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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784005007905
感想・レビュー・書評
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成分や製法や地域など、子ども向けの新書とは思えないほど充実しています。それぞれの地域の加工品はどれも特徴的でおいしそうです。いろいろな意味で、日本がおいしい乳製品を製造するのが大変な国であることもわかりました。
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syriasheepさんきあらさん。読んで下さって、ありがとう。乳製品というと、私たちは、ヨーロッパのものしか知りません。でも、ユーラシア大陸では、実に様々な乳製品...きあらさん。読んで下さって、ありがとう。乳製品というと、私たちは、ヨーロッパのものしか知りません。でも、ユーラシア大陸では、実に様々な乳製品が、それぞれの地域の生態環境に育まれて、発達しています。そんなことも、本書で伝えたかったです。10の乳製品に出会えば、8くらいまでは、えっっっ;と思える乳製品ですが、それでも、牧畜民にとっては命の糧。10の内、2つくらいは、「あーー、苦労して、この地まで足を運んで良かった!」と思える乳製品に出会います。それはそれは感動で、現地に赴くしか味わえません。きあらさんも、ぜひ、色んな乳製品を楽しまれて下さい。注意していると、日本でも、ずいぶんと色んな乳製品に出会えます。著者の平田より2014/12/30 -
きあらさんコメントありがとうございます。とても感激です。年末年始、メールを見ていなかったので、お返事が遅くなりました。アジアの乳製品はとても興味深く、...コメントありがとうございます。とても感激です。年末年始、メールを見ていなかったので、お返事が遅くなりました。アジアの乳製品はとても興味深く、貴著で堪能致しました。出会える機会があればよいです。加工の過程が丁寧だったのがうれしいです。人間との長い歴史を考えるのがおもしろかったです。2015/01/06
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良い意味で期待を裏切られた一冊。ミルクの加工の伝播とその歴史を豊富なフィールドワークから分析する。伝播の過程の論理も分かり易く、なぜ?という点にきちんと応えているのも良。
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普段飲んでいる牛乳や、食べているチーズやヨーグルトなどの乳製品。
今や日本の食卓にはなくてはならない存在となっているが、こうして食卓に乗るのはごく最近のこと。
しかも、ヨーロッパ文化の影響を強く受けているため、実は私たちは乳文化のごく一部しか知らない。
1万年の歴史があり、しかも文化圏ごとに全く違った表情を見せる乳文化の美味しくて不思議な世界を辿ってみよう。
まず、ヒトの母乳を考えてみよう。
あの真っ白なほのかに甘い液体は、母親の血液で作られている。
どこでどうやって赤が白になるんだ!
ウシは1リットルの乳を出すのになんと500リットルもの血液を必要としているという。
著者が感じたように、私も偉大さと尊さを感じる。
この乳というものは、人間のように年中繁殖期ではないので、ある一定の期間しかとることができない。
それをどうやって保存していくか、ということが課題となる。
西アジアではヨーグルト、バター、バターオイルの順に加工され、チーズはカチカチの塩辛いものが出来上がる。
対してヨーロッパでは熟成の方向へ向かう。
カビを使用するという、高温多湿のアジアとは全く異なる方向へ!
