人類の歴史を変えた8つのできごとI――言語・宗教・農耕・お金編 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007110

作品紹介・あらすじ

人類の文明はどのように進化してきたのだろうか。第1巻では、人類の歴史に大きな影響を及ぼした、言語、宗教、農耕、お金の4つに焦点を当て、その発生や成立、伝播の過程、社会に与えた影響や意義について解説、長い人類の歩みのなかで文明がどのように進化したのかわかりやすく論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 巻末の参考文献を見ると、これらの本を全て読むことは私には不可能なので(数え間違ってなければ119冊)、これを読み込んでわかりやすく書いた本書は非常にありがたい。
    ジュニア新書は一応中高生向けだと思うが、これは大学の教養レベルなので、一般的な中学生にはちょっと難しいだろう。
    よくこの内容を一冊にまとめたなと感心する。言語、宗教、農耕、金融それぞれ一冊でもいいくらいだ。でもそれじゃぁさらに難しくなってしまう。ざっと概要を掴ませたいとなるとこれくらいのボリュームに抑えたいというのは分かる。
    読んでみるとかなり駆け足だし、足りないところも結構ある。宗教の章は、キリスト教と仏教に割きすぎてイスラム教はほんの少しになっている。金融・経済なんか、専門で勉強した人が読めば大いに物足りないだろう。
    しかし、これら人間生活の基本とも言うべき大切なことは、中高の社会でちきんと教えないので、知らないまま大人になってしまうことを考えれば、読むべき本。大人なら、これくらい知っておくべきだと思う。知らなかったこと、たくさんあったけど。
    特に宗教の章が面白かった。宗教が作りあげられていく過程は、歴史や科学の発展と大いに関係がある。地球が海の上に浮かんだ島だと思われていた頃は、神はせいぜい高い山の上、雲の上辺りにいて、時々人間界に降りてきていた。しかし星々が天に張り付いているのではなく、かなりあちこちの遠くにあること、宇宙がとてつもなく広いことがわかってくると、神はもっと遠くにいるだろうということになる。すると、神が直接来るということはないだろう。そこで、神と人とをつなぐ聖霊が必要になる、(P126-127)なんて、ホントに面白い。
    宗教の主たる教えも時代で大きく変化している。特に釈迦の教えと今の仏教は全く違う。解脱なんてできる人はほぼいないんだから(オウム真理教の麻原彰晃が解脱したと言っていたのは記憶に新しいが、もちろんしてる筈がない。)、普通の人にもできて、救いを感じさせることがでなければ、支持されない。苦肉の策が大乗仏教。
    こうしたことを知っておけば、宗教を狂信的に盲目的に信じることがいかに愚かか分かる。

    冷静に世の中を見る目が養われる。

  • 世界の転換点を知る

    人類の歴史の中で大きな意味を持つできごとが様々な文献を引いて簡潔に説明されている。こういう本が読みたかった!もう少し読み物としておもしろかったら最高だなあ。

  • 言語と宗教のことについて興味を持ったので、借りてみた。

    言語を「森羅万象との対応をつけるシステム」とは、興味深い説明だなと思った。
    時間と空間を超えて情報を共有できたことで、技術や制度、文化が発展してきた。
    共有しないと、狭い範囲での体験でしか物事を語れないしね。

    農耕によって増えた人口(普通になるほどと思ったのは、世界史を勉強していないからだ)で、また情報・言葉の必要性が高くなったのだろうなぁ。

    屈葬について、「死んだ後も何らかの働きをし続ける、と考えていた」という考え方も好き。
    なんで手足折るの?という理由以前に、こういう志向があったからこそなんだなー。

  • 平易で読みやすく、大切なところを理解するにはとても良い。こういった話に興味はあるけど難しい本はまだ読みづらい…という私には大変良かった!

