- Amazon.co.jp ・本 (487ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003810217
作品紹介・あらすじ
薩摩藩による支配に続く明治政府による沖縄と沖縄人に対する不当な差別を目の当たりに見、骨身にしみて育った「沖縄学の父」伊波普猷。本書は、彼が沖縄の歴史・言語・民俗を探究した、沖縄学樹立の記念碑的作品であり、歌謡集『おもろさうし』とともに沖縄を知るための必読の古典である。
感想・レビュー・書評
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薩摩藩による支配に続く明治政府による沖縄人に対する不当な差別を目の当たりに見,骨身にしみて育った「沖縄学の父」伊波普猷(1876-1947)は,沖縄を識るために,「おもろ」に学び,歴史を探り,言語や民俗を確かめた.本書は沖縄学樹立の記念碑的作品であり,『おもろさうし』とともに,沖縄を知るための必読の書.
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図書館で借りた。
岩波文庫を読んでみようシリーズ。
著者の伊波普猷氏は戦前の学者で「沖縄学の父」と呼ばれている方。
そんな学者が沖縄の歴史、すなわち古琉球を様々な観点で述べた論文集とでも呼べばよいだろうか、色々なテーマで語り尽くされた本。
琉球独自の文字があるとか、日本と中国に挟まれた歴史とか、沖縄の地名の由来とか…、沖縄に行ったこともない私だが、色々感じさせていただいた。
沖縄人の最大欠点は恩を忘れることということだが、現代でもそうなのだろうか?私には知識が足りない。
ネット上では、「沖縄独立派」から売国奴的な批判を受けているようだが、これも論じるには私にはまだ力不足だ。
「おもろさうし」については、私はてんで無知だったので、他の文献も読んでみたい。 -
岩波文庫
伊波普猷 (いはふゆう) 「 古琉球 」
沖縄学の本。「 おもろさうし 」琉球古語の難解さが 沖縄学の難しさであることを実感。対句や反復など 漢詩のような形式は理解できるが、音節が掴みにくいので 韻の踏み方がわからない。解説本がほしい
「ゆひまわる=相互扶助」という言葉は印象に残った
「三鳥問答」に示された沖縄農業観「娯楽は人心を和らげるものだ。人が和すれば、神も和し、幸福は自然とやってくる」は 明るい県民性を感じる。宮沢賢治の農民芸術概論綱要「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と逆
著者の近代認識は、琉球人の発奮を促しているように思う
*沖縄人の最大欠点は恩を忘れやすいということ(娼妓主義)
*琉球処分は〜迷児を父母の膝下に連れて帰ったようなもの
*廃藩置県は〜沖縄人を再び進化の途に向わしめた
「琉球群島はさながら天然の古物博物館である」
沖縄人を九州からの殖民者とし、沖縄の歴史、言語、民俗たについて 日本本土と同系列説を展開。日本本土の人には 沖縄との同根を示すことで 差別不当を訴えているように読める。
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貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784003810217 -
太平洋戦争前の沖縄、琉球の様子について書かれている。戦争でいろいろな資料が消失したと思うが、このような記録はとても貴重であると思う。
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いまや途絶えつつある、沖縄周辺に存在する(した)言語・文化に関する、沖縄学の古典である。短編集であるので、テーマ毎に読めるのが良いところ。明治時代に琉球語の発音が変わっていく過程、たおもろそうしに代表されるような琉球の詩歌や神話についての記述など、興味深い事例が多く掲載されているので、琉球語に興味がある人がいきつく古典である。
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「沖縄学」の父と言われる井波の、古琉球にまつわる様々な方面の論文を集めたもの。全くの門外漢の私でも知っている、古代日本のハ行の発音がP音であったという定説となった「P音考」も収録されている。ハ行発音の変遷が、琉球語から導き出されたというのは知らなかった。
もっとも、そういう学術的な話に興味があるのは専門家や、アマチュア研究者であって、そうではない読者にとっては、「おもろそうし」などの琉球語の詩や、神話などを素直に楽しめばいいのだと思う。琉球語の民謡などには、結構びっくりするようなどぎつい内容のエロスがあったりして、けれど風土ゆえか、陰にこもらない明るいすがすがしい印象になっている。
この、「明るくすがすがしいけれど、ただ開けっ広げではない濃密なエロス」や、「圧倒的に雄大な自然と交歓しそれを称える感情」というのは、確かに古事記や万葉集、あるいは平安以降の京都・東京の文化にはあまりない、鮮やかで強烈なエネルギーだ。
一方で、井波は沖縄の歩んできた、苦難というもおろかな政治的経緯も掬い上げる。井波は沖縄の啓蒙運動に身を投じ、それに挫折した人であり、ここにある苦渋がインクとなって書かれたような文章は、明るい詩とは対照的だ
そんな中でも、古い民謡の採集のために懇意にしていた老人が、実は神懸かりと信じて自分の幻覚を「歴史的・民俗的事実」として話していたことがわかった顛末など、笑ってしまうような話も出てくる。いや実は、井波自身にとっては笑い事ではなかったろうと思うが、これをユーモアとして一編の文章にするあたりが、井波の精神の強靭さを表しているように思う。 -
(2010:渡辺正人先生推薦)
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沖縄タイムス 2010.01.04 選者:新城俊昭