- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004306832
作品紹介・あらすじ
快い眠りは健康で充実した生活の必要条件だ。しかし今日、睡眠不満を訴える人はひじょうに多い。なぜ不十分になるのか、快適睡眠のために何をすべきなのか。眠気のリズムを知り、それにうまく合わせることはもちろん、昼間の過ごし方も大切だ。リズムを乱しておこる障害や、効果抜群の昼寝とおやつ、サバイバル睡眠法も紹介。
感想・レビュー・書評
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ぼくはいわゆる完全な「夜型」だ。夜布団に入ってもなかなか寝付けないし、そもそも布団に入る時間帯が遅い。朝の目覚めも悪い。
やはりこれではいかん。しかし、そもそも夜型と朝型は何が違うのだろうか?---と気になってこの「快適睡眠のすすめ」を読んでみた。
著者は精神生理学の大学の先生。いわば睡眠のプロだ。前半は過去のいろいろな実験結果や研究発表を紹介しながら、睡眠について解明されていることを分かりやすく説明している。有名なレム睡眠とノンレム睡眠を始め、睡眠のメカニズムがよく分かって勉強になる。(そうそう、この本によると「食事した後に眠くなるのは血液が胃に集中して脳の血の巡りが悪くなるから」という説はデマなんだそうだ。)
で、その睡眠のメカニズムを受け、朝型と夜型の違いはどこ?安眠とはどういう状態?どうすれば質のよい睡眠を摂れるの?という、読者が「そう、それが知りたくてこの本を読んでるんだよ!」と思ってるところの分析に入る。
朝型と夜型について、この本の内容を簡単にまとめておこう。
実は朝型と夜型では入眠・就寝の時刻は1時間ほどしかずれていない。一番の違いは、朝型が規則正しいのに対し、夜型は不安定だというところ。これは1日の体温変化でもはっきり現れていて、朝型はある時間帯で急激に体温が下がるのに対し、夜型はゆるやかに下がる。体温が下がると眠くなるので、朝型は規則正しく入眠でき、夜型はなんとなく起きていられてしまう---逆に言うと、朝型は夜更かしが「できない」体質になっているのに対し、夜型は夜更かし「できてしまう」わけだ。
さらに面白いのが、主観評価だ。朝型の人は自分の睡眠について比較的満足しているが、夜型は「睡眠不足」「寝付けない」「起きれない」などの不満が多い。実際の実験では主観評価ほど睡眠時間は短くないし睡眠の質も悪くないそうなので、このあたりから夜型は「実は神経質だったり不安を持ちやすかったりという性格が多いのではないか」と書いている。世間のイメージと逆でとても面白く、個人的には極めて納得のいく説明だ。
そのほか面白かったのは、不眠型を自認する人が実際に入眠するまでの時間が、アンケートでは平均1時間なのに対し実際の測定では15分と、4倍も異なっているという結果。著者はこのことからも、「不眠の傾向にある人は自分の睡眠を過小に評価したり、不安に感じすぎている。これが余計に睡眠の質を下げているのではないか」と述べている。確かに、安眠型に比べると自律神経の亢進度(要するに興奮度合い)が高いらしい。
こういった結果と考察を踏まえ、本書の後半は「いかにスムーズに眠りにつき、起きるか」という具体的な方法を書いている。その方法は世の中で広まっているものとそれほど変わらない。寝る前に風呂に入る、テレビやパソコンなど興奮するものは控える、アルコールで寝ようとしない、朝起きたら太陽の光を浴びる、といったところだ。ただなぜその方法が効果的かをしっかりと書いているので、とても説得力がある。睡眠と密接に関係ある体内物質「メラトニン」や太陽光の目覚め効果、睡眠時の騒音や布団・枕といった睡眠環境にいたるまで、科学的にその効果・悪影響を説明している。さらにサマータイム制や昼間の「お昼寝」」制度という社会的話題にも触れ、睡眠研究のプロとしての提言もしっかりされている。