その一方、双方の技術が重なり合った地域も存在するのだ。
この文化の広がり、技術の広がりは歴史を考える上でとても面白く、興味を惹かれる。
搾乳とは素晴らしい発明だった(ヒトにとっては!)。
母が子にしか許さない行為を利用して、それを自らの栄養にして、さらに子孫を繁栄させる。
この発明があって、いまの「おいしい」があるのだ。
私がミルクを飲んで、それが血液になって、さらにそれが子に与える乳となる。
命の営み、生命のつながりを考えるととても感慨深い。 -
乳文化(酪農とミルクの加工)はどのように伝播したのか。
乳文化の研究者である著者による説明には、好きなものについて語る人の楽しさがある。
ジュニア新書のわかりやすさで好奇心を刺激してくれる良書。
その場所にあわせて育っていく文化と、それを裏付ける科学や考古学や歴史を知ることができる。
暑く乾いた西アジアで、ミルクは貴重な栄養源。
暑さで腐る前にとにかく発酵させて、それから加工する。
冷たく乾いたモンゴルでは発酵より分離が先に進むから、クリームをとってから加工する。
冷涼多湿のヨーロッパでは加工したチーズを熟成させた。
乳以外の食品で栄養摂取できるアジアでは、乳製品は嗜好品や栄養補助食品として受け入れられた。
『パスタの歴史』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4562047534には、イタリア南部の暑く乾いた風が良質な乾燥パスタをつくったとあった。
この本にはイタリア北部の冷涼湿潤な気候が熟成チーズを発展させたとある。
南のパスタと北のチーズが合わさってイタリア料理になっているのか。
ものをみるものさしが増えていくのは楽しい。 -
昔は乳製品が薬扱いされていたり、ヨーグルト食べてれば不老長寿になる説なんかもあったりで、もう少し乳製品の摂取量を増やそうかと思うなどした。乳は偉大。
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世界各国のミルクの加工方法や歴史を体系的に知れて、良い学びを得られる本だった。
モンゴルの暮らしに、私もいつか少し参加してみたいなと思う。
インドならではの乳製品も、今後もっと試す機会を得てみたい。 -
648/ヒ/
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西アジアで牧畜が始まり搾乳技術が各地域に独自の広がりを、見せた経緯や理由の大枠が理解できた。ミルクをヨーグルト、チーズ、バター等に加工することで人類はミルクの風味や品質を高めながら長期保存できる術を同時に実現したのはすごい知恵だと思う。
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乳のとりかたや加工の仕方が長い年月で開発されてきたもので伝達されてくる間に地域の環境で少しずつ違ってきた
ミルクって人類の歴史とともに語れるほど身近で奥深いものだったのがわかって知れば知るほどおもしろい -
身近な乳製品が人類の歴史とこんなに密接な関係にあったとは。意外に長いつきあいなんですね。乳加工の発展の件や、乳文化の地域差などが興味深かった。紹介されていた各国の乳製品の味も気になります。読みやすくおもしろい本でした。
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家畜の肉利用と比べて、乳利用は餌から食料を生みだす効率は3.7倍に向上する。牧畜民が肉を食べるのは祝い事や客を迎えた時くらい。ケニアのトゥルカナやマサイの牧畜民は、食料の60%をミルクに依存している。
トルコ南東部の紀元前8700~8500年の遺跡から出土したヒツジとヤギの骨は野生種に比べて小さく、幼獣の比率が高く、家畜化の最も古い時代を示している。紀元前7500~7300年には西アジアの広い範囲で本格的に飼われるようになた。ウシやブタの家畜化は、紀元前6400年頃。
西アジアでは、ミルクをヨーグルトにして保存性を高め、ヨーグルトから乳脂肪と乳蛋白質を分離してバターからバターオイル、バターミルクからチーズを作る。西アジアでは、極度に乾燥させたハード系チーズしか作らない。
北アジアや中央アジアでは、ミルクからクリームとスキムミルクを分離し、クリームからバターやバターオイル、スキムミルクからヨーグルトを経て乳酒やチーズを作る。
冷涼なバルカン半島では、チーズを塩水の中で熟成させて食べる。冷涼、湿潤な西ヨーロッパでは、カビを利用した熟成ソフトチーズが発達した。
南米のアンデス山脈では、リャマは荷物運びの使役動物として、アルパカは毛の生産用に飼育されており、搾乳は行われていない。保存食としては、ジャガイモを乾燥させたチューニョが用いられている。 -
とても面白い
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[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
日本におけるミルクの利用は飛鳥時代が始まりだけど、一旦断絶した後に江戸、明治に復活するわけだけど、日本におけるミルクの利用方法は世界においては極一部に過ぎないのだなと感じる内容だった。
