台湾の少年 2 収容所島の十年

  • 岩波書店
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000615464

作品紹介・あらすじ

一九五〇年、無実の罪で逮捕された蔡焜霖は、激しい拷問に遭い、自白を強要されると、政治犯として離島・緑島(ルビ:りょくとう)に送られる。強制労働に従事し、「再教育」を受ける長くつらい十年間、支えになったのは家族の手紙や、同じように収容された人びととの友情だった。白色テロの深い傷を描いた台湾の傑作歴史コミック、第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 蔡焜霖氏が収容所で過ごした10年間を描いた2巻目は、画調が一気に暗くなる。版画によると思われる箇所が多く、深い傷を負ったような絵柄に恐ろしさ、理不尽さをかきたてられた。前回1巻の感想で蔡焜霖氏の弟のことを書いたが、まさか彼が亡くなっているとは…。取り返しのつかない負の歴史に思える。

    20歳から30歳という青春真っただ中に強制労働と思想改造を強いられた蔡焜霖氏。不屈の精神と、前向きに努力する姿勢には、ただただ敬服するしかない。漫画に登場する人物はいずれも一見無表情だが、ゆっくりながめると、極限までそぎ落とした線が、複雑な心模様を表しているのがわかる。

    1巻2巻とも猛スピードで読んでしまった。3巻はまだ手元になく、早く読みたくてたまらない。

  • 20歳の焜霖はある日「訳もわからないまま」逮捕された。彼は台北一中出身。逮捕されたあと、たばこを押しつけられる、電気ショック、といったことをされ、高校2年のときに読書会に出たか、と尋問される。読書会に参加したことで、政治犯とみなされ、投獄され、その後、緑島という流刑地(収容所島)へ。
    彼の父親は自殺し、警察を彼のところに案内した弟は母親に責められた。

    図書館の新刊の棚にあったので、手にとった。
    「白色テロ」の被害者がどのように生きたのか、生き抜いたのか、淡々と、描かれている。

    なんとも。言葉にならない。
    「歌仔戯」というものがあることを初めて知った。
    時々出てくる言葉が日本語だったり、日本語の歌だったりするところがこれまたなんとも。台湾という場が置かれた歴史的な環境が垣間見れて、これまたなんとも。

    なんとも、しか言えない。

  • 読書会に参加しただけで、十年もの懲役に服したなんて、悲しい歴史の一ページです。

  • 収容所の壮絶な内容。淡々と描かれている分、胸に刺さる。今でも心に血を流しながら生活している人がいるんだろうな。取締る側が今どうしているのかも気になる。

  • でたらめな白色テロによって長期間収容されたり殺されたり。国は違ってもやることやられることはそっくりだ。多様性を拒み平気で差別するくだらない人間にだけはなってはいけない。

  • 国民党のさまざまな、思想矯正施設、監獄を経験する。

    火焼島、国民党が緑島と改名。美しい南の島。
    ペラグラという病になる。栄養不足ビタミンBとタンパク質不足で太陽に当たりすぎるとこの病にぬり皮膚が痒くなる

    中国共産党と戦い思想統制を行なっている国民党政権も、毛沢東、中共の、下放と同じ様なことをしていたのが興味深い。インテリ層、学生、教員、学者等が島流しされて、畑をしたり石割りをしたり豚を飼っていた。

    監獄島に残る先輩からのアドバイス。振り返るな、振り返っちゃだめだ。
    人生は続き、殺されてしまった仲間たちの分まで長く続いていくのだ。

  • 罪を負わされ収容されていた10年間。
    希望を見出すことができない状況下で、生き続けることのできる人ってどんなひとだろう。わたしが同じ立場になったら、心も体もすぐに負けてしまいそう。

    台湾でほんの数年前に起こった出来事なのに、とても昔のことに感じる。収容されている方がご存命のうちにもっと声を聞いておきたいと思った。

    20230624

  • 台湾でこのようなことがあったのか。外省人と内省人の対立ということは聞いたことがあったが、十年にも及ぶ長期に無実の者をとらえていたなんて。漫画であるが、読むのが辛くなるような内容だった。

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