辞書を語る (岩波新書 新赤版 211)

制作 : 岩波新書編集部 
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004302117

作品紹介・あらすじ

辞書というのは単に日常生活の上で「必要があって」だけ引くものではない。辞書とは、時に共に言葉の海で戯れる友であり、時には敬うべき師であり、またかけがえのない伴侶であったりもするのである。この奥深くも魅力的な辞書という書物をめぐって、各界のいずれ劣らぬ卓抜した言葉の遣い手たちがつづる珠玉のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 92年刊。もはや30年近く前、ということか。

    辞書の作り手、使い手である作家、評論家たち、各国語の達人、コンピュータ科学者など、辞書にかかわる多方面の人たちが語る辞書の話。

    電子化についてはさすがに昔日の感があるけれど、今読んでも面白い話もある。
    『広辞苑』『岩波国語』の岩波書店だけれど、ライバル?の『三国』『新明解』などへの賛辞も憚らず載せていく懐の深さ。

    望むらくは、新しいメンバーで、『新・辞書を語る』を作ってくれることだが、岩波さん、どうでしょう?

  • 神保町の古書祭りでゲット。200円也。

  • 恥ずかしながら、冒頭部だけを読み「辞書好きである自分には役立たない」と放置していた本(1992年刊)。せめて目次だけでも見ていたらそのような恥ずかしい勘違いはしないはずだった。

    執筆者は田中克彦、高田宏、大野晋、城田俊、日高敏隆、笠松宏至、マーク・ピーターセン、柳瀬尚紀、渡辺キヨルン、木村泉、土居健郎、渕一博、五味太郎、赤瀬川原平、群ようこ、小倉芳彦、中川久定、坂下昇、西田龍雄、奴田原睦明、加藤楸邨、原卓也、杉本苑子、増田れい子、俵万智、中村真一郎。

    こうした面々が「辞書」について自由に書き綴り、つまらない、あるいは参考にならない文章が生まれるはずはない。

    言葉の宝箱である辞書を扱った、宝物のように輝く言葉がたくさん出てくる好著だった。

  • 普段はあまりのぞかない古本屋さんのワゴンからピックアップした1冊です。

    辞書にかかわる人たち26人のエッセイ集。辞書の編纂をするような学者さんから翻訳家さん、作家さんなどなど、硬軟あわせたエッセイが楽しめます。辞書をつくるということは、誇り高くも、地味な仕事。このあたりを描いた大野晋さんら、文字どおりの専門家のエッセイは、格調高さで身が引きしまります。中世日本史がご専門の笠松宏至さん『辞書への想い』は、あるプロ野球投手の思い出から広げる、スポーツノンフィクションのような展開が意外ながら見事だと思いました。

    もちろん翻訳など、外国語を扱うかたのエッセイも楽しい。柳瀬尚紀さんの『私のつくってみたい辞書』で引用される、とある英和辞典の用例「I feel for you.→お察し申す」に笑ってしまい、奴田原睦明さん『アラビア語の辞書とその周辺』で、アラビア語の母音がア・イ・ウの3つしかないことを知って仰天!ことばって不思議で、面白いです。辞書を使う側のかたのエッセイも素敵です。群ようこさん『日常的に楽しむ辞書』は、小学校高学年〜中学生にやりがちなネタに、でへへと笑いがこぼれます。エッセイスト・増田れい子さんの、辞書で知識が得られることに対して使われた、「プリマドンナを高々とさし上げてくれる男性舞踊手のような」という表現が美しくて感激しました。辞書のことをそういうふうに思ったこと、なかったー。

    ほかにも日高敏隆さんや五味太郎さんなど、意外なラインナップで読めて、お得なエッセイ集ではないかと思います。まぁカタいものはカタいので(笑)、通読してもよし、ぱらぱらめくってもよし…の1冊です。☆としてはこの数になるかしら、と。でも面白いですよ。

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