- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004316831
作品紹介・あらすじ
人間は古来、生とは何か、死とは何か、常に考え、悩んできた。自分の老い、その先の死、さらに身近な人たちの死、それにどのように向き合ったらよいのか。孔子、荘子、曹操、陶淵明などの先哲、文人は何を思ったのか、彼らがのこしたことばから探っていく。六〇を越える名言を収める。
感想・レビュー・書評
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『生と死のことば 中国の名言を読む』
この本を読むきっかけは、新書マップで中国に関するテーマを検索する時、「生と死」の単語が私を一瞬に捉えた。「人間は古来、生とは何か、死とは何か、常に考え、悩んできた。自分の老い、その先の死、さらに身近な人たちの死、それにどのように向き合ったらよいのか。孔子、荘子、曹操、陶淵明などの先哲、文人は何を思ったのか、彼らがのこしたことばから探っていく。六〇を越える名言を収める。」やはり私たち、いわゆる今の若者が、退屈な生活に対し、もっと自分の存在の価値を探したいと思う。
作者の川合康三(かわいこうぞう)は中国の古典文学、とくに古詩に研究を続けているようだ。中国の文学なので、この本に対する「難しい」と評価された人が少ないが、私はもともと中国人だから、理解しやすいと思う。文字の障害がなくて、わたしは日本の学者が中国の文学に対する考え方に注目した。
目次を見ると、「生とは何か,死とは何か」から、「生は仮の宿り,死は永遠の帰着」、「生ははかない」、「死を前にして」、「生への執着」、「死は必然」、「死への恐れ,死への憤り」、「亡き人を悼む」、「不死の希求」、「死を恐れる陶淵明」、「死を戯画化する陶淵明」、「死を乗り越える」までで、テーマを対照し、主旨を深めるの順序で先哲の名言を引出し、そしては時間線に沿って、即ち、時代の交替に従って、思想を更新し続けることが見える。川合康三は「人生や人間を肯定し、限りある生を生きてゆこうとする意志がうたわれています。そこが日本の文学と異なる、中国の文学らしい特質ではないかと考えられます」と書いている。それも、著者が日本の方に中国の文学を解明する原因の一つだと思う。
おもしろい点は、「夫言死人為帰人、则生人為行人」の名言を解明する際は、「夏目漱石の小説『行人』は、人間は死に向かって歩み続ける旅人であるという中国の意味を用いています。」と書いた。このように日本の文学と中国の文学を関連して解明するところが多く、文学とも、思想とも、世界でお互いに影響を起こすものだと考える。
その他、引用した名言を必ず前の方に書いた文やその後の方に書いた文を解明する点がすごく慎重だと思う。実は私たちが先哲の話を引用する際に、前後の意味を顧みずに、自分に都合のよい部分だけを引用することが多い。それは子供の文学の教育とも、国民の常識とも、よくないと思う。
最後の部分で、著者は人が熱中するもの(理想、使命)のために、「老いの将に至らんとするを知らず」の生き方が老いの生き方であるはずだと言った。この本は、文学の研究だけではなく、迷う者を慰める本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国の皇帝、偉人、賢者たちの死生観句をまとめたもの。多くを取り上げて羅列されてあるので、私のような物覚えの悪い者にはほとんど記憶に残らないのが、自分としては少々つらい。
しかし読了して私なりのまとめは、偉人たちも私と同じように悩み、迷い、死を恐れたということと、対して皆平等に死は訪れることを説く賢者の言葉が心に響き、結局は善行を心がけ、寿命は天命に従うことと腑に落ちた。
死生観のバランスを取るのに役立った。 -
生死に関する哲学的な中国古典の名言を解説とともに集めたもの。
内容は悪くは無いと思いますが、ちょっと文章的に読みにくかったかも。 -
東2法経図・開架 B1/4-3/1683/K
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烏兎の庭 第烏兎の庭 第五部 書評 11.11.17
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto05/diary/d1711.html#1111