- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001140729
作品紹介・あらすじ
気まぐれな女王が、真冬に4月の花マツユキソウをほしいといいだし、国じゅう大さわぎ。継母の言いつけで吹雪の森に分け入った少女は、12の月の妖精たちに出会います。スラブの民話をもとにつくられた楽しい児童劇。小学5・6年以上。
感想・レビュー・書評
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心優しい勤勉な少女のシンデレラ物語。
12の月たちとの出会いにワクワクし、我儘な女王はじめ登場人物・動物たちのキャラクターが面白いと思った。意地悪な継母とその娘が最後すごいことになり残酷だけどスカッとした。
本書は童話劇。舞台を観たくなる。戯曲で読みやすい。
台詞に詩(歌かな!?)が入るのが良い。作者が詩人だからだろうか。音読したくなる。
先日、スラブの民話の再話絵本「十二の月たち」を読んだので、そのきれいな絵をイメージしながら読んだ。
(訳者あとがきより)
原題は"Dvenadtsat’ Mesyatsev"(十二月ツキ)。それを訳者が岩波少年文庫のために「森は生きている」として読者から喜ばれこの表題で知られる。
日本語の綴音「十二月(ツキ)」は、原題に比べて音の上でも言葉の感じからも違い魅力に乏しく、岩波書店の希望もあって変えた。
この作品は古くから伝わるスラブの伝説を元にして書かれた。 -
"大晦日に読む本"といったらこれ!
何しろズバリ12月31日の出来事を描いた戯曲だから。…とは言え、再読したのが子どもの時以来なので、色々と再発見があり、面白く読めました。
明日の「新年招待会」に4月に咲くマツユキソウが欲しいと言い出したわがままな女王。国中が大騒ぎになります。意地悪な継母の言いつけで森に入った娘は、12の月の妖精たちに出会い、マツユキソウと魔法の指輪を受け取ります。
まず知らなかったのはタイトルの「森は生きている」が、翻訳家の湯浅芳子さんのオリジナルだったこと。ロシア語の原題は「十二月」というような意味。名訳ですよね。
また、戯曲で役が決まっているからとは言え、主人公の個人名ではなく、『ままむすめ』でセリフが割当てられていることにも驚きました。そうだったんだ。覚えてなかったなぁ。
劇として観た•経験した、という人は多いと思いますが、案外ディテールは忘れている人の方が多い作品のような気がします。
慌しい日の一服の清涼剤に如何でしょう。1月1日が無事に来るといいですね。来年もよろしく。 -
購入して未読のまま、長年本棚にあったうちの1冊。
「旧い本を、ちゃんと1回読んでから断捨離しよう」計画の一環として。
大昔、私自身が小学生の頃、学校の体育館で劇団が上演してくれたような気がするが、定かではない。
本書は、今度は自分の子供達が小学生の頃に買ってやったのだが、たぶん誰も読んでいない。
今回初めてちゃんと読んだ。
典型的意地悪な継母と義姉と、典型的に高慢で世間知らずの女王が、まあ鼻につくし許しがたい。
そんな話。 -
「四月、四月って!そんなこと、わたくしはもうききたくない」―女王さまのセリフより
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女王さまは怖いけど、ドキンちゃんのようにどこか憎めないところがあります。
昔(たしか小学2年の頃…)、担任の女性の先生が教室で「森は生きている」をピアノで歌ってくれたのを思い出しました。
いい先生だったな…。
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スラブの伝説をもとにマルシャークが1946年に書いた戯曲。1月から12月までの精が月ごとに季節を統べるという設定が素敵。まま母やその娘である義理の姉にいびられる美しい娘が主人公。彼女らが住む国には親に死なれた王女がいて、無理難題を周りにふっかけ、そのとばっちりを受けた主人公が、大晦日にマツユキソウを取りに行かされる。凍えて死ぬ寸前の娘は12の月の精に焚き火にあたらせてほしいと丁寧にお願いし、事情を話す。優しい4月の精のおかげで、カゴいっぱいにマツユキソウを摘んだ娘は家に帰りつく。しかし、強欲な王女はまたしても無理難題を言い出し、娘に季節外れの食べ物を要求する。
感謝もお願いもできない王女は、しかし、案外いい人かもしれない。最後には12の月の精たちに教わり、お願いを口にできるようになり、もしかしたら友達もできるかもしれない、と思わせるラスト。
