台湾の少年 収容所島の十年 (2)

  • 岩波書店 (2022年7月11日発売)
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Amazon.co.jp ・マンガ (190ページ) / ISBN・EAN: 9784000615464

作品紹介・あらすじ

一九五〇年、無実の罪で逮捕された蔡焜霖は、激しい拷問に遭い、自白を強要されると、政治犯として離島・緑島(ルビ:りょくとう)に送られる。強制労働に従事し、「再教育」を受ける長くつらい十年間、支えになったのは家族の手紙や、同じように収容された人びととの友情だった。白色テロの深い傷を描いた台湾の傑作歴史コミック、第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 第2巻。
    台湾の戦後がこんなに過酷だったなんて全然知らなかった。日本軍が去り、蒋介石率いる国民党が台湾に逃げてきて以降、台湾では当然、共産主義的な思想は厳しく取締られた。厳しく、というより過剰に。

    主人公の少年も、まだ何も知らない若い頃に、そうした思想に浸った人物による読書会に参加したかどで逮捕され、拷問にかけられ、緑島にある収容所に送られ、そこでなんと10年近くを過ごす。

    中には、終身刑になった人や、銃殺された人もいる。
    私の台湾の友人の親の世代が過ごした時代だ。そしてその友人の親は、権力の側にいた人だ。だから、とても複雑な思いで本書を読み終えた。

    そうした顛末が、版画のようなタッチで劇的に描かれる。
    どうやら、各巻ごとに絵のタッチも変えてあるようだ。それを見るのも楽しみ。

  • 蔡焜霖氏が収容所で過ごした10年間を描いた2巻目は、画調が一気に暗くなる。版画によると思われる箇所が多く、深い傷を負ったような絵柄に恐ろしさ、理不尽さをかきたてられた。前回1巻の感想で蔡焜霖氏の弟のことを書いたが、まさか彼が亡くなっているとは…。取り返しのつかない負の歴史に思える。

    20歳から30歳という青春真っただ中に強制労働と思想改造を強いられた蔡焜霖氏。不屈の精神と、前向きに努力する姿勢には、ただただ敬服するしかない。漫画に登場する人物はいずれも一見無表情だが、ゆっくりながめると、極限までそぎ落とした線が、複雑な心模様を表しているのがわかる。

    1巻2巻とも猛スピードで読んでしまった。3巻はまだ手元になく、早く読みたくてたまらない。

  • 20歳の焜霖はある日「訳もわからないまま」逮捕された。彼は台北一中出身。逮捕されたあと、たばこを押しつけられる、電気ショック、といったことをされ、高校2年のときに読書会に出たか、と尋問される。読書会に参加したことで、政治犯とみなされ、投獄され、その後、緑島という流刑地(収容所島)へ。
    彼の父親は自殺し、警察を彼のところに案内した弟は母親に責められた。

    図書館の新刊の棚にあったので、手にとった。
    「白色テロ」の被害者がどのように生きたのか、生き抜いたのか、淡々と、描かれている。

    なんとも。言葉にならない。
    「歌仔戯」というものがあることを初めて知った。
    時々出てくる言葉が日本語だったり、日本語の歌だったりするところがこれまたなんとも。台湾という場が置かれた歴史的な環境が垣間見れて、これまたなんとも。

    なんとも、しか言えない。

  • これは多くの人達が時代に翻弄されてきた記録だ。
    国民党、蒋介石、など受験で知識として知っていたが、戦後の台湾でこのような事が起こっていたとは知らなかった。
    独裁政権下では何が起こるのか、私たちは知っておかねばならない。

  • 第1巻で、簡単に読めたと書いてしまったけど、第2巻で、全く簡単に読める漫画ではない、と悟った…
    無実の罪で10年も収容されるという、その過酷な日々を思うと心が砕かれそうになる。
    歴史を知らないまま、海外の方、特に東アジアの方々と話すわけにはいかないな、と思う。

    今の時代も、この時代とあまり変わらないのでは?と思う箇所もあり、暗い気持ちにもなる。

  • 読書会に参加しただけで、十年もの懲役に服したなんて、悲しい歴史の一ページです。

  • 収容所の壮絶な内容。淡々と描かれている分、胸に刺さる。今でも心に血を流しながら生活している人がいるんだろうな。取締る側が今どうしているのかも気になる。

  • でたらめな白色テロによって長期間収容されたり殺されたり。国は違ってもやることやられることはそっくりだ。多様性を拒み平気で差別するくだらない人間にだけはなってはいけない。

  • 国民党のさまざまな、思想矯正施設、監獄を経験する。

    火焼島、国民党が緑島と改名。美しい南の島。
    ペラグラという病になる。栄養不足ビタミンBとタンパク質不足で太陽に当たりすぎるとこの病にぬり皮膚が痒くなる

    中国共産党と戦い思想統制を行なっている国民党政権も、毛沢東、中共の、下放と同じ様なことをしていたのが興味深い。インテリ層、学生、教員、学者等が島流しされて、畑をしたり石割りをしたり豚を飼っていた。

    監獄島に残る先輩からのアドバイス。振り返るな、振り返っちゃだめだ。
    人生は続き、殺されてしまった仲間たちの分まで長く続いていくのだ。

  • 罪を負わされ収容されていた10年間。
    希望を見出すことができない状況下で、生き続けることのできる人ってどんなひとだろう。わたしが同じ立場になったら、心も体もすぐに負けてしまいそう。

    台湾でほんの数年前に起こった出来事なのに、とても昔のことに感じる。収容されている方がご存命のうちにもっと声を聞いておきたいと思った。

    20230624

  • 台湾でこのようなことがあったのか。外省人と内省人の対立ということは聞いたことがあったが、十年にも及ぶ長期に無実の者をとらえていたなんて。漫画であるが、読むのが辛くなるような内容だった。

  • 最初に三巻を読み、二巻目に入った。はからずしも、そろわずに読む順が逆になってしまったのだが、三巻目を読んでいたときに折に触れ白色テロという言葉が出てきた。何か不条理なものにまきこまれたのだな、ということは察した。だが、二巻を読んでわかったのは、どのような方向に社会が向かうとしても、一般の人の考え方がどうであれ、権力が移動すると抑圧はおこって、それが右であろうが、左であろうが、起きることはほとんど変わりがない。自由主義、資本主義社会が選択されたとしても起こっていたということにやはり、驚く。思想信条は外からみえない。しかも、相手が疑いがあると思えば無くてもあることになるのである。フランス革命や、人権宣言は、少数者の人権を守るための方策をこうじたけれど、日本ではそれは、戦争に負けたことによってもたらされた。つまり憲法である。実際を体験せずに人権を獲得した日本という国に不安を感じた。たぶん、ウクライナの戦争や、さまざまな亀裂は、権力のこういった用いられ方がなくならない限り繰り返されるのだろう。恐れは、混乱を増幅するだろうし、本当の意味での賢い選択をしないといつか後戻りができなくなる。そんな予感がした。

     

  • 大陸の共産党と対峙するためとはいえ、かくも過酷な現代史があったのか…。

  • 東2法経図・6F開架:726A/Ta25t/2/K

  • 726.1||Yu||2

  • 第2巻は、無実の罪で逮捕された蔡焜霖が、激しい拷問によって自白を強要され、政治犯として緑島に送られ、そこで強制労働に従事させられ、「再教育」を受ける10年間が描かれる。全体に暗いトーンで描かれているが、時折入る見事なブルーが美しく印象的。

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