学問論 (岩波文庫 青 631-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003363119

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  • オーストリア、ヴィーコの『学問の方法』の講演から100年弱経った後、シェリングによりドイツ・イエナ大学で14回にわたり大学の使命について講義があり、本書はその記録が翻訳されたものである。

    著者は、各専門研究を深めるには学問全体での位置付けを見極めた上で、哲学により統合し調和的に構造化することが重要としている。ただ今日、学問の統一を推進する大学は、はたして存在するのだろうか。専門分化が爆発的に進んだ現代における高等教育機関では、事実上不可能なのかもしれない。19世紀初頭の当時でさえも、例えば、化学の説明力に熱狂している社会にある意味で継承を鳴らしていたのだから(第12講関係)。

    やはり哲学を中心とした統合化は、学問の中心である大学のみが可能であることは疑いようがない。仮に総合化に際して、気の遠くなる時間とコストがかかったとしても、である。こうした取り組みを続ける責務が大学にはあると改めて感じた。ちなみにここでいう哲学とは「反省」という観点で思弁的に検討を蓄積していくことにある(p.87)。このような行為は、職業教育や研究成果がより強く求められるようになった今の時代に、なかなか賛同が得られないかもしれない。ごく一部の大学だけでもこの機能を担う必要があると感じた。今はやりの政策にマッチしない大学論だが、確認しておく必要があろう。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(佐藤優選)101
    思想・哲学・宗教

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