検証 政治改革 なぜ劣化を招いたのか (岩波新書 新赤版 1915)
- 岩波書店 (2022年2月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319153
作品紹介・あらすじ
官邸に権力が集中した「一強」政治ゆえの驕り、忖度官僚の出現、進む国会軽視…。平成期の政治改革は当初期待された効果を上げず、権力間のバランスが崩れて、副作用ばかりが目につくようになった。なぜ政治の劣化を招いたのか。ファクトにもとづいて検証、その原因を探り、令和の時代にふさわしい新しい政治改革を提言する。
感想・レビュー・書評
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タイトルや帯に期待して買ったものの、やや期待外れでした。内容が官僚からメディアまで及んだので総花的な指摘になり、そのせいで提言も浅く感じました。
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安倍政権の一強他弱により、政治は民意から乖離し、政治は劣化し、メディアも力を失った。この状況から脱却するには、国民一人ひとりの意識改革が必要である。
細川政権から岸田政権に至る、日本政治史でもある。 -
どうしてこうも政治と国民が乖離してしまったのか。その理由をコンパクトかつロジカルに解いてくれる。
小選挙区制の危うさがよくわかる。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000056342
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東2法経図・6F開架:B1/4-3/1915/K
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著者は共同通信記者で、本書は政局史の感が強い。90年代からの政治・行政改革を振り返った後、小泉政権と特に第二次安倍政権で総裁・首相一強になったというもの。政治改革反対派だった小泉が総裁・首相就任後はその権力をフルに使うのがまず面白い。
著者は特に、第二次安倍政権での弊害を多く指摘。驕り、党内派閥による制御力低下、国会軽視、忖度官僚、メディアへの圧力と分断、国民の信頼低下。これら指摘を否定するわけではないが、支持率はなお高く選挙でも勝利を続けたという視点が本書では希薄に見える。副題のごとく「劣化」なら、それでもなぜ有権者の支持を得たのかの分析も必要ではないか。野党の力不足を指摘していないわけではないが。他にも、安倍・菅政権の違いの掘り下げや、首相が1年ごとに交代していた時代の政治との比較など、本書に物足りない点はある。
また1章使って数々の改革提言を述べるが、いずれも論点提示にとどまっており、目新しい印象はない。ただ著者自身も「たたき台」と述べており、また実際に明確な方向性を軽々に出しにくいのだろう。 -
このテーマでこの視野で書けるのは貴重だが必要か
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いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
興味を惹いたタイトルではありましたが、何より、著者が大学時代の友人だったというのが手に取った最大の要因です。
大いに期待して読んでみたのですが、予想どおり、重要な論点を押さえつつ、しっかりした立論が展開されていました。
新書という限られたボリュームの中で、現下の「過度な首相官邸への権力集中」に至る背景や問題状況がロジカルに整理された形で分かりやすく語られています。
“自らの頭”で今の政治状況について考えてみようとする読者にとっては、本書が示した論点と議論のスタートとしての改善案の提示は、とても有用な「ガイド」になると思います。