性転換する魚たち: サンゴ礁の海から (岩波新書 新赤版 909)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309093

作品紹介・あらすじ

オスからメスへ、そして再びメスからオスへ!?ホンソメワケベラやクマノミなど、サンゴ礁にすむ魚たちは、社会的環境などにより、当然のように「性転換」を行う。行動生態学者である著者は、三〇年にわたり、この不思議な行動の謎を追ってきた。謎の解明は新たな謎をよび、尽きることなく研究は続く。魚たちが教える「性の不思議」。

感想・レビュー・書評

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  • まさに生物学のフィールドワーク、とても興味深い研究をされている。魚の性転換は今では良く知られているが、自然淘汰での発生原因を考察すると奥が深くて面白い。学者から見るファインディング・ニモの解釈には笑ってしまった。
    原始的な生物は性転換ができやすいシステムだったような印象を受けた。性転換には何十日もかかってコストもかかるが、それに見合う子孫繁栄が実現できれば、とてもフレキシブルで良いシステム

  • 【要約】


    【ノート】

  • この本によると、環境変化により、性を転換する魚はそれほど珍しくは無いそうだ。著者は、哺乳類から見ると、この奇妙な生態を詳細に観察。最初はものめずらしさもあり、面白かったのだが、最後には飽きてしまった。

  • ハナダイ,ベラ,クマノミ,だけでなく,ほかのいろいろな魚の性転換のしくみを,研究方法と合わせて知ることができる。文字になってるとさらっと読んじゃうけど,魚の研究って体力勝負だよなー。

  • われわれ人間にとっては性の壁は越えがたいものとして厳然とあるが、
    ある種の魚たちは、オスからメスへ、あるいは、メスからオスへと、
    必要に迫られて性転換するという話で、豊富な事例が示され、なかなか面白かった。
    性の垣根は、環境の変化によっては乗り越えられるらしい。魚たちにとってはそれも珍しいわけではなさそうだ。
    話題になったディズニーの映画「ニモ」の主人公、あの可愛いカクレクマノミも性転換をするという。
    ご覧になった方はご存知だが「ニモ」では、夫婦で卵を守っていたところ、獰猛な敵に襲われ、母親は食べられてしまい、卵もたった一つだけが助かる。それがニモで、この無事に孵化した息子を父親が育てるのだが、ある日ニモがダイバーに捕まり持ち去られてしまう。そこで父親はニモ探しの旅へと出かける、という設定の冒険アニメ。
    この話、性転換をするクマノミ類としてはかなり事実に反するらしい。
    まず、母親がいなくなると、父親がやがて性転換してメスになってしまうはずだという。
    それに、卵から孵化した稚魚は浮き上がって流されていってしまうから、イソギンチャクで一緒に住むようになった稚魚は、母親が生んだ卵からかえった稚魚ではありえなく、どこかで生まれて流れ着いた稚魚と入れ替わっているはずだ、と。
    しかも、稚魚の段階ではオス・メスの区別はまだなく、ニモを男の子とする根拠もない、とのこと。
    つまりは、「ニモだと思って育てていた息子だか娘だかまだわからない養子の子どもをさらわれて、いつのまにかお父さんから性転換したお母さんがニモを探しに行った」となり、「探しあてた暁には、父親から転換した母親と、オスに成長したニモは夫婦になる」はずだと。
    カクレクマノミの性の実態に即せばそういうことにならざるを得ないらしい。

    何億年という進化のプロセスのなかで、この性転換する魚たちのことと、その延長としての哺乳類としての人類とのあいだの、その距離の近いとも感じ、また遠いとも感じさせてくれるユニークな書だ。

  • [ 内容 ]
    オスからメスへ、そして再びメスからオスへ!?
    ホンソメワケベラやクマノミなど、サンゴ礁にすむ魚たちは、社会的環境などにより、当然のように「性転換」を行う。
    行動生態学者である著者は、三〇年にわたり、この不思議な行動の謎を追ってきた。
    謎の解明は新たな謎をよび、尽きることなく研究は続く。
    魚たちが教える「性の不思議」。

    [ 目次 ]
    1 魚たちの性転換―ホンソメワケベラとの出会い
    2 性とはなにか
    3 魚類の配偶システム
    4 性転換の進化理論
    5 ダルマハゼの謎を解く
    6 逆方向の性転換
    7 性はどのように決まるのか

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    [ 参考となる書評 ]

  • 一部のさかなが人生のうちに一度かそれ以上性別を変える。まず行動から、そして形質も。その状況を探る研究者たちの格闘のようすが興味深い。中段ではダーウィンの進化論(自然選択と性選択)や、性と生殖のしくみ、現代の進化生物学の状況がわかりやすく説明されている。

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著者プロフィール

中京大学名誉教授、理学博士。1950年 兵庫県生まれ。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。中京大学講師・助教授・教授・副学長などを歴任。専門は社会生物学、魚類行動生態学。

「2001年 『生命の意味』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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