特にミルクからバターオイルを作ることがメインであることには驚いた。アジア地域においては保存食としての一面が強言うのだと強く感じた。また発酵を利用しないチーズにも驚いた。 -
食
歴史 -
人類のミルク活用の歴史はおよそ1万年にわたる(と予想される)。この本は世界におけるミルク活用の結果を紹介したものである。所変わればミルクも変わる。どうしてそのようなミルク文化が生じたのか、主に気候の観点から説明がされていく。ジュニア新書なので簡単に読める。
ミルク文化はミルクの加工方法によって分類することができる。この本の良いところは、著者が実際に世界各地へ調査に行き、どのように加工・利用しているかを取材しているところにある。これにより、様々なミルク文化を体系的に理解することができるのだ。 -
ハズレの無い岩波ジュニア新書からです。
ひとはいつ人間以外の動物のミルクを
飲食に利用するようになったのでしょう。
考古学的な証拠から推測すると、
1万年近く前から、になるそうです。
そして、搾乳(乳しぼり)はどこで始まったのか。
それは、西アジアのシリアあたりが有力だそうです。
と、まあ、
そういった起源を明らかにしつつ、
乳文化について、その種類や系統を説明して、
ヨーロッパや北アジア、南アジアなど各地域での
乳利用や加工のいろいろについて紹介・説明してくれます。
やっぱり、「気候」がミルクの利用方法に大きく影響している。
乾燥地帯なのか冷涼湿潤なのか、などなど、
ミルクの発酵の仕方、保存の仕方、
もっといえば、搾乳時期なども関わってくるようです。
それで驚いたのは、
ミルクというものが血液からつくられるものだ
ということは知っていたのですが、
1リットルのミルクのために、
たとえばウシならばどのくらいの血液から作られているか、
というところ。
なんと、500リットルの血液から作られているそうです。
著者はだからこそ、大事に頂かねば、
という気持ちにさせられると述べています。
また、大人が牛乳をたくさん飲んだがために、
おなかがごろごろしてしまう原因についても書かれていました。
その犯人は乳糖なる成分。
乳糖を分解する酵素が、子どもにはあるのですが、
大人にはないんですって。
一部の地域では大人も乳糖を分解できるそうです。
しかし、日本人にはそれはないようですね。
そんな乳糖が多い馬のミルクを利用して、
モンゴルのひとたちは乳酒を作るのだそうです。
というように、
さまざまな乳文化にこの本を通してふれるだけで、
世界の広さを知るかのようです。
ミルクは完全食ともいえるもので、
多くの人間は、生き延びていくために大事に利用してきたんですねえ。
日本でも、貴族は室町時代くらいかその前くらいまで、
濃縮乳なるものを食していたそうです。
ミルクは、ぼくたちの身近な製品でありながら、
その化学的な部分も、歴史的な部分も、
実はよく知られていません。
ミルクにかかっている無知のベールを、
ぼくたち自らがはがして知ってみる機会を、
与えてくれる本になっています。 -
読了。
人とミルクの1万年 / 平田昌弘
人類と家畜と乳製品の切っても切れない関係を地域体系と歴史で追う本です。
紀元前7000年前から羊やぎ家畜化したら自然な流れで搾乳に移行して、そこから保存としての乳加工。西アジアが発祥らしい。
発酵系は土地の気温とか湿度によって影響を受けやすいので、発酵のヨーグルト系が広がって油分分離系と別れていく、保存食としてのチーズや、モンゴル方面でみられる乳酒など、欧州のチーズだけは熟成という文化が育って体系が変わっていく感じみたいっすね。
日本人はあれだけど、人はミルクなしでは生きていけなかったのではないかと思えるほどはるか昔からミルクに依存してたということでしょうか。
東南アジアもミルク文化あんまりないみたいですね。
紀元前7000年ですよ。恐るべしミルク。
ミルクは突きつめれば血ですからね。ミルクは生命ですね。
たいへん面白かったです。 -
ミルクは生活に欠かせない飲み物になっています。そんなミルクと人との付き合いは約1万年前にさかのぼります。そもそもミルクは母親が子どもの成長のために与えるもの。その動物のミルクを食料とするようになったのは、いつどこでなのでしょう?ミルクの歴史をたどってみては?
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ミルク(牛乳だけではないから)と人類の付き合いを、数千年という時間と、アジアから中東、ヨーロッパという広がりの中で追いかける。モンゴルや中東の放牧民と付き合って研究してきたらしい。ミルクの研究者、と名乗ったらきっと面白がられたことだろう。どこに行っても、現地の人と同じ目線でミルクの来し方行末を語る姿勢が爽やかだ。
考えてみると、始めて牛や羊のミルクを横取りして飲むことを思いついた人や、ためてあった牛乳が自然にヨーグルトになったことに気づいた人は、きっとずいぶん舞い上がったことだろう。それは確かに、人類の偉大な発明の一つだったと思う。
若干総花的な印象はある。時間と距離のスケールが大きすぎて、もう少しここ読みたい、と思ったところで終わってしまう。ヨーロッパのチーズ文化については、それだけでゆうに一冊になるんだろうと思う。
色々なことを知るのは面白い。
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