キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007929

作品紹介・あらすじ

二千年に及ぶ歴史を通じて、欧米の文化の精神的支柱としての役割を果たしてきたキリスト教。本書を読めば、ユダヤ教を母体として生まれ、独立した世界宗教へと発展し、諸教派に分かれていったその歴史と現在や、欧米の歴史、思想、文化との深い関係を学ぶことができます。現代の世界を理解するために役立つ、教養としてのキリスト教入門。

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教の成立と発展、ローマカトリックと東方正教、宗教改革という内容構成となっている。個人的には、前半のキリスト教の成立と発展の部分の記述に魅力を感じた。もちろん聖書の解説が中心となるが、宗教的バイアスを排除して客観的にイエスの生涯と思想を検討する「歴史的イエス研究」の内容を絡めて解説されており、合理性をもってキリスト教を考えることができた。ローマカトリックと東方正教の項は前半と比してストーリー性に欠け、宗教改革および清教徒革命の説明はやや簡素すぎる印象を受けるが、前半のみでも読む価値のある書籍である。

  • キリスト教を勉強してみたくなり、入門書を探しており、こちらを購入。
    世界史のバックグラウンドがないとちょっと難しいかなと感じますが、コンパクトにまとまっていると思います。

    ・・・
    キリスト教を学ぶとなると、ユダヤ教なしには話が進みませんが、ユダヤ教の言わば「閉鎖的」な部分の改良版的に始まった点などは、実はあまり知られていないかもしれません。そうしたキリスト教の端緒やユダヤとの違いは、簡潔で分かりやすかった。

    ・・・
    まあ、キリスト教というと、カトリック、プロテスタント、正教と分かれていることは多くの人がぼんやり理解していることと思います。本作はそれぞれの流派の歴史をたどるのは当然のことながら、逸話というか、小噺みたいなものをちょいちょい挟み、それが良かったと思います。

    ・・・
    例えば、カトリックも正教もそうですが、聖人崇敬の話。

    キリスト教が一神教ということは有名ですが、その一方で聖〇〇とかっていうじゃないですか。立教とかSt. Paulだし、サンフランシスコも聖フランシスコじゃないですか。何なのよ聖って? って感じしませんか? んでもってたまに、聖〇〇に祈りをささげるとか、って洋モノの小説にさらっと出てきたりするじゃないですか。何だよお前、キリスト教って一神教じゃないのかって思いませんでしたか?

    本作によるとキリスト教の偉大な貢献者や殉教者などを聖列するといって、簡単に言えば名球会みたいにすげえぞ名簿みたいなのに登録するらしいです。で、そういう方々へお祈りすることで、自分のお祈りを聖人を介して神様に「とりなして」もらうそうな。ややこしいな。あと、神への崇拝はWorshipでそれ以外の聖人への崇敬はvenerationというらしいです。むう。

    で、実はこうした区分や整理は、そもそも土着の民俗学的な背景を取り込んで宗教が成り立ったということに起因しているそうです。なるほど。

    ・・・
    それと、プロテスタントというとルター、っていのが世界史の常識かと思いますが、青年ルター君の話も良かった。

    自己肯定感の低いルター君は、自分は天国に行くような人間じゃないと悲観していたそうだが、信仰義認説を実存的に理解して、そこから現状の教会組織に疑問を感じ始めたそうな。で、そうした問いをラテン語で貼り付けたのが「95箇条の提題」。要は一部のインテリにだけ分かるようにあえてラテン語で書いたんですね。たぶんシャイなんだな。したら誰かがドイツ語に翻訳し、リツイートしたもんで、バズってヨーロッパ中で話題になっちゃったということらしい。プロテストというより炎上?だったのかもしれません。

    まだまだ面白い話が幾つかあるのですが、備忘のために書いておくとヘンリー八世の英国国教会成立の話も面白かった。いやあ、良く分からなかっんですよ、国教会ってカトリック?プロテスタント?って。このあたりの事情も書かれていて参考になりました。

    ・・・
    ということでキリスト教入門の本でした。

    一通り読んで、大学教養課程くらいの濃さはあるなあと感じました。そして興味のない方にとってはもう気絶するほど詰まらなく感じるのでは、と察しました。

    ということで、キリスト教に興味がある方はもちろん、西洋史・宗教史に興味がある方、西洋文化に興味がある方、美術史に興味がある方、欧米文化に興味のある方等々には楽しんでもらえると思います。

  • 2023.5月
    キリスト教の変遷を理解するため。
    基本的な流れがとても分かりやすくまとまっている。 キリスト教の歴史を知る入門書として。
    ユダヤ教〜イエスの生涯〜キリスト教の発展〜カトリックとプロテスタント

  • キリスト教の入門としてとてもコンパクトにまとまっていた。
    十二弟子についてとか、東方正教会の組織とか20世紀のカトリックの変化のすごさとか、勉強になった。
    新約聖書の約は契約の約だというのは改めて学べてよかった。

  • 名著。非常にわかりやすい。
    キリスト教の誕生から分離、現在に至るまでが非常にわかりやすくまとめられている。かなりスッキリ理解できた。おすすめ。

  • ふむ

  • 記録

  • こちらの本でキリスト教の歴史をおさらいしてみました。岩波ジュニア新書は、本来中高生くらい向けのものと思いますが、これが侮れず、あるテーマについてレベルを極力落とさず、しかしなるべく平易にかつ読みやすく、その分野の一流の方が執筆されているものも多く、「大人の学び直し」にも有用と思います。
    この本も良書でした。「キリスト教入門」というより、正しくは「キリスト教の歴史入門」というべき内容ですが、コンパクトな中にとても要領よくかつ分かりやすくまとめられており、復習&勉強になりました。

  • 非常に読みやすい入門書。
    ユダヤ教からの流れからイエスの生涯、布教の過程と広がり、諸派の教義の違いなどを聖書を引用しながらわかりやすくまとめられている。
    専門的すぎない、しかしポイントはしっかり学ぶことが出来る。「知識」としてキリスト教に触れる第一歩としてピッタリな内容。この一冊で概要を掴むことができる。
    中高生向けの新書だが社会人の教養本としても十分な良書。

  • 12月24日 クリスマス・イブ

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著者プロフィール

1951 年東京生まれ。1985 年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。北星学園大学経済学部教授を2022 年3 月に退任。著書に『聖書時代史 旧約篇』『図解 これだけは知っておきたいキリスト教』『海の奇蹟――モーセ五書論集』『一神教の起源』『VTJ 旧約聖書注解 列王記上 1 ~ 11 章』ほか。訳書に『〈旧約聖書Ⅱ〉出エジプト記・レビ記』『〈旧約聖書Ⅲ〉民数記・申命記』(以上共訳)、M. ノート『モーセ五書伝承史』『旧約聖書の歴史文学』、T. C. レーマー『申命記史書』、W. H. シュミット『歴史における旧約聖書の信仰』、R.レントルフ『モーセ五書の伝承史的問題』、R. N. ワイブレイ『モーセ五書入門』、C. レヴィン『旧約聖書』、O. ケール『旧約聖書の象徴世界』、K. シュミート『旧約聖書文学史入門』、ティリー/ツヴィッケル『古代イスラエル宗教史』ほか。

「2022年 『旧約聖書における自然・歴史・王権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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