小澤征爾,兄弟と語る 音楽,人間,ほんとうのこと

  • 岩波書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000615259

作品紹介・あらすじ

六十年以上にわたり世界を舞台に活躍してきた、クラシック音楽界の巨匠、小澤征爾。中国に生まれ、引き揚げ後の貧しい暮らしと音楽武者修行を経て、多くの人に支えられ切り拓いた、その人生。昔ばなし研究者の兄・俊夫と、エッセイストでタレントの弟・幹雄との、やわらかで率直な語りあいにより、これまでの歩みをふりかえる。

感想・レビュー・書評

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  • 小澤俊夫、小澤征爾、小澤幹雄「小澤征爾、兄弟と語る 音楽、人間、ほんとうのこと」家族以外なかなか聞けない貴重な会話に小澤家が近しく感じられて心地よい | Mikiki
    https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/31919

    小澤征爾、兄弟と語る - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b600975.html

  • 人間の才能、子供の才能を伸ばすには何が大事なのか、小澤の幹雄、征爾、俊夫の三兄弟を見ていると、単に財力、本人の意志、周りのサポートがありますが、その中でもこのサポートが大事なんですよね、それもお金よりも心から応援しているという熱意。アスリートには本人以上に入れこんでおられるご両親が居られますな。

    私の場合、子供たちへの過度の期待は駄目だと遠慮してましたが、期待と応援とは違うものだったんですな・・・。

  • 小澤征爾さんがお亡くなりになって一定期間が経つと、どの書店の話題書のコーナーにも「小澤征爾特集」のスペースができた。小澤さんの書籍は、村上春樹との対談集「小澤征爾さんと、音楽について話をする」と有働由美子さんがインタビューした「小澤征爾 指揮者を語る 音楽と表現」の二冊のみしか持っていなかったので、それ以外の書籍として岩波書店から一昨年前に出版された本書を買ってみた。

    既にお亡くなりになった長男を除く三兄弟で2017年に対談した。まるで備忘録の様な語り口になっている。小澤征爾の音楽に関する内容はあまり少なくて、バックグラウンド系の話が多くを占め、次男の俊夫や四男の幹雄の音楽に関係ない話がやや多く、それらが連続して書かれている部分はすっ飛ばして、いや、斜め読みで読み進めた。

    小澤征爾について、この本で初めて知った内容を列挙してみたい。
    〇 父は歯医者だった。満州での生活を進めるうちに、後に市民政治家になった。
    〇 立川に住んでいたことがある。
    〇 成城(中学)の時に、ソニーの井出伸之がいた。
    〇 桐朋(音楽科)を作った江戸英雄の長女である江戸京子とは桐朋女子高の時の同期。後に結婚するが結婚期間は4年間だった。
    〇 桐朋時代の女友達のお父さんが留学費用をポンと出してくれた。しかもそのお金を踏み倒したらしい。以降、如何にしてパトロンを捕まえるかが出世のポイントとなった。
    〇 ロストロポーヴィチは相撲好きで、千代の富士の三女がお亡くなりになった時に、ヨーロッパから日本に来て、千代の富士宅の玄関でバッハをチェロで弾いて、すぐに帰っていった。
    〇 カルロス・クライバーは小澤征爾のボストンの家とパリの家によく入り浸っていた。
    〇 次男俊夫の息子である小沢健二(小澤ではない)は今も音楽をやっており、フジロックフェスティバルにも出演していたらしい。
    〇 暗譜が大好き。毎朝四時五時起きして勉強、夜はお酒飲んだらバタンキュー。
    〇 水戸室内で第九をやった時、バボラークが第一第二楽章を指揮して、第三楽章は舞台で第三楽章のソロを吹いた。
    〇 バボラークはベルリンフィルの首席時代に古株の連中から「この様に吹け!」と強要されるいじめを受けたのだが、言われたとおりに吹いたらいじめが無くなったらしい。
    〇 バボラークは自身があと十年くらい(2027年くらい?)でホルンが思い通りに吹けなくなると予想している。だから小澤征爾から指揮を学んでいるとのこと。
    〇 小澤征爾はメシアンに特に気に入られていたらしい。

