国際政治史 (岩波現代文庫 学術 229)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006002299

作品紹介・あらすじ

東京大学法学部で政治史・外交史を講じた岡義武が一九五五年に岩波全書の一冊として著した名著。長く絶版となっていたものを、読みやすい表記に変えて復刊する。国際政治の推移を現象的に記述するのではなく、その構造の歴史的変化を描き出した画期的な内容は、今も必読の古典として生きている。

感想・レビュー・書評

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  • 1955年に岩波全書として刊行されたもの。国際政治史というテーマゆえか、岡の日本政治史の諸著作に比べると、個々の政治家や外交官の出番は少なく、「国家」を主語とする叙述が多い。また、帝国主義やファシズムといった概念も、割と強く出ている。この辺りは1950年代の学界状況を反映しているのだろう。

    このように、日本政治史の諸著作に比べると、時代性を感じられるテキストだけれど、叙述の面白さには揺るぎないものが感じられた。

  • 本書は、ウィーン体制より第二次世界大戦終結までを主な対象とした、国際政治史の通史である。(ウェストファリア条約及び冷戦の初期を含む)国際政治史の通史(テキスト)は、枚挙にいとまがないが、この本を他の類似の書物と異なるものたらしめているものは、国際政治と国際政治との関係を詳細に叙述していることである。他方、このパースペクティブは、巻末の坂本先生による「開設」を読んで気づいたものであるから、実際に読んでいる間に、それを強く意識していたわけではない。しかしながら振り返れば、国内政治体制と国際情勢とを精緻に結び付けて書いているのが思い起こされる。
    この史観は、現在並行して読んでいるMearsheimer, John J., The Tragedy of Great Power Politics と両極をなすものであろう。いくつかある国際政治学のパラダイムの中に、岡先生の史観を位置付けるとすれば、それはどちらかというと国内政治との連関において国際政治を見るという点では、リアリズム(あるはマルキシズム)に近いものであろう。その一方で、バランスオブパワーや国益といった、リアリズムのキーコンセプトが頻出するという事実は極めて興味深い。つまるところ、こうした複数の史観を取り入れ統合しつつ、国際政治の全体を描き出そうとする試みであったと、この書を理解することができる。
    国際政治の現実とはいかなるものか。この問いに対して、理論は少なくとも(自由記述ではなく)選択肢を提示してくれる。ある主張がいかなる理論に立脚しているのか。いかなる視点から書かれているのか、意識して考えるようにしていきたい。

  • 元版は60年以上前に刊行された著作であるが、国際政治の変遷に関する骨太で、明確な把え方が土台にあるため、少しも古さを感じさせない名著である。
    ウェストファリア条約体制から第二次世界大戦から冷戦期に至る、主としてヨーロッパを舞台にした歴史となるが、本書を基礎にして、他の国際関係に関する書に触れていくのが望ましいと思う。

  • 319||Ok

  • ヨーロッパを中心とした国際政治が時代とともに世界へと広がっていき、最後にはアメリカとソ連の対立までとてもわかりやすく書かれていてとても読みやすくためになる。

  • 130720 中央図書館

    外交史のエピソードも脚注で豊富に挿入されていて、とても面白かった。じっくり読めたのはナポレオンからウィーン会議後までくらいだが。

    ぜひ入手してゆっくり読みたい。

  • 国際政治や近現代史に関心があるならば必読の書
    終戦直後に書かれ、「未来としての冷戦」の雰囲気がありありと出ている終わりかたが良い

  • 東京大学法学部政治学の主流を担った教授による政治学徒必読の古典。
    国際政治の推移を現象的に記述するのではなく、その構造の歴史的変化を描き出した画期的な内容。

  • 2010年5月27日購入

  • 無味乾燥なテストで世界史を選択してきた人でも読めるぐらいに読みやすい。
    自論を押し付ける様な学者の自己満足なプチ論文ではなく、淡々と語りかけるような文章で、生で授業を受けた生徒の人が非常にうらやましい。

    国際外交関係の均衡が崩れた時に、戦争に陥る。
    現代において不均衡戦争(紛争)が、中心となっているので、危険性は低くなった。
    但し、危険性は、無くなった訳ではない。と歴史を通じて伝えようとしているのだと思う。

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