市民の政治学: 討議デモクラシーとは何か (岩波新書 新赤版 872)
- 岩波書店 (2004年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004308720
作品紹介・あらすじ
「第二の近代」に入りつつある二一世紀において、私たち市民はどんな課題に取り組まねばならないのか。欧米で議論されている最新の市民社会論やデモクラシー論を紹介しつつ、現在の政治社会の変容を歴史的文脈の中で分析する。そのうえで、デモクラシーを深化させる新しい社会の像、政治の形を展望していく、市民のための政治学講議。
感想・レビュー・書評
-
自分のイデオロギーに都合のいいように海外の研究をツギハギしている感じ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第1章において、近代の特性が端的にまとめられている。
時間、空間の均質性。都市からの闇の消滅。
等価交換。
僕的には、何度も読んだことであるが、自分達が生きているポスト近代の世界が、いかに絶対的なものではなく、歴史的に形成されてきた相対的な世界であることを知る上で、何度、読んでも興味深い。
戦後の政治状況が、軽く、コンパクトにまとめられている。
現在、政府から問題群が発信されているが、環境問題、原発の問題など、いかに、市民の側から、問題を発信されているかを、新たな視点で気付かされた。 -
私的に必須な文献
中身も面白い。まとまっている。 -
【版元】
欧米では今、〈討議デモクラシー〉という考え方がさかんに提起され、さまざまな形で実践に移されています。これは、社会の課題について普通の市民が意見をたたかわせる場を設けることで、政治を活性化していこうという試みです。日本の民主政治が機能不全に陥っているといわれる今、このデモクラシーの新しい形に目を向けることが必要ではないでしょうか。
本書では、この〈討議デモクラシー〉をはじめ、〈社会関係資本〉〈結社革命〉〈サブ政治〉〈市民労働〉といった欧米の最新の議論を分かりやすく紹介しながら、市民社会をいかにすれば強化できるか、不気味に強まりつつあるポピュリズムの流れにどうすれば抗うことができるかを考えてゆきます。
21世紀に、市民がどのように政治に関わってゆくべきかを考える上で、いろいろなヒントがちりばめられているはずです。ぜひご一読ください。(新書編集部 小田野耕明)
<https://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0401/sin_k156.html>
■著者紹介
篠原 一(しのはら・はじめ)
1925年東京生まれ。東京大学教授、成蹊大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授。専攻はヨーロッパ政治史・政治学。
著書に『ドイツ革命史序説』(岩波書店)『現代の政治力学』(みすず書房)『日本の政治風土』(岩波新書)『現代日本の文化変容』(れんが書房)『市民参加』(岩波書店)『連合時代の政治理論』(現代の理論社)『ポスト産業社会の政治』(東京大学出版会)『ヨーロッパの政治』(東京大学出版会)『〈市民と政治〉5話』(有信堂高文社)など多数。
【簡易目次】
はじめに
1章 近代社会はどう変わりつつあるか
1 近代の流れ
2 何が近代を準備したか
3 近代の構造
4 変容する近代
5 自省的近代化
2章 「第二の近代」とその争点
1 政治変容の諸相
2 経済変容の諸相
3 地球化のインパクト
4 「第三の道」とは何か
3章 新しい市民社会論
1 市民社会論の系譜
2 ハーバーマスの市民社会論
3 市民社会の展開
4章 揺れる市民社会
1 ポピュリズムの歴史的諸相
2 ポピュリズムの共通性
3 ナショナリズム考
5章 討議デモクラシー
1 行動的市民とデモクラシー
2 討議制意見調査
3 コンセンサス会議
4 計画細胞と市民陪審制
5 多段式対話手続き
6 いくつかの問題
終章 市民の条件 -
後書きで「石油ショックの頃にガンの手術をした」とか書いてあるからびっくりして巻末を見たら、著者は89歳のおじいさんだった。
文句なく☆5。久々に「読み返したい本」に出会った。
政治学や熟議を論じるために、とりあえず最低限の知識は欲しいなと思った時、かなり役立つと思う。コスパ良い。読みやすい。
ノイズを感じない快適な文章だった。 -
後半が消化できなかった。汗
-
めも
consensus conference
デンマーク、オランダ
ダール「それなりの市民」adequate citizen
「世田谷市民大学」
わかりやすかった!派生学習しやすいよう色んな人が紹介されている。 -
「市民参加型の行政」や「市民と行政の協働」などの言葉はよく耳にしますが、ここ数十年は、市民生活の中での意思をどのように政治システムの中に組み込んでいくかという点で、なかなかブレイクスルーが見いだせない時代になっていると思います。
NPOやソーシャルビジネスに注目が集まり、可能性は感じさせてくれていますが、政治システムの中にどれほどの影響力を及ぼしているかというと、そこには旧態依然とした壁を打ち破れていないようにも感じます。
そんな問題に対して、歴史的な背景も紹介しながら、「討議デモクラシー」という方向性を示す本です。
新書のわりに少し難解です。