清沢洌評論集 (岩波文庫 青 178-2)

著者 :
制作 : 山本 義彦 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003317822

作品紹介・あらすじ

第二次大戦中の日記「暗黒日記」で知られる清沢洌(1890‐1945)は、大正から昭和の戦前・戦中にかけて、リベラリズムの立場から外交問題を中心に論陣をはったジャーナリスト・評論家。「愛国心の悲劇」「甘粕と大杉の対話」など、先見的で、現代においても示唆するところ多い、リベラリスト清沢の評論のエッセンスを集めた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 戦前,戦中のジャーナリスト清沢洌の評論集.不勉強で知らなかったのだが,日経,朝日,報知で活躍した人らしい.今読んでみると,日本の立場についてちょっと身勝手な意見もあるように思うが,極めて真っ当で,当時としては相当勇気の必要なことを書いているのではないかと想像する.いや,こういう骨太で真っ当なリベラルの人って,今いないんだよなあ.現在のこの状況って,なんでこうなっちゃってるんでしょうね.

  • 「たとえば現在、東京の大新聞は何れも水道からみみずが出るということについて、大袈裟に書きたっています。どの新聞を見ましても、それが最も重要な記事なっている。(中略)しかしこれに一体どれだけの社会性があるのでしょうか。何が重要で、数日に渡ってこんなことが東京の大新聞のタップを飾りうるのでしょうか。」(現代ジャーナリズム批判)
    「水道水からみみずが出る」という部分をさしずめ「うなぎの産地が偽装である」とでも変奏すれば、そのまま21世紀の日本のジャーナリズム批判になりうる文章である。全編がこの如く現在に通用する、いやむしろ現代人こそ傾聴しなければならない哲学に溢れている。
    半世紀以上も前の日本にこれだけ地に足の着いた思考をもった知識人があった事実を、我々は今一度噛み締めるべきだし、そうすることによって彼の鳴らした警鐘が如何に空しく響いたかについて思いをめぐらせて欲しい。

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著者プロフィール

清沢 洌(きよさわ・きよし):1890-1945年。長野県生まれ。小学校卒業後、内村鑑三門下の井口喜源治が創立した研成義塾に入り、感化を受ける。1906年渡米、働きながらハイスクールを卒業。カレッジ在学中から邦字新聞の記者として活躍。20年、帰国して中外商業新報社に入社、のちに通報(外報)部長となる。27年、東京朝日新聞社入社。29年退社、フリーランスの文筆家となり次々と著書を発表、自主独立の評論家・外交史研究家として矜持を貫く。1945年5月、急性肺炎のため急逝。『暗黒日記』他著書多数。

「2023年 『外政家としての大久保利通』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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