哲学原理 (岩波文庫 青 613-3)

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  • / ISBN・EAN: 9784003361337

感想・レビュー・書評

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  • 自明的なこと
    【哲学者たちは、最も単純で自明的なことを、論理学的な定義によって、説明しようと試みた点で誤りを犯している。】


     「哲学者たちは、最も単純で自明的なことを、論理学的な定義によって、説明しようと試みた点で誤りを犯している、というのは、そうすることによって、それらを不明ならしめたからである。そして私が『我思惟す故に我あり』という命題が、誰でも正しい順序で哲学する人の出会う、最初のまた最確実な命題であると言ったとき、その故に、私はその前に『思惟とは何か』『存在とは何か』『確実性とは何か』、さらに同じく『思惟するものが存在しないことはあり得ない』等のことを、知らねばならぬことを否定はしなかった。しかしそれらは最も単純な概念であり、それらだけでは存在する事物を知らせはしないので、従って数え立てる必要を認めなかったのである。」

    • 命題集 未来のための哲学講座さん
      宇宙の法則
      【しかしながら、私が自分の意志により選択するように思えることも、これがこの全宇宙の一部であるのならば、この宇宙を支配する法則によ...
      宇宙の法則
      【しかしながら、私が自分の意志により選択するように思えることも、これがこの全宇宙の一部であるのならば、この宇宙を支配する法則によって、あらかじめ予定されていたものに違いない。(ルネ・デカルト(1596-1650))】
       「しかしながら今は神を知り、そのうちに無辺際の能力があることを認識して、従って、神によって前以って予定されなかったことをも、我々が為し得ると考えることは、不合理だと信じているから、もしも神のこの予定をば我々の意志自由と結びつけ、両者を同時に理解しようとするならば、容易に大きな難問に捲き込まれる可能性もあるわけである。」
      2022/01/08
    • 命題集 未来のための哲学講座さん
      自由意志はなぜ存在するか
      【未解決問題:我々の精神が有限であるのに対して、この宇宙を支配する諸法則はあまりに深遠で知りがたく、いかにして人間...
      自由意志はなぜ存在するか
      【未解決問題:我々の精神が有限であるのに対して、この宇宙を支配する諸法則はあまりに深遠で知りがたく、いかにして人間の自由な行為が、未決定に残されるかを、未だ明快には理解することができていない。しかし、この自由は確かに経験される。(ルネ・デカルト(1596-1650))】
       「だが我々はそうした難問からは、次のことを想起すれば免れるであろう。即ち、我々の精神は有限であるのに対して、神の能力は有りとあらゆる一切を、永遠いらい予知していたのみならず、これを意志しかつ予定していたから無限である。従って、なるほど我々はこの能力を、それが神のうちにあることを明晰判明に知るに充分な程度には悟るけれども、しかし充分十全的に把握して、いかにして人間の自由な行為が、未決定に残されるかを知るほどではない。しかるに、我々のうちにあるこの自由および未決定については、それ以上明証的かつ完全に捉えられるものがないほど、我々には意識されているのである。というのは、その本性上我々には十全的に把握できないことがわかっていることを、我々が把握しないからという理由で、我々が内的に把握し我々自らのうちに体験する他のことを、疑うとしたらそれは不合理だろうからである。」

      2022/01/08
    • 命題集 未来のための哲学講座さん
      真の哲学と未来への希望
      【真理の探究を続けることが、真の知恵、人間の生活の完成と幸福にとっていかに重要かを、認識してほしい。多くの優れた人た...
      真の哲学と未来への希望
      【真理の探究を続けることが、真の知恵、人間の生活の完成と幸福にとっていかに重要かを、認識してほしい。多くの優れた人たちが、この研究に従事しようと試みることを信ずる。願わくば我々の子孫がその成果を見んことを。(ルネ・デカルト(1596-1650))】

