光触媒が未来をつくる――環境・エネルギーをクリーンに (岩波ジュニア新書 〈知の航海〉シリーズ)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007059

作品紹介・あらすじ

毎日、地球に届く太陽エネルギーを利用して、空気清浄にはじまり、防汚・防曇、水の浄化、抗菌・殺菌など、私たちの暮らしのあらゆる場面で活躍する最新技術、光触媒。その発見から、しくみ、応用技術までを第一人者である著者が数々の実験や豊富なデータをもとにわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 配置場所:2F新書書架
    請求記号:431.5||F 66
    資料ID:C0036529

  • この本は、日本の科学者集団の代表ともいえる日本学術会議が、中学生にも理解できる水準と優しい表現で、最先端の学術情報を提供しようという意図で出版している岩波ジュニア新書の中の、<知の航海>というシリーズの1冊である。
    光で水を水素と酸素に分解できるという光触媒の原理は、クリーンエネルギーを生み出す究極のハイテクとして、今、世界中が注目し、同時に多くの研究が行われている。何といってもエネルギー問題での期待値が最も大きいのだが、そのほかにも、すでに身近なところで様々な用途で我々の生活に役立てられている。曇らないガラスや鏡、雨水で自然に汚れを洗い流すタイルやテント・窓ガラス、タバコ・家畜・冷蔵庫・室内などの消臭、手術室や医療器具での抗菌や殺菌、インフルエンザやがん治療などの医療分野への応用、農業や水の浄化など、実に多岐にわたる。
    こうした製品開発のストーリーの数々を、その原理の発見者である筆者自らが語っている。そこが未来の科学者の卵たちにとっては、最もリアリティあふれるインパクトとなるのではないだろうか。

  • 431.53 フ 登録番号8758

  • 高校生向けで、専門的なことはあまり書かれていない
    光触媒はネタ帳に入れておくべき技術

  • 鏡は曇らないし、外壁や窓は汚れないし、野菜はたくさんできるし、がんも治るし、空気もきれいになるんです、光触媒があれば!...と書くとなにやら怪しい物売りの口上のようだが、読んでるととにかく「光触媒すげー」という気にさせられる一冊。

    「光触媒」とは、光をあてると触媒としていろいろなものを分解する働きをする物質のこと。ここでは酸化チタンがとにかくヒーローだ。著者が発見した「酸化チタンが光をあてると水を分解する現象」がネイチャーに掲載された顛末もなかなか面白いが、その光触媒を使った様々な応用例がとにかくこれでもかこれでもかと示されて、笑ってしまうくらいである。

    「実用のための学術」というのは一段低く見られがちだし、僕自身もそういう価値観を持っている気もするけど、でもここまで実用の力を示されると清々しいなあ。身の回りの色々なところで活躍しているんだとびっくりした。

    あと、かこさとしさんが著者と一緒に描いたという絵本「太陽と光しょくばいものがたり」も非常に気になる一冊.読んでみたい。

  •  今もなお、最先端を走り続ける科学者による、研究の醍醐味が伝わってくる一冊です。
    光で水が分解し、酸素を発生させる。
    発見した時の、わくわくした様子、興奮が伝わってきます。
    どこかでこうしたわくわくした感じを読んだ記憶があるな、と思ったんですが、少年の昔、夢中になって読んだ空想科学小説の中の様々な空想上の発明シーンのことだと思い至りました。「光増感電解」という言葉も、なんだかSFっぽい感じで格好いいし。
    しかし、僕がSFに夢中になる以前に、光触媒はすでに発見されていたのですね。1967年ですから、ウルトラマンの放映が始まった頃。そういえばあの時代も、わくわく感、高揚感に満ちていました。

     ところがせっかくの大発見も、当初は国内で全然相手にされなかったというエピソードは、フロンティアにしかわからないご苦労だったと思います。
    僕のように、他の方の研究工夫の上に乗っかって生きている人間には想像できない大変さでしょう。
     そしていったんネイチャーに掲載された後の注目ぶりとか、石油ショックという時代の要請とか、一つの発見が日の目を見て、活用されていくまでの道のりには、研究者の実力以外の要素も絡んでくるのだな、なんて変な所に感心してしまいました。
     酸化チタンを活用した製品が思いのほか普及していることも初めて知りました。
    汚れない家とか、インフルエンザ菌を殺してくれるカーテンとか、学校でも是非導入したい製品があります。
     と同時に「ぱちもん」に悩まされるというのも、先進技術の宿命なんでしょうね。
     レントゲンが普及し始めた頃に、「投資されない下着」が売り出されたという話を思い出します。我々も、消費者としてきちんとした情報を収集するように心がけないといけませんね。
     科学者というのは、象牙の塔にこもって研究だけしているんじゃなくて、自分の研究成果がきちんと社会の中で活用されるためのルールづくりにまで関わっていく者なんですね。人間嫌いではできない仕事なんだなあ。
     獅子奮迅の活躍をされている藤島先生が、いつかノーベル賞を受賞してほしいです。

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著者プロフィール

監修:藤嶋昭(ふじしまあきら)
東京理科大学栄誉教授

「2023年 『国語の力が身につく理科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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