ということで、本書は睡眠に関する研究結果と実際的な方法が「広く深く」書かれている良書だ。睡眠についての本はそれこそ山ほどあるが、科学的な解説をしてもらいながら自分の生活に役立てることができるという意味では、最高の一冊といえるだろう。図書館で借りて読んだ本だが、新書でもあることだし、買って手元に置いておきたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前から効率良く睡眠を取るという事に興味はあったのですが、なかなか良い情報を見つけらず、実践できずにおりました。
先日、愛読しているブログに、この書籍が紹介されていたので、早速購入して読んでみました。
この書籍は、広島大学・総合科学部教授の堀 忠雄氏が、睡眠に関する基礎知識や快適に睡眠を取る方法を、各種実験結果や統計結果と共に紹介したものです。下記の項目について書いてありました。
・睡眠のメカニズム、生物リズム
・睡眠のリズムが崩れた場合の悪影響
・まとまった睡眠が取れない場合のしのぎ方
・昼寝の効用、および最適な昼寝について
・快適な睡眠を取る為の環境(体温、アルコール、水分、音、照明、採光、温湿度、ベッド、枕)
・年代別の睡眠の改善方法
個人的には、下記の部分が印象に残りました。
・睡眠効率は20代まで高く、30代から低下し始め、60代以降では20代の70~80%程度。
・睡眠リズムへの悪影響を考慮し、睡眠の時間帯のずれは1時間程度、夜更かし朝寝坊は週1回程度に抑えたい。
・任意の時間に起きるように意識しておくと、その時刻の30分前から副腎皮質刺激ホルモンが分泌し始め、さわやかに目覚める事が可能。
・多量のアルコールを摂取すると、睡眠ではなく麻酔状態となり、睡眠が持つ回復プロセスを止める。
見慣れない用語が多く、読み通すのに少し骨が折れましたが、これまで抱えていた睡眠に関する疑問が解決したし、睡眠に関する正確な知識を身につけられて良かった。
こちらの書籍が発行されたのは2000年なので、その後10年間の研究結果を反映した版を出たら是非購入したい。
睡眠に興味がある方、睡眠に不満がある方、効率良く睡眠を取りたい方にお薦めしたい書籍です。 -
開始〜読了
<u><b>所感</b></u>
<u><b>文章表現/構成等について</b></u>
<u><b>概要/ピックアップ</b></u>
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快適な睡眠を得るために必要な工夫、睡眠に関する知識を解説した本。
睡眠に関する基礎知識から昼寝の効果的な取り方まで大切なことは一通り網羅している感じ。ただ、2000年発行なので、現在では古くなってしまった情報もあるように思う。 -
著者は睡眠を専門とする大学教授。
前半は睡眠の仕組みや役割について
後半は快適睡眠のための提言になっているが
小規模だが実験・研究データがもとになっていて
説得力がある。
平易な言葉で総論から各論まで話が及び
面白かった。
特に仮眠をとるのに12時と14時では
効果が違うといのが興味深かった。 -
実験データに基づく論理展開はさすがに新書。ただ、論文書きの我が身には、枕詞的な冗長さがメンドイ。よく眠る能力は不自由無し。
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2009/12/18
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私は、もともと入眠が下手で、布団に入ってから通常は30分以上眠れない。とは言え、こうすれば寝られます、という方法を理屈も分からずに従うのもイヤ。その点、この本はすばらしい。眠りの科学的分析結果から始まり、効率的睡眠方法、さらに昼寝20分の効用までを詳細に解説する。
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専門書を含めてこれまで睡眠に関する本を数冊読んできたが、本書が最もまとまっていて全体像を掴みやすい。データも豊富で正しく理解できるように工夫されている。
それにしても眠りについてこんなにも多くの事が解っているなんて思わなかった。少々古い本なので、今ならもっと多くの謎が解明されていることだろう。 -
"入浴後10-15分後の体温が下がるタイミングで布団に入る
頭を冷やす、足を冷やす