徳川時代の宗教 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003347218

作品紹介・あらすじ

西洋以外の国で、ただひとつ日本が近代化に成功したのは何故か-アメリカの社会学者ロバート・ベラー(1927‐)が、徳川時代の文化的伝統、とりわけてその宗教のになった役割を、ウェーバーの流れをくむ師パーソンズの近代化論の方法で考察する。欧米人のすぐれた日本論として逸すべからざる著作。原書は1957年刊。

感想・レビュー・書評

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  •  日本の近代化が非西欧諸国に比べて早く進んだ理由。非西欧社会ではインフラがそもそもないために、重工業を取り入れなくてはならないが、資本を整えるためには政府の介入が必要となる。そのため近代化のためには、「政治的価値」の優位性こそが決定的な要因とする。
     倫理的模範であった武士の「忠誠」が徳川時代を通じて商人階級にもたらされ、また家族における「孝行」も、政体における「忠誠」と同一視されるようになり、国民は単一の家族となった。また武士道に強調される「恩」の概念が、報徳運動によって農民にまで浸透した。徳川時代には全国民による国体の観念を完成させ、明治政府への「忠誠」すなわち、全国民による目標志向的な社会が実現した。これらの倫理のもととなった儒教は中国においても存在したが、知識人層のみに留まっており社会の最下層まで支持する倫理とはならなかった。

     日本に見られる強力な目標志向的な社会は、すべて、危険にも全体主義に近いのである、という言葉が印象的であった。

  • 報恩
    忠>孝
    倹約
    家社会

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