- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003211212
感想・レビュー・書評
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伝存する古代ギリシアの恋愛物語五篇のうちの一つ。エーゲ海の牧歌的な情景を舞台に少年と少女の恋の行方を描く。
幼なじみの美少年と美少女が、恋と性に目覚めていくという話。二人に立ちはだかる困難は意外にも波乱万丈で、恋敵から海賊、戦争まであって起伏のある展開が面白い。主人公たちを含め登場人物の言動には共感を覚えるし、2~3世紀ごろの、作者についてもよくわからない古い作品だが、人間というものはこれだけ時代を経ても変わらないことがよくわかる。悪くいえば陳腐、良くいえば王道といえる古典の傑作は、やっぱり今読んでも楽しめる。
性描写について露骨だという話が古来からあったらしいが、今どきの人にとっては、そんなことは全然ない。幼なじみの二人が、恋という言葉も知らずに徐々に性の始まりまで導かれていく姿は、むしろ小中学生くらいに読んでもらいたいくらい。でもネットのある今の子は知りすぎてしまっているから、かえって不幸かなぁと思わせるほど、人間として自然なあり方が描写されていると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ギリシャの四季折々の風景と、美しいダフニスとクロエの恋愛におもわずうっとりとし、憧れてしまいました。恋をしていくうえで美しい恋愛をする大切さを学んだように思います。
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遠藤周作が「恋愛とはなにか」で触れていた、古代ギリシャのお話。
神々に祝福された、若い男女の清らかな恋の物語。
真の悪人は出て来ず、大きな障害もないので少し物足りないが、美しい風景と善良な人々が織りなす恋物語は久しぶりの癒しになった。
ダフニスに性のてほどきをした人妻でさえ、誰にも咎められ事もなく、最終的にはむしろやり方を教えてあげた親切な人物のようになっていたのが面白かった。 -
なんか純愛物語というわりにはずっと接吻してるなー、官能的だなーって思いながら読み進めたんだけど、巻末の解説を読むとやはり官能的すぎると批評されていたらしい。というのも、この作品は当時の大衆小説的な位置づけの読み物だったようで。神話も随所に絡められているからか、現代に生きる自分からしたら野蛮に感じられる描写もちらほら出てくるんだけど、昔々の有閑マダムがちょっとした刺激を味わいたくて読む種類の本だと考えてみるとうなずける。
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ポールトヴィルジニーから。
幼なじみの男女が恋に目覚め、徐々に愛を深めていくというストーリーラインが似ている。
数々の事件を案外すいすい乗り越えていくのと、最終的に大団円で終わるのは違うけれど。
色々邪魔は入るけれど二人はお互いしか見ていないし、自然の移ろいとともに関係を深めていく爽やかさもあって、牧歌物語として十分に楽しめた。
それにしてもこのような作品が2-3世紀に生み出されていたとは本当に驚き。21世紀の今、日本語で読めることに感謝しなければ。 -
訳:松平千秋、原書名:ΠΟΙΜΕΝΙΚΑ ΤΑ ΠΕΡΙ ΔΑΦΝΙΝ ΚΑΙ ΧΛΟΗΝ(ΛΟΓΓΟΥ)
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三島の「潮騒」の元ネタ。
閉塞感のない、“王道のラブコメ”です。
明日から全力で恋がしたい衝動に駆られちゃうかも。 -
2016/05読了。ラヴェルの組曲はよく知っていたダフニスとクロエ、初めて原作を読んだ。ニンフ、エロス、パーンと羊と山羊。牧歌的な純愛物語。。ニンフに、パーンに祈りと感謝を供える美しい物語でした。最後は出生の秘密も無事に解け、ハッピーエンド。
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再読。基本的には非常に素朴なラブストーリー。ダフニスもクロエーも捨て子だったけど、ギリシャなので神様たちが結構手助けしてくれる。二人の初恋自体はとても初々しい。でもやっぱそこはギリシャなので、クロエーに横恋慕する男はまだしも、美少年ダフニスに横恋慕するのもこれまた男で、すわBL状態(笑)ああギリシャ・・・。しかしハッピーエンドが約束されているのでストレスなく読めるのはとてもいいと思います。