中華の成立: 唐代まで (岩波新書 新赤版 1804 シリーズ中国の歴史 1)
- 岩波書店 (2019年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318040
感想・レビュー・書評
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古代中国の姿を、その領域、形態、法制などから説き起こす。中原に発してやがて江南へと拡大し、その後、北方遊牧民が華北に進出して可汗を宣した時期をもって、第二中華帝国と位置づけるところまで。2,000年以上前から戸籍が作成されていたなど、古代王朝とはいえ今日に繋がる国家のかたちが既に見いだせるところに、中国たる所以がある。中身は新書にしては学術的で、やや読み辛い。ただ今の中国をよりよく知ろうとすれば、結局長い歴史を紐解くのが近道という観があった。
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岩波新書には「中国近現代史シリーズ」もあるので、本シリーズは清までを扱う。第1分冊でいきなり唐代までという切り方もすごいなと思う。国家の成り立ちを行政それも収税システムをメインにして展開するところが新鮮だった。これは最新の研究成果に負うところが大きいらしい。納税にまつわる資料の発見が進んでいるということなんだそうだ。僕らが思う中国のカタチは王莽が考え、後漢の時代に形成されたものってのは、初めて認識できたように思う。うん面白かった。次が楽しみだ。
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紀元前5000年から始まる仰韶(ぎょうしょう)文化、前3000年の龍山文化をスタートとして隋の時代までを新書にまとめるのは、凄い労力のいる仕事だと感じた.前221年に始皇帝が曲がりなりにも中国の統一を果たすが、北からの侵略や内乱で揺れ動く.郡県制を成立させ、封禅祭祀を挙行することで皇帝としての権威を誇示した由.国の形の根本に生民論と承天論があり、王莽(おうもう)が様々な制度を作り上げた.安禄山が出てきて、第1巻は終わったが、次巻にも取り組もう.
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古代中国の社会・政治の仕組みが綴られており、英傑の活躍や王朝の交代だけではない歴史の魅力に気づかせてくれます。なかでも印象的だったのは、王莽が後世に与えた影響です。平家物語に引っ張られて簒奪者としか捉えていませんでしたが、本書を通して、彼の作り上げたシステムが清に至るまで参照されてきたことを知りました。例えば禅譲。前漢から権力を移譲したこのスタイルは、魏の建国でも用いられたことで「漢魏故事」として以降も手本とされました。
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20/05/07。
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先史時代から安史の乱までの3000年を220頁ほどで扱うというかなり無茶な企画
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唐代中期までの、主に中原の歴史。ただし統治体制のかなり細かい部分までを中心とした記述で、あまり予備知識がない自分には頭に入りにくかった。
王朝が交代しても、後の王朝は前の王朝の制度を引き継ぎ発展させていく。興味深いのが、簒奪者イメージの王莽が行った国制改革が後漢ひいては清朝まで引き継がれ、「それは事実上王莽がつくりあげたもの」とされていることだ。鮮卑族の北魏も漢化政策を取っていた。逆に、唐の太宗から代宗までの皇帝は北魏同様に天可汗の称号も持っていた。中国史とは、漢族の著名な王朝・皇帝の単なる交代史ではないということだ。 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1804/K
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入り組んだ中国の歴史を読み解くシリーズの第一弾。
初期の中国は戦国時代の印象が強く、武力による統一という点に焦点があたりがちだ。
本書はフラットな目線で国家の成立や衰退が描かれており、官僚制度や律令の重要性を感じとることができる。
この分野の門外漢としては用語の意味を追うだけでもなかなかに大変だったが、大国の成り立ちを知るよいきっかけになった。 -