トム・ジョウンズ 2 改版 (岩波文庫 赤 211-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003221129

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  • 第一巻から第二巻の前半ほどにかけて、物語の舞台は、オールワージ邸とウェスタン家にほぼ限定されていた感がある。原題は「ヒストリー・オブ・トム・ジョウンズ…」なのだから、壮大な半生を描いてくれるもの、と思っていた。ところが、とてもドメスティックな展開が続き少々飽き飽きし始めていた。
    そしてようやく〈第七巻/10章〉で、ジョウンズ君はオールワージ邸から旅立つ。

    「海上に運を切り開こうと」裸一貫で出奔、そして出発してほどなく道中で軍隊一行に出あう。叛徒制圧に向かう国軍の部隊に合流するのだ。物語の世界が大きく開ける感があり、ワクワクさせる。
    ところが、物語はなかなか前進していかない。ある夜、宿を求めた一軒家で謎めいた「山の男」(白髭の老人)と出会う。ここでジョウンズ君らはしばらくのあいだ、彼の数奇な運命、彼の物語に耳を傾ける。その分量40頁あまり。ここにおいて、ジョウンズ君の道行きの描写が放置される感となる。その後、ジョウンズ君ら一行は、街道の宿に投宿。ここでは、痴話話、誤解、そして乱闘が勃発、スラップスティックな有様となる。
    …ここでふと思い至る。この感じ、あの小説とよく似ている。そう、まるで「ドン・キホーテ」なのである。
    しかも、「山の男」と出会う前、ジョウンズ君は、理髪師兼外科医であるパートリッジ/ベンジャミン氏と出会い、以降、彼はジョウンズ君の従者となる。サンチョ・パンサのようなのである。
    実際〈第八巻/四章〉の標題は
    「バクダッドの理髪師や『ドン・キホーテ』中の理髪師をも含めて、古来記録に残っているもっとも愉快な理髪師の登場」と題している。
    フィールディング氏、「ドン・キホーテ」を意識しているのは疑いない模様である。

    これらを勘案すると、トム・ジョウンズの道行き、そして、この物語の全体像、なんとなく想像がつくような気がしてきた。

  • 貴族の家に捨てられ、そのまま育てられたトム・ジョウンズは、隣家の一人娘ソファイアと相思相愛になったとたん、家を追い出されることになってしまう。
    そもそも、トムは女にだらしない。
    さらに悪いことに、見た目がイケメンなので、引く手あまたである。
    それでも、家柄を気にするソファイアの父から監禁状態にされているソファイアのことを思って、トムはすっぱりと身を引くことにした。
    ちょうど家をおん出されたことでもあるし。

    育ての親からの手切れ金(大金)をあっさり落として失くし、行き当たりばったりの旅はそれなりに波瀾万丈。
    金持ちには手厚く、貧乏人からはとことん搾り取るイギリスの庶民階級のしたたかさがもう笑える。

    トムは育ちが良いから丁寧に扱われるけど、一文無しだとわかると食事も出してもらえない。(当然だ)
    だけどトムの善行で救われた人はお礼になにがしかのことを返してくれ、広い世間に飛び出た割には人間関係が意外に密で、二巻まるまるかけても多分家から50キロも離れてないんじゃないかな。

    で、一巻で物語から消えたと思われた人物が名前を変えて再び登場。
    結構なインテリだったような気がするけど、悲劇の人だったような気がするけど、すっかり狂言回しとなって、この先の物語で何をやらかしてくれるのかが楽しみ。

    二巻の最後の方に出てくる若い女性の二人連れって、もしかしてソファイア?って思うけど、その時トムは別の女性と一緒なんだよね。
    まったく懲りない男だな。
    しかし悪気は全くないので、憎めないのである。

  • 面白いと言えなくもないのだけど、物語のテンポが緩くて読んでいてかったるい。人物描写はコミカルだし小悪人はいっぱい出てくるけど極悪人は出てこないので安心して読めるんだけど…

    パートリッジのキャラが1巻とはだいぶ違うので最初同一人物と理解しかねた。この巻はタイトルをつけるとするなら「トムの恋愛」でしょうね。

  • 2010.10.16 購入

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