試される民主主義 20世紀ヨーロッパの政治思想(下)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000613521

作品紹介・あらすじ

ウェーバー,シュミットから,フーコー,ハヴェルまで,二〇世紀ヨーロッパを舞台に,民主主義をめぐって思想家たちが織りなしたドラマ.上巻では戦間期の新しい思想的実践とその挫折を,下巻では冷戦期の民主主義の競合と文化変容を描く.

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  • 左派ポピュリズムが陥る右傾化の罠 | 違いなき政治に違いを | グローバルアイ | 週刊東洋経済プラス
    https://premium.toyokeizai.net/articles/-/20140

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    ウェーバー,シュミットから,フーコー,ハヴェルまで,二〇世紀ヨーロッパを舞台に,民主主義をめぐって思想家たちが織りなしたドラマ.上巻では戦間期の新しい思想的実践とその挫折を,下巻では冷戦期の民主主義の競合と文化変容を描く.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b458092.html

  • 民主主義は、一次大戦とロシア革命を機に新しい思想と実験が始まり、ファシズムと二次大戦を経て、ソ連型社会主義と西欧型社会民主主義、それにキリスト教民主主義が三つ巴となって展開していく様を丁寧に記している。完全には理解できなかったが、勉強になった。
    「決定権力を、資格ある専門家にではなく、無資格の労働者に与えても意味がない」p35
    「自由民主主義の安定を脅かす最大の脅威: リスク、不確実性、無知の3つの悪(ケインズ)」p37
    「戦争が国民をより均質化し、国民内部の階級差を減少させた」p43
    「社会主義は、その指導者がいかに人道的で善意に満ちていても、必然的に、計画を担う中央の権威を樹立することになる」p48
    「全体主義にならぬ社会主義はありえない」p49
    「社会主義と全体主義は絡み合って分離できません。どちらも目的は国家崇拝なのです」p50
    「(対ナチスの戦争)個人の権利を堅固な岩の上に樹立するための戦争であり、人格の高い水準を打ち立て、蘇らせるための戦争(チャーチル)」p55
    「(スカルノ)自由と解放は世界で特に恵まれた国民だけのものだろうか。インドネシア人は、オランダ人がインドネシアを支配することが正しいのに、ドイツ人がオランダを支配することがなぜ不正なのか、決して理解できないだろう。どちらの場合も支配する権利は純粋な強制力に依拠しているのであって、人民の承認に則っているのではない」p56
    「(チェコ共産党 デニェック・ムリナーシ)我々には政治的経験が欠けていた。我々の唯一の経験は戦争とナチのチェコスロバキア占領であり、その時期の半分は、我々はまだ子どもだった。その一つの帰結は、一方を敵に、その相方を他方に置く、世界を白か黒かに分ける見方だった」p60
    「(ハンガリー動乱)労働者と学生のデモは暴力的鎮圧以外の方法では統制不可能に思われた」p67
    「経済は手段に過ぎない。目的は魂を変えることにある(マーガレット・サッチャー)」p144
    「高度資本主義が「民主主義」や「自由」と特に結合しやすい親和性があるなどと見なすのは笑止千万である。資本主義の支配下で、民主主義と自由が長期的にいかにして「可能」なのか、だ(マックス・ウェーバー)」p144
    「(民主主義の危機)(サミュエル・ハンチントン)あまりに多くの人々が、あまりに多くの事柄を統治から得ようとしており、その結果、過剰なまでに統治に参加することを望み、そのことが国家運営をかつてなく困難にしている」p148
    「(政府の仕事は政治家に、究極的には官僚機構に委ねるべき)システムは、システムの周りの世界をそれ自身理解可能なものとすることによって、世界の複雑さを縮減してきた。あるシステムによる別のシステムへの干渉は、どんなものであれただちに逆効果を生み出す。したがって、政府が国家行政システムの外部からの「価値」を実現できるなどと考えること自体が、一種のカテゴリーの取り違えである」p149
    「(1979)「人権」が左翼と右翼を和解させる脱イデオロギー的、あるいはむしろ脱政治的な合意のシンボルとなった」p158
    「全体主義とは一度に完全かつ最終的な確実性を獲得しようとする試みである。これに対して民主主義とは、制度化された不確実性なのである」p224

  • 東2法経図・6F開架:311.2A/Mu29t/2/K

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著者プロフィール

(Jan-Werner Müller)
1970年ドイツ生まれ。ベルリン自由大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジ、プリンストン大学などで学び、オックスフォード大学で博士号を取得。2005年よりプリンストン大学政治学部で教鞭をとり、現在、プリンストン大学政治学部教授。邦訳書に、『カール・シュミットの「危険な精神」――戦後ヨーロッパ思想への遺産』(中道寿一訳、ミネルヴァ書房、2011年)、『ポピュリズムとは何か』(板橋拓己訳、岩波書店、2017年)がある。

「2017年 『憲法パトリオティズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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