ブリューゲルと季節画の世界

  • 岩波書店 (2022年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (596ページ) / ISBN・EAN: 9784000611602

作品紹介・あらすじ

《バベルの塔》《ネーデルラントの諺》など、時代を超え多くの人々を魅了する作品を遺したピーテル・ブリューゲル。風景表現の頂点とも評される連作「季節画」はどのように醸成されたのか。先例となる彩飾写本や版画などに描かれた人々の季節の営みや月暦図像を半世紀以上にわたり渉猟してきた研究者が、その連環を解き明かす。

みんなの感想まとめ

作品は、ピーテル・ブリューゲルの季節画を中心に、彼の芸術的表現やその背景を深く掘り下げる研究書です。読者は、ブリューゲルの作品が持つ魅力を再発見し、特に彼の描く北ヨーロッパの風景や人々の営みがどのよう...

感想・レビュー・書評

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  • ピーテル・ブリューゲルの研究書。ブリューゲルファンとして、とても面白かった。そして、これから鑑賞する上で、かなり参考になると思う。
    1章、北ヨーロッパの彩色写本、聖務日課書と時禱書の月暦行事と農事について、1月から12月まで、とてもわかりやすく述べられていて、とてもプラクティカルでユースフル。
    2章、16世紀ドイツの月暦版画、ハンス・ゼーバルト・ベーハムと工房・追随者、ヴィルギル・ゾーリス、フランツ・イザーク・ブルン、ヨスト・アマン。各月暦版画シリーズ比較。
    3章、16世記の都市の市民生活月暦。ルーヴェン月暦画付き天文時計、画像内容分析、。周縁の七惑星の子供達と黄道十二宮との関係。連作「アウグスブルクの月暦画」、製作者制作年代、前例となったイェルク・ブロイ(父)の下絵素描、作品分析。
    4章、諺に読む16世紀北ヨーロッパの月暦図像
    5章ブリューゲルの二素描春、夏とフランドルの月暦図像の伝統。写本版画との比較、三月造園、棚や籠用の木の枝の伐採、枝集め。四月、羊の毛刈りと放牧、市民の「庭園での愛の語らい」。5月、園遊と舟遊び、森の散策、ピクニック。六月、野菜や果実の収穫、羊の毛刈り。七月、干し草の収穫と収納、休息。八月、穀物の収穫。
    6章、連作「季節画」(1565)
    注文者ニクラース・ヨンゲリンクの別荘。フローリスとブリューゲルの対峙。作品に関する書類。作品数や月の同定など議論。グランヴェル枢機卿との関係。各画面構成と農作業への観察眼。書く場面、スポット毎の表現の説明。
    7章 ポストブリューゲルの月暦画、ブリューゲル様式と影響
    アルクマール逸名画家の連作。ヴァン・ヴァルケンボルフ兄弟、マールテン・デ・ヴォス。ハンス・ボル。ヤン・ヴァン・デ・ヴェルデ2nd。コルネーリス・デュサルト・ベネディクトボイエルン修道院
    ちょっと高額なので、とりあえず図書館で借りたが、
    これは良い。必要に応じて閲覧するのもありだが、
    タイミングがあれば、購入も考えたい。

  • 「芸術新潮」2013年3月号は豪華な特集号だった。ブリューゲルの作品40数点がカラーで一挙掲載、そこに森洋子先生の解説がついていた。ページを繰るたびに、いまも新たな発見がある。
    その文中には、ブリューゲルの季節画をテーマにした著書を「準備中」とあった。そして待つこと10年、ようやく本書が出た。600ページ、圧巻。
    ブリューゲルの季節画の連作はもとは6点あったようだが、現在残るのは≪暗い日≫、≪干草の収穫≫、≪穀物の収穫≫、≪牛群の帰り≫、≪雪中の狩人≫の5点。制作年は1565年。それまでブリューゲルは、都市部の民衆の生活を描いていたが、ブリュッセルに居を構えてからは、周辺の農村に出かけて、その風景をテーマにした。本書では、このブリューゲルの季節画を中核に据えて、その時代の月暦画、農事や年中行事との関係が論じられている。詳細ながら、過不足ない筆致。円熟した研究とはこういうものを指すのだろう。
    森先生は、ブリューゲルの季節画がご自身の故郷、新潟・高田の風景に重なるという。≪穀物の収穫≫は稲穂の垂れた越後のたんぼ、≪雪中の狩人≫は冬の妙高山や頚城山脈。そのように見ると、確かに、昔どこかで見た風景、懐かしい風景のように感じられる。

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著者プロフィール

明治大学名誉教授/ネーデルラント美術史

「2018年 『ネーデルラント美術の誘惑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森洋子の作品

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