- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005007844
感想・レビュー・書評
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電気契約を60アンペアから最低の5アンペアに切り替えた独身新聞記者の体験記。
予想通りキッカケは東日本大震災。被災時は福島県郡山支局員だった。
おそらく自分なりにエネルギー問題を考えようという意味で著者は始めたのだろう。それは分かる。でも‥‥
著者は5アンペア生活を始める理由をこのように書く。
「(原発再稼働)反対の声を上げることは大切なことだろう。でも、〈反対を叫ぶだけで解決策を示さず〉電気をどんどんばんばん消費する生活をこれまで通り続けて良いのだろうか」「(電気の大量消費の)生活を、ぼくたちが享受しているうちは、首相に「君たちが望むから再稼働するんだよ」と言われても〈仕方ないんじゃないか〉」(72p 〈〉を付けたのは私)
これには、私は大いなる違和感を覚えた。特に〈〉内の言葉です。もちろん著者は他人に5アンペア生活を強要していません。でも、それでも、この発想自体はダメです。
『グレタ ひとりぼっちの挑戦』というドキュメンタリー映画を観ました。彼女は15歳ということもあって、活動を始めて一年もすると、欧州エネルギー会議に招待されるほどになっています。しかし、そこで会議での議長の発言を聴いた彼女はヘッドフォンを外し、もう聞きたくないとジェスチャーするのです。そこでは、ちょっとした水道水の節約提案を得々と話す政治家がいました。
議長が5アンペア生活について話しても同じ反応をするでしょう。でも、彼女がそうしたのは、発言者が議長だったからです。彼女はその2年後、国連で結果を出さない政治家を罵倒しました。罵倒する権利が、彼女にはあるからです。18歳の少女でもわかる話です。
政治家と市民を同列に論じてはいけません。
「解決策を示す責任」を負っているのは、政治家です。
同時に、マイ箸運動をやっているから、エネルギー問題に「私は責任を果たした」と考えるのは正解なのでしょうか。環境問題に1番責任を負うのは、政策であり、政治家なのだから、その政治家をチェックする、そのために何ができるか、少しでも近づくことをするのが、市民の責任だと私は思います。
著者は東日本大震災での貴重な経験をもとに、完全に原発再稼働反対の意見を持っていた。そういう意見を持っているならば、「(私たちが電気の大量消費をしているしていない関係なく)私たちは原発を望みません」とハッキリ首相に向けて書いた上で、この本を書かなくてはならなかった。ジャーナリストとして彼が出来ることは、マスコミを通じてエネルギー節約生活体験を広げることだと思ったのかもしれません。それは間違っていない。しかし、それと同時に、『(今のところの再稼働政府を許すことになる)間違った認識』を広めてはいけません。
ごめんなさい。かなりグダグダと書いてしまいました。どうしても看過できなかった。こういう形で、現状肯定してしまう若者が、あまりにも多いので‥‥。
閑話休題。著者の体験は、私にとっても、とても身近なことで、だからこの本を紐解いたのです。
私はこの12年間、一切「自前での」クーラーと、暖房機による冷暖房を使っていません。自家用車も同様です。それは12年前に父親の家を相続した時に、一挙に狭苦しく暑苦しい部屋から、風通しよく、密閉した環境に移れて、試してみたら「出来た」からです。それだけであり、エコを考えたからでも、モテたいと思ったからでもありません。実際には、周りから「危ないからやめろ」とか「変わってるね」と言われるのがオチで、正直著者のように良い方に注目されたことは一度もありません。私も褒められたいからしているのではなく、昔はできたんだから当たり前と思っていました。近年はだんだん「チャレンジ」に変わってきています。地球温暖化を肌で感じていて、今年こそもうダメだ、と思うのですが、今年はなんとかやり過ごせました(扇風機は使うようになりました)。著者が言うように、30度を超えると扇風機無しではとてもやってはいけません。10年前までは、それでも10時過ぎて朝までは30度を切っていたのですが、近年は午前3時ごろまで落ちないようになってきました。著者は今でも5アンペア生活を続けていられているのでしょうか。
以下参考にできること。と参考数値。
・シャワー浴びて、扇風機に当たると、一挙に身体を冷やす
・布団にゴザを敷いて寝ると快適
・湯たんぽよりも、豆炭あんかの方が、24時間燃え続けるし、高くない(本体3000円、豆炭240個1200円)。
参考までに一般的な家庭での使用量を紹介すると、電気の場合、月の標準使用量は290キロワット時(東京電力)です。ガスは32立法メートル(東京ガス)。水道・下水道は1人世帯で8立法メートル、3人世帯で21立法メートル(東京都水道局)です。(14p)
扇風機 「強」でも0.6アンペア 省エネのエース
洗濯機 脱水の時に最高4アンペア
冷蔵庫 0.8から2アンペア
ノートパソコン 立ち上げ1 あとは0.6アンペア
液晶テレビ 2.6アンペア
熱くなる家電は一様に5アンペア以上に。家電の墓場へ。
著者は2年後に、2キロワット時(190円)の使用量へ。太陽光発電さえ始めているからね。
