善なるもの一なるもの (岩波文庫 青 669-1)

著者 : プロチノス 田中美知太郎

• 岩波書店 (1961年12月1日発売)

感想・レビュー・書評

[baxさんの感想 · 2014年11月10日]

［　内容　］
新プラトン主義の創始者、ギリシアの哲学者プロチノス（205～270）の主著。
世界はひとつの根元的な存在である「善なるもの一なるもの」の流出であり、この世のすべてのものはその現れであるという彼の体系は、古代末期における宗教的なものへの哲学の転回を代表するものであり、キリスト教神秘主義に大きな影響を与えた。

［　目次　］


［　問題提起　］


［　結論　］


［　コメント　］


［　読了した日　］

[そららさんの感想 · 2013年5月4日]

新プラトン学派のプロチノスの論文。
非常に薄いものであるが、プロチノスの思想を存分に示している。

『善なるもの一なるもの』においては、すべての存在が、ひとつであることによって存在であるという考察から始まり、最終的には知性を超越した、プロチノスの「神秘体験」とも呼べるべき一者との融合が語られる。
善や、知性よりも根本的なものとして、光の根源のように一者が存在するのである。

その過程において、私の興味をひいた箇所は、
「しかし、自分自身を識る者は、また自分がどこから由来するかということを知るであろう。」

プロチノスが求める本質的な「一者」は「多」であり、「他」でもある外に見出されるものではなく、やはりその立脚点には「自己」があるのではないだろうか。

[tm-zayuunoshoさんの感想 · 2007年8月10日]

善一者、流出、、、新プラトン学派のプロティノスの主著