- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004200697
作品紹介・あらすじ
18世紀末、サンスクリットとギリシア・ラテン語との類似が指摘されて以来、さまざまな言語の「共通の源」に向けての探求が始まった。19世紀ロマンチシズムの気運の中で、"言語に馮かれた人々"が担った課題と苦闘を描きながら、いかにして印欧語比較文法という学問が生み出され、言語学が科学として確立していったかを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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言語学と言えばソシュール。
だから、ソシュールから話を始める本は結構あります。
しかし本書はそうではなく、ソシュール以前の言語学史を概観するものです。
1786年にジョーンズが、サンスクリットとラテン語・ギリシア語が共通の源から発したのではないかという仮説を立てて以来の学説史です。
グリム、シュライヒャー、青年文法学派と続いて、ソシュールまで。
文字や音声に触れることはあっても、メインは言語の歴史的研究です。
本書を読むためにはラテン語・ギリシア語だけでなく、サンスクリットについても予習が必要です。
文法知識は大して必要ありませんが、音のイメージが掴めていないと途端に読めなくなります。
この点で私は大分消化不良になってしまいました。
面白いテーマの本なのですが、サンスクリットを勉強した後に読み直しです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
18世紀末、サンスクリットとギリシア・ラテン語との類似が指摘されて以来、さまざまな言語の「共通の源」に向けての探求が始まった。
19世紀ロマンチシズムの気運の中で、“言語に馮かれた人々”が担った課題と苦闘を描きながら、いかにして印欧語比較文法という学問が生み出され、言語学が科学として確立していったかを明らかにする。
[ 目次 ]
序章 言語の親族関係―比較言語学とは何か
第1章 類似の発見―言語の「共通の源」に向かって
第2章 比較文法の誕生―シュレーゲルと「比較文法」
第3章 印欧語の世界
第4章 言語は変化する―ボップ、ラスク、グリム
第5章 印欧祖語の再建―シュライヒャーの試み
第6章 言語学と文献学―クルティウス、ブルークマン
第7章 「音法則に例外なし」―青年文法学派の人々
第8章 新しい波―ソシュールの「覚え書」
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
・比較言語学と言って、二つの以上の国の言語をとり上げて、一つ言語だけをみつめていたときにはわからなかった新しい事実を発見し、それを比較の立場から説明していた
・そもそも今ある言語学は、比較言語学を元に発するもの -
言語学を勉強する人なら絶対に読んでおくべき本、と色んな人が言っているので読んだ。確かに内容はとても充実していて、比較言語学が辿ってきた道筋を辿ることができる貴重な一冊。タイトル「言語学の誕生」からも分かるように、現代の言語学の原点を探っていくような感じがして興味深い。と同時に現代では様々な○○言語学がある中で、伝統ある言語学の原点を知ることは大事なことだと思う。個人的には「言語学と文献学」に関するところが興味深い。内容は、古典語をまだ勉強してないおれにとってはあまりピンと来ない内容もあり、挙げられている例をすべてきちんと理解するのは時間がかかることだが、大まかな流れを掴むだけでも意味があると思う(思いたい)。「……(数行)……である。というのは間違いである。」のような書き方がしてある箇所が目に付くのも初心者には分かりにくい部分かとも思うが、それは自分の勉強不足だということにしておきます。また、言語学者のエピソードも紹介されていて、シュライヒャーやヴェルネルの話は面白い。
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言語学が科学として認知されるまでの道程から、
現在の言語学、その問題点までを論じている。
言語学の科学としての認知は比較言語学から始まる。
William Jonesがサンスクリットとラテン語・ギリシア語の
類似点を指摘し、のちのグリムなどの言語学者が証拠と共に
音の変遷をまとめるに至った。
Junggrammatikerの台頭やソシュールの活躍なども記述されている。
各時代の主要な言語学者と共に、彼らの論文の紹介もされている。
論文の内容的な説明や、また問題点も指摘している。
しかし、どの論文の内容も、サンスクリット・ギリシア・ラテン語等の
基本文法を知らない状態では説明を理解するのは困難だと思った。
音声学などは比較言語学の進展と共に誕生した学問で
この本でもその発展の道程が説明されているが
音声学の知識はある程度事前に持っていたほうが、
この本の説明がより良く理解出来るであろうと思った。