邪馬台国論争 (岩波新書 新赤版 990)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004309901

作品紹介・あらすじ

大和(畿内)か九州か。邪馬台国をめぐる論争は、日本史のみならず東洋史・考古学・文化人類学などの学界にも波及して、この百年、絶えることなく続けられてきた。現在も決着はついていない。「本国中心主義」批判の観点から大和説を主張した内藤湖南を中心に、知られざる逸話を織り交ぜて論争史をたどり、その行方を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 邪馬台国、卑弥呼。いずれも古代史の謎である。
    九州出身者としては邪馬台国九州説に一票入れたいが、そうもいかない。三角縁神獣鏡と前方後円墳で邪馬台国近畿説が有力になった時期もあったが、三角縁神獣鏡自体が魏の卑弥呼に対する贈り物ではないとの説に立つと地理的な面からも九州説が盛り返してくる。意外と帚木蓬生氏の日御子のストーリーが正しいかも・・・。

  • 歴史上において、その実態が未だよく分かっていない“ミステリー”はいくつか存在する。しかし、中でも邪馬台国ほど、多くの人を魅了してきたミステリーはないだろう。本書は、そのミステリーに魅了された歴史家の奮闘の跡をたどったものである。

    『魏志』諸本の比較検討という「文献考証」によって邪馬台国大和説を主張した内藤湖南を起点として、そこに、考古学の分野から遺跡や出土品をめぐる議論が加わり、さらに「マルクス主義歴史学」の興隆によって、邪馬台国の社会構造をめぐる議論が盛んになっていく。

    こうして見ると、歴史家というのは様々な影響を受け得る“媒体”であることが分かる。先行研究に対する憧れや反発、さらには世の中の潮流など、様々な影響の下で既存の研究とは異なる見解が打ち出され、そこから、さらに新しい論点が生まれる・・・こうした「歴史」を生み出してきた“歴史家の営み”こそが、本書のテーマであると言えよう。

    ※追記
    ただし、本書の記述については不満もある。例えば、本書を「ささやかな「内藤湖南外伝」とも呼べるであろう」と位置づけているように、著者は邪馬台国大和説に立っている。それ故に、邪馬台国九州説に対してはかなり冷淡である。ある程度の偏りは仕方ないとしても、タイトルを「邪馬台国論争」としている以上、もう少し両者の記述のバランスは図られてしかるべきであろう。

  • 本当の意味では読了していません。文字を追っただけです。僕には難しすぎました。入門書のそのまた入門書から入るべきでした。評価をするなんておこがましくて(T_T)。
    本書は邪馬台国論争にそれなりの知識が持つ方が過程を整理すべく読む本であり、また、内藤湖南さんの論考の軌跡とそれがもたらした論議を評価するもの。

  • わずか第Ⅰ章で読書断念。断念した理由は、
    1. 明治時代の研究者による論争が中心で、昔の言葉を解読しなければならないこと。
    2. 読めない漢字が多すぎること。最初はふりがなをふってくれているが、2回目からはふられていない。
    (1と2の例)
    神功皇后西征のさいにまで、山門県の土蜘蛛田油津媛を誅せられたとあるその山門県が、すなはち古への邪馬台国であつて、神功皇后のころまでもなほ女王をもつて継承して居たのであつたとすれば、『魏志』がこれを女王国といつたのもまさにしかるべきことであつたであらう。
    3. 多くの研究者と彼らの主張が登場して、誰が誰の主張か整理して読めないこと。
    これらの理由から、この本を読破することに対するモチベーションと目的意識を見失った。

    この本を通じて学んだことと言えば、邪馬台国九州説を唱えた久米邦武と、邪馬台国大和説を唱えた内藤湖南が、邪馬台国の研究者として重要な役割を果たしたらしい、ということ。

    邪馬台国について気軽に読む本というより、考古学、歴史学の研究をかじっている人が読むべき本、という印象を受けた。

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著者プロフィール

1925年生まれ。1957年、東京大学大学院修了。法政大学第二高等学校校長、北海道大学文学部教授、成城大学文芸学部教授を歴任、文学博士。2005年没。
【主要著書】新撰姓氏録の研究(全9冊)、日本古代の政治と社会、日本古代氏族の研究、研究史邪馬台国、慈覚大師伝の研究 ほか。

「2020年 『聖宝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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