客室乗務員の誕生: 「おもてなし」化する日本社会 (岩波新書 新赤版 1825)
- 岩波書店 (2020年2月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318255
作品紹介・あらすじ
日本独自の発展を遂げ、就職先として盤石の人気を誇る「CA」(ルビ:キャビン・アテンダント)。我々はそこにどんな期待を投影してきたのか。エアガール、エアホステス、スチュワーデス……呼称/役割ともに変遷してきた日本の客室乗務員の歴史を通観し、「接客マナー」と「自分磨き」の技法と思考が独特な「おもてなし」の源流となっていく過程を考察する。
感想・レビュー・書評
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客室乗務員の歴史本として面白かった。
その観点からいっても日本エアシステムの取り扱いがごくわずかなのは???詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
航空史の変遷がわかって勉強になった。中盤読むの辛くなったけど、なぜ自分が客室乗務員に憧れたのか、なぜ数ある業界業種の中でも異色な存在感があるのか少しだけわかった気がした。特に最後の章の最後の節の深みが凄くて何度も読み返したけど理解しきれてない。また読みたい
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本書は、「おもてなし」に代表される日本型ホスピタリティーの源流を辿ることを目的とするために、日系航空会社の客室乗務員に対するイメージの変遷を事例とした社会学的アプローチの本である。したがって、本書の主題である『客室乗務員の誕生』はおそらく著者の主張の一部であり、本当の狙いはむしろ副題の『「おもてなし」化する日本社会』にあると言える。
本書の貢献は、こうした企画を岩波新書から出版できた点にあるだろう。これまでも、日本の航空史に関する概説書は存在したが、それらはどちらかといえば、交通関係のジャンルに組み込まれていた。岩波新書として出版するためには、そうした実学的分野が他の学術的分野と結びつく点に意義があるため、著者のフィールドである観光社会学の中に落とし込んだ点は評価できよう。
そういう意味合いも込めて、著者は冒頭で「日本の客室乗務員の歴史を分析の縦糸として、その時々の新聞や雑誌の記事、テレビ番組、広告などに描かれたメディア言説を分析の横糸として用いる」(vi頁)というスタンスをとったのだろう。しかし、それが裏目に出て、時折「横糸」がほつれてしまう箇所が目立ち、縦糸の存在が感じられないところが存在した。たとえば、3章3節の「ディスカバー・ジャパンと鉄道の旅」は、当時の人々が「ノスタルジアのメディアとしての鉄道に乗る」(116頁)ことを主張したかったのだが、そのために、10頁近くを費やす必要があっただろうか?それならば、「本書では十分に詳述できなかった」(202頁)日本エアシステムの企業文化の独自性について触れるべきであった。
こうした社会学を表に出そうとした「横糸の縦糸化」は、他にも、4章2節「『スチュワーデス物語』の世界」での『アテンションプリーズ』との比較や、4章4節「「自分磨き」と「自分探し」の時代」における奥谷禮子『日光スチュワーデス 魅力の礼儀作法』と沢木耕太郎『深夜特急』との対比場面など、随所で見られる。新書のテーマとしては、まず縦糸がピンと張られているのか、そのうえで横糸のシャトルがどのように綾を結ぶのかが重要であるゆえに、こうした「横糸のほつれ」はもう少し割愛できなかったか、その分もっと縦糸の強さを確認したかった。 -
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737236 -
客室乗務員。昔々はスチュワーデスと呼ばれ、
今はキャビンアテンダント=CAです。
就職先ランキングでは常に上位にある職業で
あるのはなぜか。「憧れ」か「良いイメージ」
でしょうか。
この本では客室乗務員という職業の歴史を追
うと共に、人々、特に女性が抱く客室乗務員
への世間のイメージと、実際に客室乗務員に
なったことによる自身の人生との重ね合わせ
た視点が興味深いです。
そこには今も昔も、どんな人にも多少なりと
も抱く「自分探し」に繋がっていく過程が非
常に興味深い一冊です。 -
良かった時代のスチュワーデスってほんと幸せだったんだろうな