経て現在白鷗大学学長。
著書『コブのない駱駝』『良い加減に生きる』他多数

「2021年 『「こころの旅」を歌いながら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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