- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308478
作品紹介・あらすじ
痴呆を病む人たちは、どのような世界を生きているのだろうか。彼らは何を見、何を思い、どう感じ、どのような不自由を生きているのだろうか。痴呆老人の治療・ケアに二〇年以上携わってきた著者が、従来ほとんど論じられてこなかった痴呆老人の精神病理に光をあて、その心的世界に分け入り、彼らの心に添った治療・ケアの道を探る。
感想・レビュー・書評
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認知症がもたらす不自由を抱えて生きるということが、本人や身近で生活する人にとってどういうものであるかということを、様々な角度や前後の流れと共に考えるきっかけになった。
家族が認知症になる場合を除いて、医療者として認知症の方と出会うと、
本人と出会うと同時に症状に目が向くことが多いと思う。
その時に、見えている症状や問題行動、介護者側の言葉だけで判断するのではなく、その方のこれまでの人生や性格、問題とされる行動に込められた気持ちなどにも目を向ける努力をしたいと思う。
この本を通して、特に大きな気付きとなったのは、「記憶障害、見当識障害、言葉や数の障害などの知能を構成する道具自体にも障害が起きるのだが、むしろこれらの道具を駆使して生活のさまざまな場面に対応してきた機能が衰え、さまざまなつまずきが生じる」ということである。
実際に対象者との関わりの中でも、指示の与え方や場面設定に工夫を加えると、発揮される能力に差があることを感じていただけに、とても納得できる内容であった。
できない部分を手伝うだけでなく、できる環境を整えることも大切な支援の方法なのだと感じる。
行動や言葉では表すことができていない相手のこころに近付けるようになりたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
知識で得た周辺症状のことが、よりふかく
理解できたように感じる。
母が認知症でもうすぐ、在宅での生活をともにする。
「この人となら、今、ここの場所(自宅)で
生きてもいい」って
安心していられるようにしたい。
そのためには
「相手の心根を汲む」というケアをし、
「からだの表情を読む」ことをしながら、
母の生活世界を黒子に徹して
支えたい。できるのか不安は大きいが
著者に知恵と後押しをいただき
少し勇気がわいた。
なによりひとりでかかえないようにして
「だいじょうぶ」とはげましてくださったようだ。
こういう方々のおかげで
介護が進化し
人が尊厳をもって生きていける時代に
なってきたのだな。
心から感謝したい。 -
※法改正により「認知症」が正規の名称とされているけども、やや古い本なので、タイトルまま。
認知症の妻と過ごした作家 耕治人(こう はるひと)の三部作や、認知症を患った本人クリスティーン・ボーデンさんの著作も深くとり上げて解説しておられる中で、外部から観察した認知症に焦点を当てるだけではなくて、彼らの中に入っていこうとする試みがみられる。
その上で、認知症を患う方をどのように見て、どのように接していけばよいかといったケアに関る提案もあり勉強になる。
これは、認知症に限らず、医療全般においても、あるいは社会生活全般においても重要なことかもしれない。
徘徊やモノ盗られ妄想といった、いわゆる周辺症状に多くの頁が費やされているが、どのようにそういった症状を考えていくかという点は非常に重要だと思う。
その反面、あまりできていないことなのではないかと感じることもあるし、反省もある・・・。
各章の扉には、認知症を患う方の写真が掲載されている。これをみても、著者の人間に対する愛着が感じられた。
終章において、著者自身が、癌を宣告されていることを打ち明けられているが、どことなく清々しさを感じた。
(※著者は2008年逝去)
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【内容(「BOOK」データベースより)】
痴呆を病む人たちは、どのような世界を生きているのだろうか。彼らは何を見、何を思い、どう感じ、どのような不自由を生きているのだろうか。痴呆老人の治療・ケアに二〇年以上携わってきた著者が、従来ほとんど論じられてこなかった痴呆老人の精神病理に光をあて、その心的世界に分け入り、彼らの心に添った治療・ケアの道を探る。
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【目次】
第1章 痴呆を病む、痴呆を生きる
第2章 痴呆を生きる姿
第3章 痴呆を生きるこころのありか
第4章 痴呆を生きる不自由
第5章 痴呆のケア
終章 生命の海
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400430847x 223p 2005・5・16 12刷
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一言では言えない。ただ胸が痛い。でも一度は読んでおかなければならない本のひとつだと思う。
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他人事じゃないのよね
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タイトル*痴呆を生きるということ
著者*小澤勲
出版社*岩波書店 -
興味深い。。。
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S493.758-イワ-R847
100137116
認知症と名称変更される以前の本ではあるが、当事者はどう感じているのかに、関係者の目を向けさせることになった、まさに目からウロコの奇跡のような一冊。