政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間 (岩波新書 新赤版 1957)
- 岩波書店 (2023年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319573
作品紹介・あらすじ
元首相銃殺事件と「国葬」が呼び起こした「政治と宗教」の問題をめぐっての緊急出版。統一教会と政治家の協力関係の歴史、右派的主張をもつ宗教勢力の影響力増大、創価学会の変遷と自公連立政権の誕生、フランスのライシテとカルト規制、アメリカの政治と宗教右派など、公共空間が直面している現在の危機を多角的に考察する。
感想・レビュー・書評
-
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1957/K
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
統一教会関連のトピックを丹念に詳細にまとめた好著だと思う.自民党と統一教会の関係に関してはこれまで読んできた内容と特に異なることはなかったが、創価学会・公明党の歴史や立場の解説は圃場に面白かった.時に参考になったのはフランスの状況を記載している第4章だ.良心の自由と礼拝の自由と保障するライシテの原則を堅持している国で、反セクト法がどのような過程で成立し、どのように運用されているかが述べられている.セクトのとりあえずの定義として「何らかの正統の観念が存在する多かれ少なかれ集権的な社会において、異端的な社会的行動によって公共の秩序や個人の生存を脅かすと問題視されうる組織」を挙げているが、法案自体にセクトの定義はない由.政教分離体制を考慮した措置だとの解説があったが、フランスの空気の一部に触れた感じがした.簡単に統一教会を褒め上げる文言を送る自民党の輩にぜひ読んでもらいたい本だと感じた.
-
【請求記号:316 シ】
-
憲法フォーラムで購入800円
-
大学4教授陣の寄稿集。
大学の退屈なテキストそのものの文章で頭に入らなかった。講義と一緒に読まないと内容が入ってこないだろう。
序章…公共空間における宗教の位置/島薗進
一章…統一教会による被害とそれを産んだ要因/島薗進
二章…統一教会と政府・自民党の癒着/中野昌宏
三章…自公連立政権と創価学会/中野毅
四章…フランスのライシテとセクト規制/伊達聖伸
五章…アメリカー政教分離国家と宗教的市民/佐藤清子
終章…統一教会問題と公共空間の危機/島薗進
-
いかにも緊急出版という感じで、統一教会、創価学会、仏のライシテと反セクト、米の状況、と多方面を取り上げるが、その分、本としてはまとまりがないように感じる。
統一教会、神社本庁、日本会議の自民右派との癒着、また公明党の連立政権入りの代償には批判的で、「公共空間の危機」と評する一方で、平和運動や社会運動への宗教集団の関与は肯定的なのが岩波らしいと言うか。
ただいずれにせよ、公共空間から宗教を完全に排除することは困難なのだろう。仏ですらもカトリックと共鳴する右派の政治運動が存在する。逆にライシテがイスラームを中心とした宗教的マイノリティに抑圧的となり得ることも指摘されている。 -
165.9||Sh