    征良と征悦との関係については触れられていなかった。一日も早く和解しないと征爾が化けて出るぞ!まあ、私としては幽霊でも良いからお姿を再び拝見したい。

  • 岩波の新聞広告で見て、面白そう!と飛びついて借りたはいいのだけど、本当に「語る」本で思っていたのとあまりに違ったのでした。
    小澤征爾は男ばかり4人きょうだいの三番目で、長兄は早逝しているので、残った三人が集まると文字どおり「小澤征爾とその兄と弟」である。で、2017年の一年間に9回にわたりその三人で「語りあい(本書内での呼称)」の機会を持ったものをそのまま文字起こししたものなので、看板に偽りがないといえばないのである。註がふんだんについているので話についていけないということはないし、面白い挿話も散見される。
    のだが、やはり座談会というのは話が蛇行するのである。しかもおじいちゃん三人の座談会だし、蛇行ではなく徘徊というか推して知るべしである。まあ、平均年齢80越えということを考えると奇跡的にまとまっている方だとは思うが、なかなか読みづらかった。途中で小沢健二が登場していたりするのももしかしたらサービスのつもりなのかもしれないが意図がよくわからなかった。
    かっちりとドキュメンタリーになっているものよりもこういう形の方がとっつきやすいという方もいらっしゃるかもしれないのだが、個人的にはもう少し整理された普通の散文で読みたい。読み終わってまず感じたのは、岩波はなぜもう少し編集でなんとかしなかったんだろう、という疑問である。小澤俊夫センセイのご意向に配慮したのかもしれないが、それは忖度というものであり、配慮すべきはそこではないだろう。買って読んだわけではないのでこれ以上文句を言うのもどうかとは思うのだが、有名人で小遣い稼ぎをするような真似は岩波にはして欲しくないのであるが、如何。

  • 世界的指揮者ー小澤征爾と兄弟による家族のオーラルヒストリー。 音楽を中心に兄弟が語ったファミリーヒストリーをまとめたもの。
    よく知らなかったが、小澤征爾の兄は筑波大学の名誉教授で口承文芸学者であり、昔話研究の第一任者である。 弟は俳優でタレント、エッセストとして活躍していたらしい。 兄の子はシンガーソングライター。小澤征爾の子は、俳優とエッセイストとして活躍する芸術一家だ。
    9回に分けて、小澤征爾一家の中国の生活から学生時代、留学、指揮者としての成功、共演者、その後までを語っており大変面白く読めた。 今までの彼の本には出てこなかった家族や先生、知人等のエピソードが多数紹介されている。 驚いたのは、3人の記憶力の良さ。 80歳後半の兄弟が、昔に関わった人の名前や出来事、読者には全く判らない話(本当かどうかも判らないが)まで詳細に覚えている。一人では思い出せないことでも、同じ生活を共有していたので記憶がよみがえるのだろう。
    ちなみに、会話の中で小澤征爾は自分のことを「オレ」と言っている。彼の最初の本は「ボクの音楽武者修行」だから、自分のことを「ボク」と言うのかと思っていた。

  • 2022.10.3市立図書館
    だれもが知っているのは指揮者の小澤征爾だと思うが、お兄さんで口承文芸学者の小澤俊夫は大学時代のあこがれだったし、弟で俳優・放送タレントの小澤幹雄といえば高校時代に父といっしょに「やわらかクラシック」を愛聴していたという縁があり、すごい三兄弟である。
    この本は小澤俊夫の発案で、(故人となった長兄克己以外の)80を超えた三人が「語りあい」の機会を作り征爾の来し方を中心に振り返ったもの。写真好きな父親のおかげで中国時代の兄弟で写った写真から青春時代を経て最近のものまで写真もたくさん。

    敗戦とともに全財産を失って貧乏だったのに、それぞれの子がやりたいことを勉強をさせてくれた父・開作と母・さくらへの感謝の気持ちを残しておくべくして集った仲のよい兄弟の「おれ」と「おまえ」モードでの気楽なおしゃべり。子どもや孫や他人が聞き出すのとはまた違った本音が飛び出しそうで、こういうのもいいなと思う。兄弟みな合唱という共通体験があって音楽について話せるのもいい。ロストロポーヴィッチやアルゲリッチの話がたくさんでてくるのがうれしかった。

    それにしても、でてくる人(=付き合いのあった人、支えてくれた人)の名前が豪華すぎてクラクラする。そして遠い親戚だとか父親や兄貴が知り合いだからというコネでポンとお金を出してくれたり船にもぐりこませてくれたり(無賃でも特別待遇だったり…)、お父上や小澤征爾さんの人たらしも才能のうちとは言えるけど、ルール違反にきびしい現代だったらとても考えられないようなラッキーに次ぐラッキーでさまざまなことが実現していくのがすごい。今だったらこうはいかない、いろいろなものが失われてしまったと実感する。

  • 仲の良い兄弟だ
    両親の愛情豊かに育ったことが会話の中に溢れている
    芸術は才能だけではなく、周りの環境も大切である
    自分の兄弟とこういう風に語り合えたらと思わせる一書

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著者プロフィール

1930 年生まれ。口承文芸学者。
筑波大学名誉教授。小澤昔ばなし研究所所長。
日本や世界の昔話の研究を続け、1992 年から全国各地で「昔ばなし大学」を開講、
昔話の魅力を広く伝え、語りの普及に努める。

「2022年 『昔話の扉をひらこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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