因みに、私の月使用量は71キロワット(11月)。斉藤さんの始める前のクーラー使わない10月は、以前は90キロワットで、5アンペア始めて最初の月は40キロワットになったそうだ。以前のクーラー使う7月は133キロワット。まぁ、私の使い方はかなりビミョーな使い方ですね。
本書は12月1週のmomchapさんのレビューを読んで知った。
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5アンペア。これがどのくらい電化製品を使えるのか、見当がつかなかった。
まずはそこがこの本を手に取ってみたかったきっかけ。
思ったよりも使えることがわかった。ただ、気候危機が進んで熱波が多くなってしまった今、エアコンなしの夏場は現実的ではなくなってきている。
それでも、減らすことはできるだろう。この取り組みは、ただセンセーショナルに切り詰めることを喧伝するのではなく、楽しく、快適にエネルギーを使用しない生活を楽しんでいる。
その姿勢と知恵を拝借して、少しでも節電に取り組みたい。
2011年の震災以降、節電はすっかり忘れ去られているのが実に残念でならない。最近のCOPでの日本のトンチンカンぶりにも呆れていたので、こういう取り組みをしている人がいて、それを真似する人もいるということに少し救われる。
街の明かりはもっと抑えても良いと思う。街の中にこそ無駄遣いが多い気がする。 -
極端な試みは参考になります。自分ではやってみようとは思いませんが…アンペア数を下げて基本料金が数百円下げることは可能でしょう。同時に使わない、というのは今でもやっています。ご飯炊きなどガスや灯油が使えるところはほぼ使っているし…ということは、総合的な使用量は今とあまり変わらないような気が。
ただ、後書きにもありますが、やたらと否定的な反応があるのが気になります。確かに前半部はイヤな意味での意識高い系な感じがします。しかし、それはそれとしても…ネット時代になって、簡単に相手に絡むことができる。そのマイナスな影響が。 -
無理なく楽しく。節電に特化した生活は、福島の悲劇を間近で見たことがきっかけ。現在、日の当たらない部屋でエアコンにズブズブにお世話になっている自分にも少し真似できることがあるだろうか。まずは便座シートを使って温便座の電源を切ってみよう。夏は涼しい部屋(陽が当たらないから)なので、扇風機で過ごしてみようかな。入居時に20アンペアに激怒して30に上げてもらった過去がある私…少しずつ頑張ろう。ちなみに1階に住んでます。
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こういうの好きです。一気に読めます。
新聞記者の著者が福島での原発事故を機にエコ生活をはじめ実践する過程が書いてあります。
家電の電力消費量がデータとして書かれてありエコ生活が漠然としたものでなく、実践可能なものとして見える化してあることでさらに一歩踏み出しやすように感じる。
私もさらにエコ生活に磨きをかけようと心躍らせられる内容です。
5アンペア...目指せ5アンペアです -
3.11震災の際に福島に駐在していた朝日新聞記者である著者はエネルギーを浪費する事に疑問を持たずに生きてきた自分にも怒りを感じて電気ほぼ無し生活=5アンペア生活を始める。本書内は論理の飛躍だらけで共感出来ないが所が多々あるが、原発反対を主張する人は著者を見習って欲しい。
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なかなか面白かった。
どんな苦行かと思いきや案外普通の、まあまあ快適そうな生活。自慢するわけでもなく布教するわけでもなく、自分の信念に則って生活を工夫している著者は好感度が高く、応援したくなりました。 -
使わない家電(10アンペア以上)
エアコン、電子レンジ、トースター、炊飯器、ドライヤー、掃除機
毎月の光熱費を記録する
電気会社に電話して5アンペア契約に変える
ワットチェッカーで電気を見える化
節電のエース 扇風機
布団の上にゴザをしく
ホームセンターで夏は清涼グッズ、冬はあったかグッズ
断熱シート
鍋でご飯を炊くのは超簡単
最後まで残った家電
・洗濯機
・温水洗浄便座
洗濯機は手動で、すすぎを1回にし、脱水時間を6分から1分にする。したたるほどの水気ではなく、重い分干すだけでシワが伸びる。
温水洗浄便座は使う時だけ電源を入れる。
冬の暖房代わりは、豆炭あんか
ソーラーパネル 自作、で検索
金属で固定しないと落下の危険
発火の危険もあるので要注意 -
2012年の朝日新聞生活面に掲載された5アンペア生活体験を、実践した記者自らまとめたもの。
家電は熱を出す仕事が苦手。掃除機は無理な仕事で、息で吸うのと手で払うので考えると理にかなわない動きだとわかる。自動の掃除ロボットの働きぶりは無駄が多く、効率好きの人には見ないほうが心の平穏のため。など、参考になる経験が書いてあります。 -
普段当たり前に使ってる電気を「余っている」と思っていませんか。「省エネ」と言っても、電気を意識的に我慢して使うことは、まだ少ないと思います。新聞記者である著者は、取材を通して「省エネ、エコとはなんだろう。」と強く思い、ついに電力会社の電気に極力頼らない5A契約の節電生活に挑戦し、無理せず快適な創意工夫のある「普通の暮らし」を実践しています。