       「また、これらの原理から導き出し得るあらゆる真理を、かように導出してしまうまでには、幾世紀もが流れるかもしれないことも、私は充分に心得ています。なぜならば、今後発見されるはずの真理の大部分は、或る特殊な経験に依存し、この経験は決して偶然に出会われるものではなく、極めて知能のすぐれた人たちによって、配意と費用とをかけて求められねばならず、そしてこれをうまく利用することのできる同じ人が、そうした経験を行う能力を有つということは、困難であろうからであります。さらにまた、大部分の知能のすぐれた人たちは、彼らが現在まで行われてきた哲学のうちに認めた欠陥の故に、哲学全体に対して悪い考えを抱き、よりよい哲学を求めることに、専念できないだろうからであります。しかしながら結局、これら(私の)原理と、他の人々のあらゆる原理との間に見出される差異、ならびに前者から導き出される諸真理の堂々たる系列とが、これら真理の探究を続けることがいかに重要であり、そしてこれらの真理が知恵のどのような段階に、生活のどのような完成に、またどのような幸福にまで導き得るかを、彼らに認識せしめるならば、私はあえて信ずるのですが、かように有益な研究に従事しようと試みない人、或いは少なくとも、成果をあげてこれに従事するものに好意を示し、その全能力をあげて援助することを望まない人はないでありましょう。願わくば我々の子孫がその成果を見んことを云々。」
      2022/01/08
  • 人間認識、物質的事物の二部構成。
    第一部は「省察」の内容とほぼ
    同じ。第二部は物理に関する考察
    になっている。

    個人的には「省察」の叙述形式
    で語る形而上学の方が分かりすく
    感じた。哲学原理はその思想を
    分解して数学的定義として整理
    したものだ。

    第二部は物理について語られて
    いる。やはり引力の発見以前
    ということもあり、解釈に誤謬
    があったりもするが、概ね、
    しっかりとした理論展開で納得
    させられる。

    例えば、物体はどこまでも
    分割可能として、物質の
    最小単位を原子とする学説を
    否定している。現在、物質の
    最小単位は素粒子ということに
    なっているが、あくまで確定
    ではなく現段階で発見された
    単位に過ぎない。

    つまり、デカルトの主張は、
    まだ、覆されていない。

  • 個人的には省察よりもこちらのほうが明快で好きだ

    方法序説と哲学原理、といくほうが、把握しやすいのでは?
    省察は論理の組み立て方が独特過ぎて、ちょっと簡単には追えないと感じた

    ただ、序説、省察、哲学原理と、整理されてはいくものの、続けて読むと、大筋は同じ話なので、段々とうんざりしてもくる

    二部も面白そうだったが、割と飛ばした

    また思い起こしたときに戻ってきて読もう
    そんで、デカルトに戻ってくるときは、哲学原理に戻ってこよう、と思った

    次は情念論

  • 神の存在を肯定してしまったところから、こんなにもずれていってしまうのだな、と思った。正しい地点から、正しい順序で、哲学していっていたはずなのに、なぜ神の存在に疑問を抱かなかったのか。時代的なものも勘案しなくてはいけないかもしれないけれど。
    それでも哲学の仕方は今でも勉強になる。

  • ここのとこ、哲学書とくれば圧倒的な読みやすさを誇る光文社新訳だったので岩波のひたすら堅い文体に四苦八苦。ですが「難点に拘泥することなく小説を読むようにざっと全体に目を通してほしい」という冒頭の書簡の言葉に甘えて、ざっと把握\(^o^)/すべてを疑えと言ったはずのデカルトがどうして神だけは信じることができたのか。自らの目を開いて歩いていたはずのデカルトでもそこは超えられなかったのか?そうまで内在化していたのか。異教徒の存在は前々からわかっていたはず。なのになぜこうも躍起になっているのか。わからない

  • デカルトの哲学が体系的に整理された著作。第1部が形而上学で、省察などよりも分かりやすく展開されています。教科書的なスタイルであるからかもしれない。第2部以降は、現代の目からは誤りも多く、現代的価値が失われていますが、形而上学との関わりが見られる点で、なお読む意義があるでしょうか。

  • 観察に基づいた上で、全てを一つ一つ思惟の中で構築していく。
    かつてはベーコンを信奉しそうになったけど、デカルトは凄い。しかし、そのデカルトの思惟も経験に基づいているのは、また面白いところ。

  • 初めて読んだ哲学書

  • 一部、二部の訳出。ナルホド、明晰判明な本。理屈はしごく解りやすい。中世スコラ学の用語を使いながら意味は微妙に違うという、デカルト流スコラ学とでも言おうか…そんな感じの本。考え方は革新的なのかもしれないが、スコラ学から抜け出しきっていないという感じがなんとなく好きだ。個人的には第一部がオススメ。

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