12の月の精の個性を書き込んでもう少し長い小説にしてもいいのに、などと妄想してしまった。
詩人でもあるマルシャークによる詩がたくさん出てくる。実際の演劇ではそこが歌になっているものもある?劇も見てみたい。 -
裕福で権威はあるが、心が貧しい女王
貧乏でいじめられながらも、心豊かなまま娘
心が豊かである。これが生きる上で本当に大切なことだと思った。
読み始めたときは驚いた。他の小説とは形式が異なるのだ。誰が話しているのかが記載され、風景や人物の行動まで書いてある。まるで台本を読んでいるかのようだった。最初は読みにくかったが、慣れると読書をしているような、舞台を見ているような、不思議な気分だった。
あらすじ
まま娘は、まま母とその娘と暮らす。まま娘は、いじめられながらも、心優しく強く生きていた。
ある日、強情な女王が、新年にマツユキソウ(春の花)を持ってくるよう命令する。周囲の役人が女王を諭しても、死刑にする、など言う。「自分は絶対」の考えが強い。そしてマツユキソウをもたらしたものには、銀貨を与えるという
銀貨の欲しいまま母と娘は、まま娘を冬の寒空に送り出す。凍えかけたそのときに、偶然まま娘は、12ヶ月の神様に出会う。そしてマツユキソウと魔法の指輪を手に入れる。
まま母と娘はマツユキソウを持ったまま娘に驚きながらも、マツユキソウと指輪を奪い、女王に献上しに出かける。しかし女王は共に他の植物を見に出かけたいと言い始める。困った彼女らは、正直に話し、まま娘に共に行くよう命令する。
その後まま娘は、女王やまま母と共に出かける。しかしなんとしても12ヶ月の神様、マツユキソウを手に入れた方法は話さない。腹を立てた女王が指輪、まま娘を凍った湖に投げ捨てようとした。そのときまま娘は魔法のおまじないを唱える。すると12ヶ月の神が現れ、まま娘を助ける。まま娘は美しい洋服とそりを手に入れる。
まま母と娘は犬になる。女王はまま娘に都まで送り届けるよう懇願する。
まま娘は優しく承諾し、温かい服を渡す。
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『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~』から『雪の断章』、『雪の断章』から『森は生きている』に流れ着いた。戯曲作品ということで、場面の描写とセリフで物語は進行していく。
マツユキソウをとってきた者には、かご一杯の金貨を出すー。
幼く傲慢な女王の出したおふれに目が眩んだ老婆とむすめは、ままむすめに森へ行ってマツユキソウをとってくるよう命じる。
真冬に咲いているはずのない春の花を、ままむすめは不思議な出来事から摘んで帰るが、マツユキソウを持って行った老婆とむすめは、女王に森のその場所へ案内しろと迫られる。
ままむすめを騙し、老婆とむすめ、女王と側近たちは森へ行くが…。
児童文学らしい設定と展開。戒めや教訓もある。
登場人物(動物)も多くて賑々しいので、本よりも舞台劇として観れたらより楽しそうに思えた。 -
題名だけは知っていたけど、そういや内容よく知らないなーと思って読んだもの。ロシアの詩人がスラブの民話をもとにつくった児童劇。原題をそのまま訳すと「十二月」になるそうで。
真冬に4月に咲く「マツユキソウ」をねだる気まぐれでわがままな女王さま、継母の言いつけで真冬の森に花を探しに行く少女…。読んでて色々辟易するけど、少女と十二月の精たちが出会い、やりとりをする場面はとても幻想的ですてきでした。読後感もすっきり。舞台の台本のような形式なのですが、会話が軽妙でおもしろかったです。 -
スラブ民話を元にした、サムイル・マルシャークの名作戯曲。
民話に近い、お話のろうそくの12のつきのおくりものとはまた違い、わがままな女王が出るのが特徴。誰も制することができなかった女王が、12の月たちやままむすめに影響され改心していく様子が感動的。舞台が観たくなった。 -
保育園の時に森は生きているの劇をやったことがあるけれど結末を忘れてしまったので久しぶりに読んだ。ころがれころがれ指輪よ〜♪♪の歌が未だに忘れられない。
冒頭の絵本もすてきそうですね。絵のイメージを抱いたまま読むの、良いですね!
コメントをありがとうございます。
訳者がつけたタイトルで、勝手に改題した失礼を作者に詫びたとか。でもよく...
コメントをありがとうございます。
訳者がつけたタイトルで、勝手に改題した失礼を作者に詫びたとか。でもよく理解してくださったと書いてあります。
学校で歌を習ったなんて素敵ですね。私、習ってないです(T_T)
絵本も良かったです。猫丸さんのブックリストから知りました(^^)