サピエンス減少 縮減する未来の課題を探る (岩波新書 新赤版 1965)
- 岩波書店 (2023年3月22日発売)
本棚登録 : 177人
感想 : 32件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (180ページ) / ISBN・EAN: 9784004319658
作品紹介・あらすじ
有史以来、増加しつづけてきた人類はいま、人類史的な転換点を迎えている。パンデミックや世界戦争による一時的な減少や停滞はあったにせよ、人口増を前提にした政治と経済、文化、社会システムは再構築を迫られている。もはや不可避の未来である世界の人口減少の”最突端”に位置する日本から、サピエンスの未来を考察する。
みんなの感想まとめ
人口減少というテーマを通じて、未来の社会を見据えた考察が展開されている本書は、単なる危機としてではなく、ホモサピエンスの文明の自然な推移として捉えています。著者は、日本の人口学者ならではの視点から、世...
感想・レビュー・書評
-
岩波の『世界』がやった同題の特集に、著者が寄せた原稿が本書のベースになっている。
有史以来ずっと増加し続けてきた人口が、今世紀後半には世界全体でも減少に転ずる(そこまでに増加するのは主にサブサハラ・アフリカで、すでに先進国は減少に転じつつある)――という人類史的転換点についての概説書である。
つい先日読んだ類書『米国防総省・人口統計コンサルタントの人類超長期予測』と、内容に重なる部分もある。ただ、本書は日本の人口学者が書いているので、日本に大きくウェートが置かれているのが特徴だ。
いずれにせよ、日本だけが人口減少の危機にあるわけではない。世界的趨勢のトップランナーであるだけのことなのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白い着眼点だと思った。
少子高齢化、人口減少を避けるべき災厄としてではなく、ホモサピエンスの文明の推移において不可避的に訪れる概ね確定した未来予測であると捉えて、それに対応するように社会を作り替えていくべきと説く。
多産多死社会から医療の発展と女性の選択権向上によって少産少子社会に移行し、さらには出生数が減って人口減少に至る。
人口が減少していく社会では、労働力リソースの業態間転換(ケア産業に移行。これまでの人の役割を多くはAIとフィジカルAIが担う)、不均衡の是正としての個々の事情に合わせた再分配が重要になる。
そして、「働かざる者食うべからず」の社会が終わることも予見される。
目から鱗で、良書だったが、テクノロジーの発展を舐めてかかっているな、と感じたの星4つ。
-
世界と日本の人口動態を、きちんとした人口学的考察から描いている。
キモはやはり第4章の問いである「人口減少して何が悪いのか?」ではないか。
昨今の排外主義的な主張を踏まえると、「海外から人口を受け入れて、日本文化を壊してまで人口を維持する意味はなんなのか?」という意見も多々ある中で、この節は一定程度その意見に答えている。
とはいえ、上記意見に寄って「文化を壊すくらいなら明るい破滅を選ぶ」というのもまた一案かも?本書はあくまでマクロな人口学的考察にとどまっていることを踏まえて内容を受け止める必要がありそう。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1319671 -
230813036
人口転換期を迎えて、出生、死亡、移動がどのように変化していくのか興味深い内容だった。アフリカから始まったホモサピエンスの旅は最終的にアフリカに戻るのだろうか。 -
前半はデータから淡々と事実が並べられている感じがあったが、提案されている人口転換の統合モデルは興味深かった。従前は人口変動を様々な社会的・規範的要因で説明しようとしていたために、結局のところ原因を掴みきれていなかったのに対し、主要な要因を人口学的要因と社会的生産に絞り、循環型のモデルにして人口変動をそのまま説明しようという考え方は、物理っぽいうまい捨象の感覚があり、モデル屋さんとして納得感があった。また、後半は社会制度などに対してきちんと著者の主張があって面白かった。
-
【請求記号:334 ハ】
-
本書で示されるのは、西暦2100年ごろから世界的にも人口は縮減して行くという未来だ。
日本では少子高齢化が進み人口は減っていても、世界的には人口が増えていると思っていたのだが、そうではないということだ。
人口転換が起こるメカニズムについても解説していた。
自分の要約は正確でない気がするが、以下のようなところだろうか。
社会的な生産性が上がり、社会資本が蓄積されると、平均寿命が延びたり、死亡率が下がったりして人口が増加し、再生産年齢の女性の生存率も上がる。
家族を持つタイミング、生むタイミングを量る余裕が出てきて、出産が抑制されていくということだったと思う。
だいたいどの地域でもこのような経過をとってきたとのことだ。
これまでの歴史を見ても人口が(一時的に)減る時期というのはあったそうだ。
疫病の大流行や 災害、気象条件、戦争などによる。
ところがこれから迎えるであろう長期的な世界的な人口縮減は、これといった原因が特定できないものになるだろうと著者はいう。
こういう部分を読めば少し心がざわつく。
しかし本書は、理性的に変化に対応する必要性を説く。
人口減になるからと言って、地球温暖化や環境破壊が収まるわけではない。
極端な楽観論に陥ってはいけないという。
また、例えば女性や子供を持ちたがらない若い世代に責任を転嫁するのではなく、終末論のようなものに振り回されることもなく、いかに人類が存続できるのかを冷静に考えるべきだということだった。
そのために 社会制度、 社会的な基盤、 都市の作り方、 エネルギーや食料生産のあり方などを抜本的に変えていく必要があるという。
社会制度としては、 新自由主義的な経済政策を改め、生産と再分配の方法を変更する。
気象災害への対策としては、 被害を受けにくい地域に人口を分散あるいは集約して防災能力を高めたコミュニティの世界的ネットワークを築く。
食料問題については合成食品 の導入 を進め、食料生産を自然環境から切り離すことなど。
なるほど、と思うが、どれ一つ簡単にできそうにない。
利害調整などで意見がまとまらないのが目に見える。
大きな宿題を出されたような気がして、なかなか重苦しい気持ちになった。 -
-
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787278 -
働かなくても所得を保証し、極端な累進課税を導入すべしとの提言である。
残念ながら、人類は理想だけでは行動しないことは過去の社会主義の失敗、共産主義を標榜する国家の現状を見れば明らかだ。 -
タイトルは刺激的である。グラフも多用しているが、グラフにもっとキャプションで説明を入れてくれるとよりわかりやすいと思われる。
アジア、欧米、サブサハラ、アフリカと分けているが、もう少し細かく分けてみてもいいような気がする。 -
ふむ
-
人口が減るのも困ったものだが、多すぎるのも問題であることに気付く。また、格差解消が人口縮減社会を救うことにも気付かされた。我々は、人口縮減を止める以上に人口縮減社会へ順応する知恵を磨かねばならない。これからのサピエンスのためにも。
-
東2法経図・6F開架:B1/4-3/1965/K
原俊彦の作品
