- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003305010
作品紹介・あらすじ
幕末の大老井伊直弼(1815‐60)は、井伊家十四男に生まれ、「埋木舎」とみずからが名づけた彦根城下の屋敷で過ごした部屋住み時代より文武諸芸に親しみ、茶湯に深く傾倒した。「一期一会」の茶会に相対する主客の心得を詳しく記した『茶湯一会集』には、その境地が示される。多くの茶書から直弼が学び抄出した『閑夜茶話』を併収。
感想・レビュー・書評
-
千利休の茶の精神を伝える言葉として、一期一会(いちごいちえ)が継承されている。人は、生まれてから死ぬまでの一生を仏教語で一期という。一会とは、一度だけ会う、一度の出会いで同じはないことをいう。
茶の湯の交会は、一期一会である。たとえ同じ主客が幾度交会しても、今日の会は二度と繰り返されないことを思うと、実に一生に一度きりなのである。それ故に自身の一期一会を記録した茶会記を大切に保管するものである。
そして新たに茶会が決まると必ず過去の茶会記をだして当時を偲ぶものである。また近年の茶会記を参考にして趣旨に合わせた道具組を考えるものである。過去の茶会記を見るのは、近年に使った道具が重なるのを避ける為でもある。その為にも茶会記は必ず保管しておく。茶人が茶会記を粗末に扱ったり捨てることは考えられない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
直弼が勉強家であったことが、よくわかる。
-
安政の大獄で酷いばかりの人のようなイメージがついて回る井伊直弼。
しかし、私がまだ10代やそれ以前の頃、彦根城の近くに住んでいた祖父が「井伊大老が...」と時々誇らしげに話していたのを覚えている。話してくれた内容は残念ながら忘れてしまったが。
歴史を勉強した後に、祖父の言葉とすっきりと噛み合わない感覚がずっと残っていた。
だが最近、テレビ番組『英雄たちの選択』で、〈無念なり!悲運の大老井伊直弼〜開国への決断〜〉を見て、祖父が井伊大老を誇らしく語っていた姿に矛盾がなくなった。
祖父母の家に行く度によく食べていた「埋れ木」という和菓子も井伊家の屋敷『埋木舎』から来ていることも遅ればせながら知った。
そこで、安政の大獄のイメージとは違う井伊直弼を知りたくて購入した本です。
茶会の作法、道具、炭のことなど、細かく書かれています。
私は茶道をしていないので、なるほどと思いながら読むことはできないし、サッサと読み進める文体でもありませんが、井伊大老の教科書に載っていない一面を感じながら、ページをめくりたいと思います。 -
茶湯についてひとつひとつ細かく書かれており、井伊直弼の生真面目を感じることができる。
「井伊の赤鬼」と呼ばれた彼からは想像できないくらい、細部まで、あらゆる人に気を使って茶会が進められていく。
本文は現代語訳は無く古文のみだが、茶道をしたことがある人ならイメージしやすいので、比較的読みやすかった。