- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000612678
感想・レビュー・書評
-
主流派経済学とは一線を画し、著者は銀行セクター、民間債務の役割に焦点を当てる。
債務の増加は経済成長やブームをもたらすが、債務の増加には限界があるため、一線を超えると債務の増加ペースが減少する、あるいは債務自体が減少に転じることでバブル崩壊、経済成長の低迷へと繋がる。
伝統的な経済学の教科書とは異なるが、事例は著者の主張に沿っていて、中国の危うさへの警告は首肯できる。
一方、書き足したと思える日本人向けの序論で、日本企業の債務は過剰だと主張する。日本企業は借金を押さえ、設備・人への投資を抑えたことが経済低迷の一因だと思っていたが、それは誤認だったのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
次の金融危機は、アイルランド、香港そして中国で発生する、というのが本書の見方である。これら筆者が言うところの負債ゾンビ国・地域の金融危機は回避できないという。その背景として、一番大きな要因になるのが貸出の伸び、民間債務の対GDP比であるというのが論点である。
金融危機に至るプロセスの難しさは、失業率とインフレの低下の時期を経験する大平穏(グレート・モデレーション)をその予兆として、金融経済における複雑システムに内在する諸要素の相互作用に由来し、新しい性質が露わになる過程から、初期条件において感じられないほどの僅かな差異が、複雑システムがたどる経過の予測を本質的に不可能にするところにあるという。
なかなか見つけられないものなのである。
こうした主張を踏まえて、我々は次の金融危機にどのように備えていくのか。突然の激震に襲われることはそれほど遠い話ではないような気がしている。 -
東2法経図・6F開架 338.01A/Ke18t//K