- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003210826
作品紹介・あらすじ
借金に苦しむ主人公が苦況を切抜けるために雄弁の術を身につけようと、息子ともども入門した先は、ソフィストの大先生ソークラテース。ところが、詭弁を身につけた息子にさんざん悩まされる羽目に…。当時流行したソフィストへの攻撃をテーマに、その代表としてソクラテスを戯画的に登場させて古来論争を生んできた問題作。
感想・レビュー・書評
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プラトン「ソクラテスの弁明」でも引用されるアリストパネースの喜劇作品。初めて読みましたが、ソクラテスに対する悪意は感じないですね。
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借金にまみれた男。借金を踏み倒すためにソクラテスに弟子入りし弁論を学ぼうとするが・・・。自分の息子も弟子入りさせ弁論を学ばせるが・・・。
市川図書館
2010年6月2日読了 -
ソクラテスをソフィスト(現代のニュアンスとしては「詭弁家」という表現に近いか)として皮肉った内容で有名な、アリストファネスのギリシア喜劇のひとつ。
表現の基調は、喜劇らしい明るい罵倒と悪ノリであり、皮肉ったと言っても、人物にかこつけた当世風潮を笑い飛ばすユーモアという面が強く、言ってくれるなあ、とは思っても、気分を害する類の批判ではないのだろう。
補注が豊富で、またコント(まさに古代のコントだ)としての混ぜっ返しぶりが分かりやすい和訳ぶりなので、時代背景をさほど理解せずとも内容は理解しやすく、楽しめるだろう。
予備知識は、プラトンの著作『弁明』と『饗宴』を読めば十分。
この時代の演劇の形態は、3人の役者(しばしば役割を複数持ち、仮面、ペルソナで人物を表象する)と、場面の説明を兼ねる中央広場の合唱団が、しばしば掛け合いながら
話を進めていく。
そのような風景も想定しながら読めば分かりやすく、活き活きと動くだろう。 -
失笑。
アリストパネスの喜劇は、いつ読んでも笑える。
当時のギリシアの常識、歴史などに明るくなければ、何度も注釈を見なければならない。
とは言え、
何食わぬ顔の訳者によって説明されるそのギャグに、読者は笑ってしまえるのである。
『雲』で揶揄されるソクラテスはもはやソクラテスではない。
きっとソクラテス自身、この喜劇を観て大笑いしたことでしょう。
あなたのこころにアリストパネスを。