- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004202660
作品紹介・あらすじ
建築資材や埋立てに使われる山砂の主産地、千葉県君津市ではこの二十年、丘陵が次々に削られ、一日に四千台も通るダンプカーが沿道住民に騒音、振動、交通災害や粉じんによる健康破壊をひき起こしている。その実態を精力的な調査によって初めて明らかにするとともに、合計千キロ以上の同乗によって聞き出した運転手たちのホンネを伝える。
感想・レビュー・書評
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1970年代から80年代にかけての君津市付近での山砂採取にともなうダンプカー交通の公害を調査し,報告している.著者の立場は,保健学であり,東京大学医学部の研究者として,また教員として学生たちとともに現場の調査にあたる.
調査方法は,騒音,振動,粉塵などの定量的な測定のほか,沿道での交通事故や生活困難などの聞き取りにまで及ぶ.また,ダンプ運転手への聞き取りやダンプ同乗も行い,他地域の事例調査にまで及んでおり,多角的にダンプカー交通の問題を扱っている.
都市化にともなう建設ラッシュに応じた骨材需要という事情が当時においてピークを迎えており,現在からするとやや異様にも映る.しかし,こうした過程を経て,公害対策やダンプカーの交通規制が進み,今ではその需要や交通がやや不可視化されているということも感じ取ることができる.
本書の出版から30年以上経た現在において,これらの公害の地のその後を本書を片手に見学してみてもよいかもしれない. -
普通に過ごしてたら気付かないことだけど、知っていなくちゃいけないこともある。
この本では、建築資材や埋め立てに使われる山砂の主産地である千葉県君津市のことが書かれています。
ここでは、当時の二十年間、丘陵が次々に削られれ、一日に四千台も通るダンプカーが沿道住民に騒音、振動、交通事故や粉じんによる健康破壊を引き起こしていました。
その実態を精力的な調査によって明らかにし、その問題点などを浮き彫りにした本です。
全国で埋め立てが行われていますが、それには当然たくさんの砂が必要になってきます。
その砂はどこから来るのか。僕らはそういうことは考えないでその事業を見てしまっています。
当然どこかから削りとってくるのでしょうが、そこで問題がたくさん起きているのです。
ダンプカーの運転手も生活するので精一杯、掘削業者も精一杯、周辺住民は満身創痍。
こういうのを聞くと判断に迷うが、住民の健康が第一。
みんな嬉しくなるようなシステムはないのだろうか。
どんな都市でも、骨材を必要としない都市はない。したがって、このような問題は、全国各地で大なり小なり起きているに違いない。
僕らはこの問題に対して、どういう態度をとればいいのだろう。
新しい都市開発も大切かもしれないが、そんな時代はもう終わりを迎えてるのかもしれない。
それによって取り返しのつかない自然破壊をしてしまうのならそれは考えなおすべきなのだろう。
輝かしい表ばかり見てたらだめってことはわかってるんだけど、ついそういうところばかりに目がいってしまう。
意識的に見なくちゃ、きっと勝手にはそういう情報は入ってこないんだろうな。