ヒポクラテス医学論集 (岩波文庫 青901-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003390122

作品紹介・あらすじ

「人生は短く、医術は長い」――。臨床の蓄積から修得できる医術を唱え、医を迷信から解き放った古代ギリシアの医聖ヒポクラテス。その診断や治療の手法は、今日の医学の精神にもつながるものである。「古い医術について」「空気、水、場所について」「誓い」「箴言」などの代表作一〇篇を収録。「ヒポクラテス伝」を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 経る時の中に機会は含まれている。しかし機会は長い時を含んでいない。治療は時の経過による。しかし機会によることもある。▼4つの体液(血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁)のバランスが整っていると人間は健康であり、バランスが崩れると病気になる※balancing of humours体液。ヒポクラテス『古い医術について』BC5世紀

    どんなときでも賢明である人はいない。プリニウス『自然史』1世紀

    どうして君は他人の報告を信じるばかりで、自分の眼で観察したり見たりしなかったのか。ガリレイ『天文対話』1632

    ロウソクは自分自身で輝くから、どんな大きなダイヤよりも美しい。マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』1861 電磁気学

    偶然は準備のできていない人を助けない。パスツール『語録』※狂犬病ワクチン

    蝶はモグラではない。しかし、そのこと残念がる蝶はいない。アインシュタイン

  • 古代ギリシアの超名医であったヒポクラテスの著作、どんなとんでも治療が出てくるんだろうと思っていたら、かなり堅実な姿勢でびっくり。
    熱・冷・乾・湿という四要素を基本にするなど今の医学的な常識とはもちろん違うけれども、呪術や怪しい新医療に頼らず、気候の変化や患者の観察をよくし、それを先人が積み重ねた経験に基づいて判断し治療に役立てようとする実証主義的な態度をとっている。どんな場合にどういう経過をたどるか、こういう季節はどんな人々にどんな病気が増えるかなど非常に詳しく書き記しているし、臓器などの知識も豊富で驚かされる。
    声高に宣伝している新奇な医療は怪しいなどと書いてあったりして、今も昔も変わらないこともあるのだなと思ったりした。

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著者プロフィール

京都大学文学部非常勤講師
1952年 大阪府生まれ
1985年 京都大学大学院文学研究科博士課程修了
2005年 京都大学博士(文学)
主な著訳書
 『新プラトン主義の原型と水脈』(共著、昭和堂)
 『イリソスのほとり—藤澤令夫先生献呈論文集』(共著、世界思想社)
  K・ヘルト『地中海哲学紀行』全2巻(共訳、晃洋書房)
 『ソクラテス以前哲学者断片集』1—3巻(共訳、岩波書店)
  K・カーク他『ソクラテス以前の哲学者たち』(共訳、京都大学学術出版会)

「2007年 『プラトンのミュートス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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