- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003343630
作品紹介・あらすじ
「見べき程の事は見つ、今は自害せん」――。史上は目立たぬ平知盛を、滅亡の「運命」にあらがい、壇ノ浦の終末を見届けるや「からから」と笑う魅力的な人物として描き出す本書は、「年代記」を原点に成長してゆく平家物語と時代の心性を自在に論じ、深い感動を与える。掌篇六篇と共に、歴史家の透徹した眼差しを伝える。
感想・レビュー・書評
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「見べき程の事は見つ、今は自害せん」と言って、知盛は壇ノ浦に沈んだ。著者は、この知盛の言葉は、『平家物語』のなかで、おそらく千鈞の重みを持つ言葉であろう、と言う(20頁)。知盛がここで見たというその内容が、ほかならぬ『平家物語』が語った全体であると。
人間の力のおよび得ないもの、予見しがたい力、歴史と人間を背後にあって動かしている漠然とした力を、この時代の人々は運命という言葉で表現したのであり、『平家物語』の中で作者がその観念を特に体現させたのが平重盛であり、知盛であった。
ただ、運命と言っても、平家の作者は暗い運命観や無常観にとらわれているのではなく、運命にさからって、たたかい、逃げ、もがいたところの多くの人間に深い興味をもったのである、とする(55頁)。
本書の構成は、
一 運命について
ニ 『平家物語』の人々
三 『平家物語』の形式
四 合戦記と物語
むすびー『平家物語』とその時代
となっており、『平家物語』について多角的に考察しており、著者の卓見が随所に現れているのだが、最も興味を惹くのはやはり第一節となろうか。
本書の解説によると、木下順二は本書に触発されて『子午線の祀り』を書いたそうだが、それだけ平家物語に描かれた著者の知盛像が魅力的だったからだと思う。
『平家物語』に関する研究として現在的にはどうかということは分からないが、文章といい着眼といい今読んでも大変示唆に富む書だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
この本は平家物語そのものではなく、平家物語を評論・解説した本だ。著者は中世史を研究した歴史家で、1957年に発行された本を主として構成されている。
平家物語がどんな書き方をされているのか、等が詳しく学べる。第一部は清盛中心に描かれているが、清盛は主人公ではない、などといった記載があった。
平家物語本編を読んでから本書を読めばよかった。深く覚えてないし、私の理解度が足りないと思った。ぼーっとそういう感じなのねと読み流した。 -
京都府立大学附属図書館OPAC↓
https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1252041?locate=ja&target=l?