暴力とポピュリズムのアメリカ史──ミリシアがもたらす分断 (岩波新書 新赤版 2005)
- 岩波書店 (2024年1月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004320050
感想・レビュー・書評
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冒頭で著者は、ミリシアという語につき、州兵と、2021年に連邦議会を襲撃したような民間の極右(に限らないが)暴力的団体の両義を解説する。両者は全くの別物ではないかとまず思ったがさにあらず、後者の背景には前者にも連なる、植民地期以来の「ミリシア文化」があるとの視点だろう。
植民地期以来の共和制と市民兵の伝統。対英戦に臨む18世紀後半に「大陸軍」が作られ、その後連邦レベルの正規軍となるも平時の規模は最低限で、まだミリシアの存在感は大きかった。
一方でミリシア自体も変容し、19世紀前半には志願兵の組織へ。更に南北戦争では、黒人を中心に差別されてきた人々もミリシアに入隊。同戦争後には連邦政府の権限拡大の中で、ミリシアは「州軍」と名を変える。正規軍と州軍(兵)が現在のような形になったのはやっと20世紀の大戦でのことだ。
そもそも知識がなかったので興味深く読んだ。ただ、『州兵の成立史』ならともかく、この書名とはズレがあり、内容を広げすぎでぼやけてしまったように感じる。 -
アメリカで銃による大量殺人が起こるたびに、銃規制の話題になるが、全米ライフル協会の反対などで頓挫するか骨抜きにされてきた。
政府への反逆を保障していると言われる憲法修正第2条があり、銃保持の自由が認められていると言われているが、その歴史的経緯が示されている。建国からの理念としては尊重すべき部分はあるが、民主主義が機能している現代では弊害の方が大きい。 -
人民主権理念に基づいた国づくりを支え、時に反乱の母体となったミリシアとは何か。
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【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/571907 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/710463 -
東2法経図・6F開架:B1/4-3/2005/K
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京都府立大学附属図書館OPAC↓
https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1281957?locate=ja&target=l?
<書評>『暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断』中野博文 著:東...
<書評>『暴力とポピュリズムのアメリカ史 ミリシアがもたらす分断』中野博文 著:東京新聞 TOKYO Web
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