  • 社会
    歴史

  • 岩波ジュニア新書。基本的な事項が簡潔でわかりやすくまとまっているように感じた。参考・引用文献が都度挙げられており、参照しやすいつくりになっている。
    ただ、若干、情報が古めなのではと感じる部分もある。

  • 高校生の時に受験のために暗記したカタカナの単語。いまいち理解を伴っていないとずっと思っていて、今回、私は既にイイ大人なのですが、ジュニア版のこの本に出会って良かったと思っています。

  • 新書文庫

  • 非常に簡潔に理解しやすく、しかもかなりの文献を参照して幅広く正確な記述を心がけていることがよくわかる。参考文献として挙げられているもろもろを読みたくなっちゃう良書。このシリーズはいろいろ読んでみたいな。

  • 言語
    言語は1万年ほどでもとの痕跡をまったく残さないくらいに変化する。

    世界の言語は6000くらい。使用人口は、中国語、英語、スペイン語、ヒンディー語、アラビア語、ベンガル語、ロシア語、ポルトガル語、日本語、ドイツ語、の順。
    公用語は、英語、中国語、ヒンディー語、スペイン語、の順。英語は、公用語としては一番多い。

    語族。日本語、韓国語、アイヌ語などはどの語族にも属さない。

    言語ではない声(唸り声など)と言語は脳の発生場所が違う。唸り声の延長に言語があるのではない。

    文字=単音文字(アルファベット)、音節文字(ひらがな・カタカナ)これらはどちらも表音文字、表語文字(漢字)

    ルターの宗教改革と印刷機、書物の発展は同時。

    グロービッシュ=英語を母語としない人達の英語。
    言語は将来的には400程度に減ってしまう。

    宗教
    人間の認知システムが宗教を生み出した。
    キリスト教は世界最大の信者数。
    ローマカトリック教会と東方正教会が分裂した。その後宗教改革でプロテスタントが生まれた。両者の間で30年戦争。
    仏教は、釈尊の没後100年ほど経て、第二結集という会合があって、そこで上座部仏教と大乗仏教が別れた。
    イスラム教は世界第2の信者数。若い人が多く、今後も増加する。
    現在は、ヨーロッパでは宗教離れが見られる。

    農耕
    気候の寒冷化を乗り切るために農耕が始まって、その後の温暖化で発展した。
    動物たちの家畜化。最初の家畜は犬。その後、牛。
    家畜は、伝染病をもたらす。インカ帝国は、天然痘ウイルスによって滅ぼされた。
    余剰生産物によって階級ができた。権力者が出ることで灌漑が始まった。
    緑の革命=肥料や新技術で生産量が増えた。生産される作物は画一化した。農耕以来の作物の3/4が絶滅した。
    貿易の自由化が発展途上国の農業競争力を奪う。
    土壌の流出=土壌は、バクテリアなどの影響で風化して出来る。1インチの土壌ができるためには500年かかる。

    お金
    かなり早い段階で利子の概念があった。
    金と銀の交換比率の違い。情報の差が大航海時代の支配の源泉。
    貨幣を作ることがfできたのは、社会制度や官僚組織がしっかりしていた国だけ。貨幣鋳造益があった。
    紙幣の元は、交子と呼ばれる為替手形。
    ストックホルム銀行が初めて銀行券を発行した。イングランド銀行は、金を保有し、イングランド銀行券を兌換にした。
    ソブリン金貨
    ホームレスマネーが世界を駆け巡る。

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著者プロフィール

眞 淳平(しん・じゅんぺい):1962年生まれ。環境・社会問題エディター。慶應義塾大学経済学部卒業。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了(国際政治学修士)。法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経営学修士)。集英社での女性誌などの編集部勤務を経て、独立。環境問題、社会問題、国際関係等が専門。著書に、『地図で読む「国際関係」入門』(ちくまプリマー新書)、『21世紀はどんな世界になるのか-国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する』『人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ-言語・宗教・農耕・お金編』『同Ⅱ-民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編』『人類が生まれるための12の偶然』(ともに岩波ジュニア新書)など多数。

「2024年 『ニッポンの数字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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