オルレアンの少女 (岩波文庫 赤 410-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003294000

感想・レビュー・書評

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  • シルレルなんて書いてあるから、てっきり別の人かと思ったら、先日読んだシラーでした。

    シルレルの他にブルゴーニュ公がブルグント公など表記が現在通用しているものと異なるものがありますが、全体通してこちらのほうが読みやすかったです。

    初版が1938年、この改訳が出たのが1951年なので漢字も難しいし文章も古いのですが美しく、ことばがスッと入ってくる感じです。

    ■ジャンヌの恋愛について
    後世の人達は主要人物、殊に若い女性の場合はとかく恋をさせたがる傾向にあるようです。
    ジャンヌがシャルル7世を好きだった…という説があります。命を賭けて彼に王冠を被らせる位だから惚れてたと考える事も一理あります。
    また戦友であるデュノアやジルドレと懇意になる可能性もあると思います。

    でも、シラー版のように敵を好きになる…というのは、どうも考えにくいです。ただ、そういうロミオとジュリエット的な要素を入れる事で物語をよりドラマチックに演出しています。

    シラー版では、その他に父親が決めた婚約者のレイモンという青年も出てきて、彼がジャンヌに対して非常に誠実で好感度高く描かれています。この辺もドラマチックですね。

    いずれにしても。天国のジャンヌ本人から見たら、大きなお世話でしょうね。

    ■親子の愛憎について
    ジャンヌ・ダルクを主人公に描いているので、当然彼女の起こした奇跡のような戦争が物語の中心になるのですが、シラー版は親子の愛憎が小さなテーマとして描かれています。

    一般に母親というのは娘よりも息子にベッタリになりがちだし、父親は息子よりも娘に甘いものです。

    ジャンヌの父親は彼女の行いを良とせず、彼女の主張する神の啓示は悪魔の囁きだと言い出し、自分の娘を処刑させようとします。嫌っているわけではないけど、子どもは親に従うべきだという、この時代の価値観が垣間見えます。

    シャルル7世の母親、イザベル太后はフランスと敵対しているイギリスと手を組む。そして息子を酷く憎む。史実がどうなっていつぼかはわかわからないけど、この要素も物語をドラマチックにすつのに一役買っいます。

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